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この文庫版9巻内第110章には中国がチベットで行っている「民族浄化」の様子が描かれています。 漢族をチベットに大量移住させて混血を進め、チベット族女性に対しては不妊手術を行うことによって、将来的に純粋なチベット族の血統をなくすこと。それが民族浄化です。 中国がチベットを支配するに至った歴史的経緯、チベット文化に対してとった方策、中国がそこまでしてチベットを支配したがる政治的意図、そしてこれらのチベット問題を一切報道しない姿勢を貫いている日本のとある大手新聞の存在などが分かり易く解説されています。 刺激の強い描写もあり、事実に基づいているとはにわかに信じられない点もあるかもしれません。しかし、 ・4500あったチベットの寺の99%が破壊され、現存する寺は45 ・15万人いたチベット人僧侶は現在1400人 ・移住奨励政策によって現在人口比率はチベット人600万人に対して漢民族750万人 ・一説では虐殺・餓死を含めたチベット人の犠牲者数は128万人(チベット人口の5分の1) これら一端の数字を見ると、小林よしのりの主張が過度に誇張されているとも思えませんでした。一人でも多くの方に知って頂きたい内容です。
雑誌『SAPIO』1999年11月24日号〜2000年6月14日号に掲載された第106章〜第119章と、単行本のための書き下ろしを収録。2000年に刊行された同名の単行本を一部加筆・再編集して文庫化したもの。 文庫本ではあるが、1ページあたりの情報量が多く、文字が小さいので、ひと回り大きい判になっている。だから、文庫用のブックカバーには入りません。(笑) 著者は毎回色色な『ごーまんかまして』いる、つまり、自分の主張をしている訳だが、同意できる部分も多いが、同意できない部分もある。 それでいいと思う。すべて肯定する、あるいはすべて否定するのは、まったく別の人間であるから、あり得ないことだ。 著者自身も、旧『ゴーマニズム宣言』からの長い連載の中で、考えを改めている部分もあるぐらいだ。同じ人間でも、時間とともにその考えが変わることがあるのだし、変わって然るべきだと思う。 重要なのは、こういう本を読んで、刺激を受けて、他の本を読んだりして自分で調べて、自分の意見を持つことだ。誰の真似でもない、自分の意見だ。その為には、いろんな人のいろんな意見を知り、いろんな角度から物事を見なければならない。 そのいろんな意見の1つを知る為には、結構いいテキストになるのではないかと思う。文字だけでなく絵が豊富(というかマンガ)だし、文章もその辺の文章家の書く文章よりよっぽどわかり易い。 ただ、雑誌の連載として読むにはちょうどいい量なのかも知れないが、こうやって一冊の本にまとめられていると、読むのにちょっと疲れる。 わたし的には、第116章の前半部分が一番おもしろい。こういう部分をもっと増やしてくれればもっと読み易くなるのにな、と思う。