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草枕 (新潮文庫)の商品レビュー tao
物語の軸に常に老荘の思想があります 明治の知
この小説の出だしは夙に名高い。漱石の和文、漢文の素養の厚さには感じ入る。本職は英文学である。明治は時代の趨勢から、和・洋・中に通暁する人材を生んでいる。その点では、現代よりも知性が高い(本書はその例)。 近代に対する呪詛がみてとれる
有名な冒頭の文章は殆どの人が暗唱できるほど知られたものと思う。しかし、「草枕」はそれほど長くないにもかかわらず、最後まで読んだ人は少ないのではないか? 恥ずかしながら還暦をとっくに過ぎた小生もその一人である。「非人情」の世界の小説、俗界を離れた仙人のような生活を賛美した小説かと思い込んでいたら、どうもそうではないようである。 那美とは、美とは何かという問いなのか?
「漱石先生、先生が博学なのはよーくわかりました。ですから、私共のような無教養な者にも、もう少しわかるように書いて下さい」とお願いしたくなるような文章が続く。子規と交友の深い漱石だけあって「写生」にこだわりを見せる芸術論かと思いつつ、ひたすら脚注と首っ引きで読み進める。難解ではあるけれど、有名な冒頭だけでなく、印象的な言葉が断片的に続く。「小説なんか初から仕舞まで読む必要はないんです。けれども、どこを読んでも面白いのです」「不人情じゃありません。非人情な惚れ方をするんです」 ミレーのかいた死んで川を流れてゆくオフェリヤの面影漂う那美さんとラオコーンとの関連性とは何か。「あの表情では駄目だ。苦痛が勝っては凡てを打ち壊してしまう」 那美さんの表情に欠けているもの ・・・嫉妬? 怒? 恨? そして憐れ。「憐れは神の知らぬ情で、しかも神に尤も近き人間の情である。御那美さんの表情のうちにはこの憐れの念が少しもあらわれておらぬ。そこが物足らぬのである」 そして、最後のページにそれらの全てが収斂され、圧倒的な印象を残す。 明治39年(1906年)発表
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」から始まるこの小説の目指すところは、ラディカルだ。 本の最新売り上げランキング - トップ10
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