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旧石器・縄文・弥生・古墳時代 列島創世記 (全集 日本の歴史 1)

旧石器・縄文・弥生・古墳時代 列島創世記 (全集 日本の歴史 1)

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旧石器・縄文・弥生・古墳時代 列島創世記 (全集 日本の歴史 1)の商品レビュー

5.0 古墳は心に働きかける美的モニュメント
 本書の特徴は、今までの歴史全集の時代区分ごとの分冊では描ききれない、旧石器時代から、縄文、弥生、そして文字を基にした統治へ移行する直前の古墳時代までのトータル約1万年を、無文字社会として1巻にまとめ、移動生活からムラそしてクニへと変遷していった歴史を、心理学的視点をも取り入れてダイナミックに描き出している点にある。

 なかでも感心したのは、打製石器や縄文土器の説明のなかで、作る「モノ」に「凝り」を盛り込んで、社会的メッセージを表現するのがホモサピエンスの特徴だと指摘したうえで、前方後円墳に代表される古墳は、有力者の墓という、その機能ではなく、人々の心に働きかけることを目的とする美的モニュメントだと述べる箇所だ。著者は人間の内面(精神面)の推察(「認知考古学」と呼ぶらしい)から多くの議論を行っていて、今までに無かったユニークな視点を提供している。いずれにせよ、食料、必需品、特に朝鮮半島からの鉄資源を差配する窓口になった人物や集団に威信が集中することによって、古墳という巨大モニュメントが生み出される過程がよく理解できた。

 さらに、なぜ歴史には安定期と変動期が繰り返し現れるのかについて、その最大要因とされる過去の気候変動を概観した後、安定期は(世代を超えた)縦方向の「伝統」が、変動期は(地域を超えた)横方向の「伝播」が活発になるという指摘には感心させられた。そのうえで、安定期の北海道・東日本・近畿・西日本・北九州・南西諸島といった、各地域ごとの文化的独自性を明らかにすると同時に、変動期にかいまみれる、列島全体レベルでの文化的共通性についても触れていて、ローカルな地域・民族的伝統とグローバルな市場経済とがせめぎあう21世紀にも通じる歴史法則を読者に垣間見せてくれる。
5.0 へぇー、なるほど、そうだったのか
学校で教わる歴史、とくに石器、縄文、弥生など古代の事柄は雲をつかむような話で、
まったく興味もありませんでした。
古墳が現れ、権力闘争や戦い、政治が感じられてやっと“歴史”が動き出すのでした。
ちょっと反省です。
著者は「文字記録によって綴られた歴史と、物質資料によりつつ
自分自身を見つめることで描き出されるもうひとつの歴史とを織り重ねていくことで、
私たちは歴史的存在としての自分自身を自覚し、
未来を見つめる手がかりを得ることができる。」と言っています。
土器の変化や地域性、稲作の起こり、伝播。人々の家族構成、生活の様子。
巨大古墳について。ホモ・サピエンスについて。気候の変動について。
現代の、今の私たちが古代の「そこ」にいます。とても面白い。
4.0 日本古代史の認識の変遷にご興味があるかたにお薦め
2001〜2年頃出た講談社の日本史シリーズと比べても隔世感があるというか、考古学
認識上の大きな転換があった事を感じさせる21世紀の日本史シリーズの一巻目にふさ
わしいと言えると思います。
もともと縄文前史、縄文・弥生・古墳時代は発掘がどんどん進むし、定説の変化も激し
い時代ですが、僕たちがやっと使い慣れた「続縄文」をもう使わないとか、読者も変化
についていくのはたいへんです。

本書では史的唯物論批判で得られたパースフェクティヴを使用して語られているのです
が、僕が読むと、ある側面(物証主義、遺跡・遺物に語らせる)は、唯物論をさらに推
し進めたものに見えます。
別の側面(認知科学、脳科学を使用して人間に共通する心理を想像する)は、これによ
って従来の定説と異なる説を提出しているので、こちらの方が面白いのですが、ちょっ
と信用するまでは至らない感があります。

本の形式としては、文字が大きく、行間が離れていて読みやすいのですが、反面、密度
が薄いように思われます。カラー頁も巻頭に数ページと日本史書の伝統を背負ったまま
になっていて残念です。作る方は楽でしょうけど、読者の理解は全ページカラーで写真
と図をふんだんに使ってある方が格段に深まるでしょうから。

縄文前史、縄文・弥生・古墳時代にご興味のあるかたや、日本古代史の認識の変遷に
ご興味があるかた、この機会に日本史を通読してみようと思うかたなどにお薦めです。
5月までは、定価より600円安く買えますしね。
3.0 21世紀の歴史叙述
 本書表紙の白地の装丁が、心待ちにしていた映画が
始まる際のスクリーン幕のように見えました。それほど
に、本書の「一貫した物質資料の分析と解釈の方法論
を軸として、ひとりの者が日本列島四万年の歩みを綴
ろうする試み」は、読む前からわたしをワクワクさせまし
た。
 それで読後の感想はというと、必ずしも満足というわ
けではなく、微妙なところがあります。
 というのは、著者のいう三つの指針のうち、日本を各
地域の集合とし東アジアとの交流で捉えるという意図
は十分に、石器、土偶そして古墳の形状から認知考古
学で人々の集団化、階層化を読み込むというそれは、
肝心の発掘資料の不足といううらみが残るにせよ、あ
る程度は達成されていたと思います。
 しかし最後の、季候と植生そしてそれに直結するバ
イオマスの変動と土器、穀物・稲栽培そして鉄の使用
という技術の伝播との有機的なかみ合わせについての
叙述は、メリハリに欠けて物足りないものでした。これ
は著者が、「社会の構造化やその変化の、最大の原
動力」といっていただけに、余計残念でした。
 ただ、著者と版元の意気に感じて、星の数は少しお
まけしました。
3.0 発達論的歴史学
07年11月配本開始となった、日本史シリーズの第1巻。発掘されたものの紹介や、歴史的事実と目されている情報の羅列にとどまらず、認知科学的な観点からヒトの頭脳や能力の発達過程が検討されている点が非常に興味深く、刺激的である。
書き手の情熱が相当にこめられた生き生きとした文体も好ましく、日本史や考古学の書物にあまり馴染みのない私も、早くも第2回配本が楽しみになった。

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