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門 (新潮文庫)

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門 (新潮文庫)の商品レビュー

4.0 それからのそれからは?
 「三四郎」「それから」に続く漱石前期三角関係三部作の最終作。それにしては前作「それから」が、だらだらした進行が最後に一気に、緊張感をもって真っ赤に燃えて終了するのとは違い、今回はだらだらした状態が最後まで続く。 モンゴルアドベンチャーも最後まで、主人公とは遭遇せず、御米もそのまんま。大家の崖下に住んでいるという環境自体が、結構、クラい。鎌倉の禅寺に修行に行って、何も成果を得られず、踏んだり蹴ったりで東京へ帰ってきても相変わらずの、崖下暮らし。漱石の作品の中でも「超・暗い」作品ではなからうか。
4.0 人生とはこんなもの
「門」は「三四郎」、「それから」に続いて明治43年に朝日新聞に連載された。明治42年の伊藤朝鮮統監暗殺事件が、主人公である宗助・御米の夫婦の会話に出てくることから、背景となる時代がわかる。宗助夫婦はまだ江戸の名残りを留めている東京の片隅の貸家に肩を寄せるようにひっそりと暮らしている。役所に勤めているが、暮らしは楽ではない。そのうえ夫婦には友人を裏切って結婚したという過去があり、これがいつもトラウマになっている。

漱石の享年を遥かに越えた今、「門」を読み返してみると、宗助の優柔不断さが実感をもって共感できる。抜本的な対応ができず時が解決するのを待つ。人生とは多かれ少なかれこんなものだろう。座禅を組んでも簡単には悟りは得られない。宗助はきっと「こころ」の先生のような悲劇的なことにはならず、御米と労わりあって人生を全うするだろう、と期待する。

本書には柄谷行人氏の丁寧な解説(昭和53年)がついている。
その中で、宗助の日常を「かつて激しい学生運動をやっていた者が中年のサラリーマンとなって感じる感慨と類似する」というが、さてどうだろうか?
4.0 「それから」のそれから
前期三部作の最終作で、「それから」の"それから"を描いたもの。「宗助=代助」、「お米=三千代」の関係を明示してまでも大きなテーマの一環として本作を描いた漱石の意図が窺える。女中の名前が"お清"なのも偶然ではあるまい。

「義理を取るか女を取るか」の煩悶の末、女を取った代助の分身宗助は腑抜け状態になっている。お米は子供を授かれない身と言う天罰を背負っている。この勧善懲悪的な設定と、夫婦が肉欲的な愛情ではなく、むしろ友情によって結ばれている所に漱石の男女観を見る。二人の心理状態を季節の移ろいに託して巧みに描いている点も見逃せない。また、物語が純粋心理劇でありながら、巧みな構成で読者の気を逸らさない点は流石である。最後に宗助は宗教の「門」を叩いて救いを求めるが、勿論そう簡単に救いが得られる訳がない。宗助が「門」に対して考察する様は、カフカの「掟の門」を思わせる。この"救い"という観念は、その後の漱石の重要なテーマになる。

漱石が門人に辞典を適当に開かせて、たまたまその頁に載っていた「門」を題名にした本作。その題名に向かって素晴らしい構成で、前作の"それから"の有様と今後のテーマを打ち出した前期三部作を締め括る名作。

5.0 道を外れた恋の行方 寂しさが募る
漱石前期三部作の最後といわれていますが、この後の漱石の描く世界に共通する
独特の暗さが芽生えています。
しかし、漱石のこれを書いていた当時は、決して暗いものではなかったはずで
ということは、フィクション性を強く打ち出したものと考えられます。
その意味で、人気の高い『三四郎』『それから』よりも、漱石を語る上では
重要なターニングポイントといえるでしょう。

ただ、貧窮した生活で、押入れの中から「酒井抱一」の「銀貼りの屏風」が
出てくるというのは、それって国宝の、国立博物館にある「秋草図会屏風」では?
と思われて、そんな国宝になるものを持っているなんて、貧しくなる以前の
生活が、つまり主人公の実家が如何に裕福であったかと、あきれ返ります。
もちろん、これはわたしの推測にしか過ぎませんが、東京国立博物館にある
屏風を見るたび、『門』を思い出します。美しい屏風です。
2.0 漱石にしては・・・
夏目漱石の作品は大好きなのですが、この作品については???です。
漱石独特の、どこか外野的な淡々とした文体はあいかわらずなのですが、作品の構成自体がなんとなくおさまりが悪い・・という読後感が残ります。
不完全燃焼作品?

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