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硝子戸の中 (新潮文庫)

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硝子戸の中 (新潮文庫)の商品レビュー

5.0 仕事も恋愛もひとまず忘れて、ゆったりとした時間の中で読みたい本。
 大病を患い外出もままならない漱石が、
自宅の「硝子戸」の「中」から垣間見る世間と自分との関りについて
自由に思索を巡らせた随筆集です。
 私が特に好きなのは、漱石の子供たちが可愛がっていた飼犬の話。
仔犬の頃は周囲の人気者だったものが、年をとって病気になり、やがて皆に忘れ去られるようにして死んでしまう。
移ろいやすい世間の心情とは別に、漱石は最初から最後まで静かな愛情でもって犬に接し続けます。
かといって、年老いた犬に態度を変える世間を責めるような、教訓めいたところはありません。
自分の病体と老いた犬の姿を重ね合わせたりもするのですが、そこに大げさな悲哀は感じられません。
 どこまでも淡々と静かに犬の一生を書き綴っているだけなのですが、
漱石の美しい簡潔な文章を通して、人の世に対する慈愛みたいなものがじわじわと伝わってくるのです。
読み終えた後、苦しみや悲しみも含めて人生を肯定したくなる穏やかな気持ちに自分が包まれていることに気づきます。
慌しい日常からちょっと距離をおいて、ゆっくりとした時間の中で読みたい本です。
2.0 仕事も恋愛もひとまず忘れて、ゆったりとした時間の中で読みたい本
 大病を患い外出もままならない漱石が、
自宅の「硝子戸」の「中」から垣間見る世間と自分との関りについて
自由に思索を巡らせた随筆集です。
 私が特に好きなのは、漱石の子供たちが可愛がっていた飼犬の話。
仔犬の頃は周囲の人気者だったものが、年をとって病気になり、やがて皆に忘れ去られるようにして死んでしまう。
移ろいやすい世間の心情とは別に、漱石は最初から最後まで静かな愛情でもって犬に接し続けます。
かといって、年老いた犬に態度を変える世間を責めるような、教訓めいたところはありません。
自分の病体と老いた犬の姿を重ね合わせたりもするのですが、そこに大げさな悲哀は感じられません。
 どこまでも淡々と静かに犬の一生を書き綴っているだけなのですが、
漱石の美しい簡潔な文章を通して、人の世に対する慈愛みたいなものがじわじわと伝わってくるのです。
読み終えた後、苦しみや悲しみも含めて人生を肯定したくなる穏やかな気持ちに自分が包まれていることに気づきます。
慌しい日常からちょっと距離をおいて、ゆっくりとした時間の中で読みたい本です。
4.0 漱石の意外な一面が…
生真面目で、おそらくは女好きな(ただしプラトニックに、それゆえ女性にもてそうな)漱石の一面が垣間見える、味わい深い佳品
5.0 漱石も・・・
この日本文学の大先生でさえも、自分は馬鹿で人に騙されるか、
あるいは疑い深くて人を容れることができないかどっちかしかないように思う。
悪い人は信じたくないが、いい人を少しでも傷つけたくないなどという
人間らしい悩みがあったんだなぁと思うと、とても親しみがわきました。

才能がある人はいろんなことに達観してそんなことには悩まないのではないかという
イメージがあった私はなんだか安心したりしました。
私は他の方より少し変かもしれないのですが、漱石の本を読んだのはこれが最初でした。
(普通は他の作品を読んでからこれを読むようなので。)

見ず知らずの一般読者の人にいろいろ頼みごとをされて、
その人が失礼な人にもかかわらず頼みを聞いてあげたり、
そんな人に振り回されて浮き沈みをしてしまう人間臭さにも意外性もあり、
漱石の優しさが感じられるエピソードでしたが
なんとなくユーモアがあり、この章(十三)を読んだときは笑ってしまいました。

具合が悪くほとんど外にでない漱石が、硝子戸の中にいてもいろいろなことが
あったんだなという、随筆集で漱石の意外な面を知りたい人は読んでみると
面白いと思います。

3.0 他人の目
朝日新聞に連載したエッセイ。
本書の出だしで、なにか言い訳がましく、読者に配慮しています。それほどに他人の目を気にする作者が物語りという虚構を使わず、ただ率直に思ったことを書き連ねているところに尊敬の念が生じました。
作品には番号が振ってあって、好きな作品は、9,19,33です。

とくに9は、本書のいたるところで人の死、自身の死の話が出るなか、なんの特徴もないごくごく日常に見られるありふれた出来事を描いているだけなんですが、このひとつの作品だけで気持ちが救われます。私の心が和んだという意味で。そして夏目さんが、作品の中の気持ちに素直になれてそれを作品として残せたという意味で。できることなら、もう少しこんな気持ちになって欲しかった。

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