商品の情報
少将滋幹の母 (新潮文庫)

少将滋幹の母 (新潮文庫)

この商品が欲しい!
この商品は Amazon.co.jp で購入することができます。このボタンをクリックすると、商品が Amazon.co.jp のカートに入ります。

少将滋幹の母 (新潮文庫)の商品レビュー

4.0 短いながら奥の深い作品です
谷崎の古典物の中では異色です。歌がたくさん引用されており、註がないと前には進めませんでした。また舞台が平安時代となっており様々な先行作品や歴史的な作品からの引用が全体の歴史的な構成をしっかりとしめています。しかし本筋はなかなかその姿を現しません。前半はあたかも平中の物語のようです。しかし平中はあくまでも話の展開の中での駒にしか過ぎません。次に登場する左大臣時平、そして国経もその具体的な存在の対照さが生き生きと見事に描かれますが、これらのシーンもあくまでも最後のシーンに行き着くまでにもステップでしかないわけです。しかしどれも忘れがたいシーンです。排泄物のトリックがよく取り上げられますが、不浄観の部分は、哲学的な背景として重要な場面です。個人的に一番気に入っているのは、平中が幼少の滋幹の腕に滋幹の母宛への歌を墨で書くシーンです。ここには知らず知らずのうちにエロチシズムを背後に忍ばせた粋が表現されています。最後の西坂本への滋幹への訪問は、自然描写と心理描写そして視覚と嗅覚の記憶が一体となった見事なクライマックスになっています。
5.0 谷崎潤一郎の手腕
寸毫も文章の調子を変えているわけではないのに
女の部屋に一歩踏み込んだ瞬間、雰囲気・場面を、
全く不自然さなしに変化させる、谷崎の腕。ため息が出てしまう。

例えば、「その一」後半、平中が侍従の部屋に忍び込む場面では、
遣戸の手をかけるところから、女の部屋の暗闇を予感させ、
空薫の香で読み手を一気にその暗闇の中へ、ぐいっと引き込んでしまう。

他にも感嘆させられてしまった場面がいくつもある。
特に、「その二」の冒頭から、上皇より仰せがあり、平中が歌とともに菊を奉る、
その流れをさらっと筆した(文庫で)1ページほどの運びは見事と言うの他ない。
また「その五」の國經が目覚めてから、讃岐との会話の終わるまでのところ、
実に、孕むものの多い、密度の高い文章だと思う。

小道具の配置、会話文の妙から、古歌・古文・逸話の挿入の仕方・タイミング、
谷崎の力量・感性がはじめからしまいまで冴え渡っている。

この作品を愛好せずにいられない人は、谷崎の王朝もの(「兄弟」「二人の稚児」など)
殊に谷崎訳の「源氏物語」も手にとって見てほしい、源氏にはきっと圧倒されると思う。
4.0 中世の人物が生き生きとよみがえる。
 平明な文体であるにもかかわらず、人物描写が素晴らしく、見せ場の一つである国経邸での時平と国経とのくだりは読者を刺激して一気に読ませてしまう。

 また、妻に去られた後の国経が、夜中に捨てられた死体を見に行く場面は、後を付けた滋幹ならずともゾッとするでしょう。

 ストーリーの起承転結を楽しむというよりも、場面場面での臨場感を十分に味わうことのできる秀作である。

4.0 文学の魔力
 谷崎潤一郎の小説は、いつもここにないものを欲しがっている。この作品も、少将滋幹は母を追い求め、滋幹の父は妻を追い求めている。ストーリーそのものは、数多くの古典から構成されており、古典を読みつくした作者だけあって、古典そのものの文学の真髄が読み取れる作品となっている。

 それはさておき、私が一番衝撃だったのは、滋幹の父が死生観を実践するシーンだ。幼い滋幹は、父の後をひたひたつけてゆき、父の行いを見てしまう。その部分は、極力脚色を押さえた文章の中に、はっとするような幻想性がある。これは、作者の短編「母を恋うる記」でも、ほんの一瞬だけ感じられる幻想性である。作者のテーマは母性的な愛情の探求だが、それはあくまでストーリーの好みであって、もっと恐ろしい、魔力のようなものを、作者はいつも生み出そうとしていたのではないかと思う。

5.0 谷崎の最高傑作
あまり大げさな形容はしたく無いが、どう考えても
日本文学の至宝なのに、谷崎作品の中でも知名度が
決して高くないのは残念。

今昔物語、宇治拾遺物語を始めとした多数の古典を
引用、再構成し、さながら平安絵巻のような一本の
中編に仕上げたのは、さすがに文章の神様。

改行や句読点の少ない連綿とした文章だが、樗牛の

ような才気ばしった嫌味がない。言葉のすみずみに
まで細心の配慮が行き届いた、それでいて自由闊達
な最上級の日本語を堪能できる。

構成や学識もさすがだが、僕が谷崎にひかれるのは、
何と言っても、溜息が出るような文章の美しさである。

「美しい日本語とは何か?」と尋ねられたら、僕は
「それは少将滋幹の中にある」と答えるだろう。

本の最新売り上げランキング - トップ10

1位 pixivで学ぶイラストテクニック集
おすすめ度: 価格: ¥ 1,800  近日発売 予約可
2位 生声CD付き [対訳] オバマ演説集
おすすめ度: 価格: ¥ 1,050  通常24時間以内に発送
3位 起きていることはすべて正しい―運を戦略的につかむ勝間式4つの技術
おすすめ度: 価格: ¥ 1,575  通常24時間以内に発送
4位 MUTUALITY:CLAMP works in CODE GEASS
おすすめ度: 価格: ¥ 1,995  通常3~5週間以内に発送
5位 彩雲国物語  黒蝶は檻にとらわれる (角川ビーンズ文庫)
おすすめ度: 価格: ¥ 540  通常24時間以内に発送
6位 「儲かる!会社」に一瞬で変わる 1日10分、年収3倍 見田村流超マーケティング
おすすめ度: 価格: ¥ 1,575  通常24時間以内に発送
7位 レッスルエンジェルス サバイバー2 ザ・コンプリートガイド
おすすめ度: 価格: ¥ 2,415  通常3~5日以内に発送
8位 細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!
おすすめ度: 価格: ¥ 1,260  通常24時間以内に発送
9位 スピード・ブランディング―普通の人がブランドを確立し、成功を加速させる
おすすめ度: 価格: ¥ 1,500  通常24時間以内に発送
10位 30歳の保健体育
おすすめ度: 価格: ¥ 1,500  通常3~5週間以内に発送
こちらもおすすめです
卍 (新潮文庫)
おすすめ度: 4.0
価格: ¥ 420
通常24時間以内に発送
吉野葛・盲目物語 (新潮文庫)
おすすめ度: 4.5
価格: ¥ 540
通常24時間以内に発送
鍵・瘋癲老人日記 (新潮文庫)
おすすめ度: 5.0
価格: ¥ 620
通常24時間以内に発送
刺青・秘密 (新潮文庫)
おすすめ度: 4.5
価格: ¥ 460
通常24時間以内に発送
蓼喰う虫 (新潮文庫)
おすすめ度: 4.5
価格: ¥ 420
通常24時間以内に発送