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ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

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ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)の商品レビュー

3.0 構成力の弱さ
日常の中に潜む些細な出来事が実は深い意味を持っている。その意味に気づくことは幸せなのだろうか?運命付けられているかのように受け入れるしかないいくつかの出来事。 透明な悪意に満ちた世界にパステル調の色彩のヴェールで紗をかける。そして人の心の奥底にそっとメスを入れる。独自の世界観を大上段に構えるわけではなく、静かに語りかけるように説き続ける筆者。
今、村上春樹を語る時に使われている此れらの修辞は、良きに付け悪しきに付けこの作品にこそ相応しいと思う。
しかし、いかんせん構成、展開ともに凡庸で最後まで読み通した充実感が無い。部分的には印象的なエピソードが多いだけに、はっきり言って途中で読むのを止めても読後感は大差無いかもしれない。
蛇足になるが、主人公がひたすらカタカナフードを飲み食いしているだけといった印象が残る。
5.0 現代日本文学の至宝
期待感のない小説だ。ノーベル賞をとっても驚きはしないからだ。また読みおえた人を不幸にする小説だ。これよりよいものにめぐりあうことは今後そうないと思えるからだ。それ以外けなしようがないほどの大傑作。これ一冊で村上春樹の偉大さが十分わかる。

奇妙な鳥の声に気づくと間もなく愛猫が姿を消す。主人公岡田トオルの平凡な日常は徐々に変貌し、ついに妻クミコまで謎の失踪をとげる。何かが狂ってしまったなら、もとに戻すしかない。ねじまき鳥の声が止まると、岡田トオルの静かな戦いが始まった。行く手を阻むは綿谷ノボルほかに象徴される悪。時空をこえ世界を支配する強大な敵だ。普通人、岡田トオルは、はたして勝てるか。だが魂の彷徨を続けるなか、彼は多くの人にめぐりあい、学び、力をつけていく。登場人物、エピソードはそれぞれが深い洞察に満ちたメタファーだ。複雑なこの世のすべてが記されているといっていい。さまざまに読みとけるだろうし、それ自体また楽しい。この本の魅力を語るだけで分厚い本が書けるだろうし、事実、出版されている。

一見シュールで難解だが、愛するものを奪還すべく悪と戦うシンプルさが核。古典的で普遍的なテーマを追求した清々しい物語だ。多くの読者をひきつけてやまないゆえんだろう。意味不明だがとにかくこの話が好きという人が多いのは、頭ではなく魂で読む優れた読者をそれだけとりこにしているあかしだ。

物語同様、簡潔な文章は、澄明で流麗。だから読みやすい。これからもより多くの人に愛されることを願う。
4.0 初村上春樹
とても壮大で複雑怪奇で取り留めのないような作品ですが実は色々なことが絡み合いリンクしているんだなと思いました。よく読んでいけばヒントが隠されていたりしますし。でもそのヒントも読み手によって違うし感じ方も違うんじゃないかと思います。でもそういう作品なんだと思いました。多くの謎を謎(一般的にみれば)のまま終わらせているのもそのためじゃないかと思いました。一回読んだくらいじゃまだほんの一部を触ったくらいなのかなとも思いました。
日常はえてして非日常にすぐ飲み込まれるんだなってすごく感じましたしとりあえず登場人物が味のあるキャラばかりで作風も好きでした。
2.0 皮を剥ぐ男  壁にかかった人皮
本屋で立ち読みしたときに読み出しがとてもいい感じ
っだたので、一気に3部買ってしまいました。

買ってしまった手前読まなくては勿体ないと思い読破しましたが、
感想としては、正直しんどかった。

読んでいても頭にイメージがわかず、読んでいる目の前の文字がそのまま頭に浮かんでくる
感じ(アマゾンのレビューで改行もせずに横もいっぱいまで使って
書いてある長文を読まされているような??)でぜんぜん入り込めませんでした。

独特の世界観や、読者に結末を委ね色々深読みさせるというスタイルが
好きな人ははまるのでしょうか?

