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村上朝日堂 (新潮文庫)

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村上朝日堂 (新潮文庫)の商品レビュー

5.0 この軽さ、絶妙
 この軽さ、笑えます。すっと通り過ぎていってあとに何も残らないこの感じ、最高です。村上さんの文章、水丸さんのイラストがマッチしています。
 水丸さんの「髭を剃っているカール・マルクスをあたたかく見守っているエンゲルス」、見たかったなあ。
5.0 村上朝日堂
村上春樹によるエッセイ集。新潮社文庫。

テンポがよくてユーモアがあって、読み終わるのに10分とかかりません。文章もイラストもふざけてるようにしか見えないんですが、全体に漂う力の抜けた雰囲気のおかげで何度読んでも飽きが来ず、今も暇なときにぱらぱらと読んで楽しませてもらってます。国鉄とか学園闘争とか、時代の流れでピンとこない単語もいくつか出てきますが、そのことは話の面白さに特に影響を与えるものではありませんでした。情事の後の豆腐とか、夫婦の間でプレゼントを贈りあうことの不毛さなどは時代を越えて共感を呼ぶ感覚ではないでしょうか。

一番最初に出会った村上作品がこれだからなのでしょうか、私は小説家よりも随筆家としての村上春樹の方が好きです。猫や音楽、何かを食べる時のシチュエーションにさえもこだわる姿がなんだかおかしくて笑えます。
5.0 インターネットも携帯電話もない時代に
 村上春樹の初めてのエッセー集。このエッセーは学徒援護会の「アルバイトニュース」に連載されていた。その事実は 1980年代の心温まる歴史である。

 当時の村上春樹は「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」といった スタイリッシュな都会小説で 一部の読者に人気を有していたカルトな作家であった。軽いながらも 目を凝らすと何か底に重いものが見えるかのようなそんな作家だった。バブルを迎える前のまだ穏やかだった時代に快い小説だった。

 そんな村上がさらりと書いたのが このエッセーである。当時一読して驚嘆したのを覚えている。読みやすく ユーモアとエスプリが効いていて かつ どこか優しい眼差しを思わせるエッセー。今読んでいても斬新である。その後の村上は 小説、翻訳等で大ブレークした事は既に20世紀末の「歴史」だ。その間に彼が時として書いてきたエッセーも彼の重要な仕事であるし 何より 我々2年来の読者としては 村上と雑談をしているような居心地のよさがある。

 それにしても1980年代の大学生は この本を持って喫茶店に行って ビールを飲むことが好きだった。インターネットも 携帯電話も無かった。あのスローな時代は 今でも 懐かしい。
5.0 駄文に隠れる天才性
小説家としての村上春樹は、はっきり言ってどうなんだろ?という
気がいつもしないでもないが、文章家としてはほんとに上手い。
小学生でも書けるような文章で、その実空気をそのまま
切り取ってきたかのような瑞々しい比喩をする。
読むだけで萌える文章が書けてしまう希少な人間だ。
手っ取り早く彼の上手さを知るということでは
エッセイが一番楽でいい。

このひとの凄いところは、面と向かって嫌いな題材を書く場合でも、
「大嫌い」だということはしっかり伝わっているのに、嫌いな感情に
付き物の、周りや相手を傷つけたり不快にさせるとげとげしい気持ちが
一切伝わってこないところだ。
逆に好きなものや自慢を書いているときも同様。気障さや嫌味が全く
伝わってこない。
この感情の書き分けの上手さが、彼と凡百のライトノベル作家を分けている
いちばんのポイントではないかと思う。
こういうところを常々まねしたいと思うんだけどな・・・

5.0 深みのある面白さ
純文学の村上春樹の本よりもどちらかといえばこっちの路線が好きな私としましては、記念すべきこの路線の第一号です。作者と年代が同じが故に書かれてある事柄に共振することも多く。感性の豊かな人は同じ物事を見てもこんな風に感ずるのかと物思いにふけることもしばしばでありました。そしてもう一つ、純文学の作品の根底にある村上流の思想の断片をこの「村上朝日堂」シリーズから発見することも楽しみの一つでもあります。そしてなんともいえない生きるうえでのこだわり、「これが大事なんや」と痛感してます。こだわりが生きて本を書いたらあのような本が出来るんだと、そのこだわりの断片がこの本には散りばめられております。ですが、あんまり難しいことを考えずに読み通しても面白く楽しい本ですよ。

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