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ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

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ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)の商品レビュー

4.0 物語は続く
この話、全然終らない。

でも実はこの作品、94年に第2巻まで発売され、2巻のエンドロールには「続」ではなく、「完」が記されていた。つまり、2巻完結の長編小説として世に送り出されたわけだ。

ところが翌年の夏に、予期せぬ形で第3部が刊行された。

「予期せぬ形で」とは言っても、第2部を読了した今思うことは「えっ?これで終わり?謎だらけなんですけどー」って感じだし、続編が刊行されてることは何の違和感もない。

この謎だらけの物語がどう収束するのか、僕は期待に胸を膨らませ、第3部に移る。


最後に第2部で印象に残った文章を記して終ろう。


「加納クレタが僕に向かって微笑みかけたのはそれが初めてだった。彼女が笑うと、歴史が少しだけ正しい方向に向けて進み始めたような気がした。」
5.0 再読を終えて。

笠原メイ、加納クレタ。この二人の女性との絶妙な距離感での関係を中心に、一部では何がどうなっているのか解らなかった主人公が、自分のすべきことを見つけ出すまでの第二部です。
 
笠原メイの「あの女の人を抱いたから、もう私には用がなくなったってことなの?」というキビシイ言葉が妙に心に刺さりました。

夏の暑さと何ともいえない倦怠感を感じることのできる一冊です。
5.0 不気味な説得力
ここ一ヶ月間、発表年順に村上春樹の作品をほぼ全て読んできたが、これが最高傑作だと思う。これほど面白い小説も珍しい。面白さという点で、東野圭吾の「白夜行」と双璧だ。また、なにげなく書かれているようだが、方法的にも考え抜かれた作品だ。ボルヘスなどラテン・アメリカ文学、ヌーヴォー・ロマンなどで試行されてきた実験的手法が使いこなされているように思える。
中巻はますます荒唐無稽だが、不思議な説得力がある。登場人物達が体験するようなシンクロニシティーや現実のような夢を(勿論、遥かに淡いものだが)私自身何度か経験しているからだ。その度に、宇宙は不可知のカルマと意味に満ち溢れたものであり、心と物、自己と他者はくっきりとは分離できず、別次元では相互に融合しているような感覚に陥るのだ。
そうした神秘感覚を煮詰めたような作品でもある。
クレタという女?が最も謎めいている。クミコの多重人格的無意識が創ったドッペルゲンガーのようにも見えるし、マルタの実在する霊媒の妹、ねじ巻き鳥の化身、宮脇の次女の幽霊のようでもある。
5.0 夢と現実とが交差した世界の表現に圧巻
 村上作品の中で初めて、主人公が怒り、暴力をふるう場面のある作品でもある。
 
 まるで霧の中に迷い込んだかのような、夢と現実とが交差した世界の中で主人公(岡田)が困惑する。また自らが井戸の中に入り、クミコの失踪の原因について深い瞑想をし探求しようとする。井戸の中での体験が非常にリアルだ。
5.0 小さな声で語られる、本当に大切な情報
第2部「予言する鳥編」は妻のクミコの失踪という大きなトラブルより幕を開ける。この2部での主人公のオカダトオルに課せられた使命は、孤独と言うものを受け入れ、情報が明確にされるまでじっと待ち続ける事。それは、とても絶望的で多くの傷みを味わう作業であると思う。時にそのとてつもなく閉鎖されたその状況に辟易し、海外へ逃亡という道を選ぶ事を考えたりもするが、結局そこに居残る事を選択する。そして、この2部でも最もキーとなる場面であるが、謎の女の正体をついに自分で探し当てる事となる。

この「予言する鳥編」では、様々な登場人物の一言一言がとても重要な鍵となっているように思う。そしてそれは現代に生きる人々にとっても本当に重要な事なのではないか?という風に僕は感じている。

「自分にとっていちばん大事なことは何か、もう一度考えてみた方がいい」
「『新しい世界を作ろう』とか『新しい自分を作ろう』とか、誰にもできないんじゃないかな」
「それはお前が自分でみつけて、自分でやるしかない」
「ここは血なまぐさく暴力的な世界です。強くならなくては生き残ってはいけません」
「良いニュースというのは、多くの場合小さな声で語られるのです」

自らの想像力を超えたトラブルは、自分を見失わせてしまう。そして、自分が安心する為に何かに逃亡したり、依存したり出来てしまうシステムが、この世界に多く存在している。オカダトオルの行動は一介、奇怪なものに映るかもしれないし、随分と遠回りしているようにも見える。だが、本当に自分が求めなくてはならない情報は、自分のやり方で細かく時間をかけて追わなければ見つからないのだと思う。疲弊しながらも最終的に「良いニュース」に辿り着いた彼は、3部の「鳥刺し男編」にて自分にとって最も大切なものの為に、行動をしていく。

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