村上春樹の小説は題名のセンスのよさに惹かれ手に取るのですが
やっぱり僕には合わないようです。

3.0 新しい結末を求めて!
これまでの作品を超えるモノとしての3部があり、村上作品の特徴のひとつである(レイモンド・カーヴァーみたいに!)短編を元にした長編作品という枠から、さらに超えて結末を模索するように感じました。2部までは確かにこれまでの作品と同じ村上春樹さんの特徴(あちらの世界とこちらの世界という2つの世界が出てきたり、自身に非は無いものの巻き込まれる事や、様々に魅力的な脇を固めるキャラクターたちや、スーパーナチュラルな何かを持った鍵になる人物、主人公に好意的な複数の魅力的な女性の登場、使用される楽曲の選曲の素晴らしさ、時々出てくる固有名詞を交えるのが絶妙な事とか、物語を終えた後の余韻の深さ等)を備えていますが、その中でも少し(「妊娠」という今までの村上作品にはない現実的重さ=責任を伴うもの、現実の名前の付く戦争=圧倒的暴力に繋がること)変化がありますし、さらに3部に至ると今までにない要素がさらに加わります。


現実の日本の政治の世界への繋がりと、名前の付く戦争(圧倒的暴力)への暴力を介した繋がり、そして物語の終着点の新しさです。それ以前のままでなら、間違いなく2部で終わっていたと思います。しかし3部を作ることで物語の結末が新しいのです。自身の手を汚し、象徴としてでも、あちらの世界であろうとなんだろうと、主人公が暴力的解決策を実行する事は今までにないことです。今までの作品であるなら、一見平和に見えるこの世界は非常に暴力的な、理不尽な世界である事を示唆して、なお自分から暴力的解決策を取らない、降りかかるものに対しては必要最小限度の介入をする、あるいは第3者が助け出す、または既に手遅れ(だからこその諦念が《ニヒリズムとは似て非なるものなのに!》あるいは深い喪失感にリアリティを持たせる事に成功していた!と個人的には考えます)、というパターンだったのに。


ただより様々なキャラクター、事件、世界、時間、など村上さんの得意とする(あるいはいつもよりもさらに広い)世界と時間を扱った為と思われるますが、その大きさ故のリアリティが、説得力がなくなってしまっていると私個人は思います。例えとして良いか悪いかワカラナイけれど、「羊をめぐる冒険」に羊男が出てくる、彼は実際の人物に見えて実は存在しない、鏡には映らない「ナニカ」である、文章で書かれている。あちらの世界の人物(「ダンス〜」では実際羊男に会うには暗闇を通してドルフィン・ホテルからあちらの世界であるいるかホテルに行かなければ会えない)で私個人は納得できる説得させられる。しかし、「ねじまき鳥クロニクル」に出てくる【仮縫い】という行為に、井戸の底に下りる事で壁をすり抜ける行為に、顔に出来るあざに、文章で描かれていても説得力やリアリティを感じないのです。これだけ詰め込めば仕方のない事かもしれませんけれど。ですが、ここまで村上春樹作品としての世界を広げるならば(狭い、個人的世界で勝負していたからこその成り立ちみたいなものがかなり消えてしまっていると私は思います)それ相応の細かなものひとつひとつに対する入れ込む何かが足りなかったのでは?と思ってしまいます。


また、暴力的解決策を取らざる得ない程の自身と対比する「悪」を登場させるという構図を取ることにより、結局の所(もちろん自身を「正義」と表記する事は無いのですが)結果として自分を正義に置く行為になってしまっています。その遠因に「ダンス〜」の時と同じ様に「遺伝子」を使い、また、戦争の影を落として綿谷ノボルに「悪」を背負わせ、また「クミコ」にもその影響を与えることが、私にはちょっとアンフェアで納得できなかったのだと感じました。いままでの作品で出せていた、またはしつこく繰り返されていた、巻き込まれることで被害者的立場のモノが発する、受け入れるチカラ、強さ、が自身を信じ、暴力的解決を取ることで私には、説得力を、納得を得られませんでした。普通に生活する事で手を汚さない人間はいませんが、だからこそ誰もが進んで手を汚す必要は無いし、汚れに慣れてしまうことの恐怖、いつ自分が汚れそのものとして扱われても不思議ではないこの世界にいることへの配慮を思い出させる事の出来る小説として成り立っていた部分が抜け落ちてしまっているように感じられるのです。ま、それだけではどうしようもないのですけれど。「やれやれ」とつぶやくことでは何も解決しない!とアンチ村上春樹さんたちが言う気持ちも少しは分かりますが。

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