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沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)

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沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)の商品レビュー

5.0 腐食の構造を垣間見た
ナショナルフラッグキャリアとして今なお憧憬と羨望の眼差しで
見られる華やかな航空業界の暗部を浮き彫りにした秀作。

会社に誇りを持ち、その会社を本当に良くしようと正論が訴える
ものが、私利私欲の為に会社を食い物にしている一部の人間に
握りつぶされ、その牙を抜くようにはるかアフリカまで跳ばされる
アフリカ偏から始まる。

次いで航空会社の体質が引き起こした世界最大の飛行機事故を
描いた御巣鷹山偏と続く。今もその時の衝撃が記憶に鮮明に
残っており、当時のニュース映像と共に呼び起こされた。
特に妻と三人の子供に残した遺書はそのままの形で掲載されており、
時を経た今改めて読み返すとその心中を察して涙が留めなく流れた。
ダッチロールや圧力隔壁という航空業界特有の言葉も社会に浸透した

更にその後の会長室偏では時の総理に懇願されて会社再建に
乗り出した会長と腐敗した社内外の勢力との対立によって志半ばで
退任に追い込まれるまでを描いた物語となっている。
最後に主人公にその後の改革を託して去って行くが、またしても
アフリカに赴任させられ、臭いもには蓋をしろの言葉通りに
反抗する勢力を去勢する体質が空しかった。ただ最後に行天専務
の任意同行で漸く司法のメスが入ることを予想されることが描かれ、
やっと救われた気分になった。
 
実際にあった御巣鷹山の事故の背景に隠された会社の体質が浮き
彫りにされて壮大なテーマを軸がぶれこともなく、読み応えの
ある長編に仕上がっており、さすが山崎豊子という感じだった。
4.0 アフリカ編は、すいすい読めます。
実話を基にしたフィクションである物語の第1巻であるが、3巻以降は、話の内容が自分には、難しく、アフリカ編が1番楽しめた。フィクションとノンフィクションが混ざってるので、首をひねりたくなる箇所もあるが、完全にノンフィクションだと、小説としての面白さが半減するとおもうので、この手法でよかったと思います。しかし、3巻以降は、善人と悪人の区別がはっきりしすぎてたので、モデルの人物がいるだけに、悪人側で書かれた人は、かわいそうな面もあります。よって、星4つです。
3.0 ノンフィクションなのかそうでないのか…
1巻〜3巻まではもう引き込まれるように読み耽りました。
特に3巻(御巣鷹山編)は圧巻で涙なしには読む事が出来ません。
そこで改めて、あの事故についてもっと知りたくなりいろいろと検索してみました。
この本の事も色々と書かれていましたが、
一番驚いたのは現実の主人公は一切この事故とは関わりあっていない、という点でした。

実際の主人公は、「ご遺族との交渉係」を担当するどころか、
あの事故の翌月に自ら希望を出してアフリカへ戻っていたとの事で…
もちろんこれは小説ですから、恩地自身があの事故やご遺族と関わりあっていかないと成り立たないのでしょうが、
物語の核といってもいい部分がフィクションなのはちょっとがっかりです…
ましてや、自分で希望を出してアフリカへ戻ったという事実。

この他にも、「実像とはまったく違う」といった反論なども多数ありましたが、
その意見が正しいのか、この本で描かれていることが正しいのか、私にはわかりません。

日航自体が大きな問題体質を抱えていた企業である事や、
労働組合に対する不当な圧力や仕打ちがあったのも事実なのでしょうが、
あまりにも「主人公=善」と描かれすぎていると思いました。
特に、何度も言いますが「事故には一切関わっていない」という点…
そのわりにはあまりにも献身的に描かれているのが非常に残念です。

しかし、3巻は本当に心を打たれます。
労働組合や主人公の問題は別にしても、読む価値があると思いますし、
「自分が今生きている」事を改めて考えさせてくれる作品です。
5.0 未だに続く戦い・・人間の根本的なものから見直したい
1巻は多少退屈に思えてくる方もいるかもしれないが、
とにかく3巻までたどり着いてみて!!!

◆出版にあたっても壮絶なストーリーが◆
当時人気作家山崎豊子氏の次の作品を連載させてもらおうと、
多くの出版社がやってきたが、日航の内情を描いた作品だと
いうことが分かるとみな腰が引けて逃げてしまった。
その中で新潮社の山田氏だけが会社を説得し、
週刊新潮での連載が始まる。
すると日本航空(JAL)は、新潮社の出版物から日航の企業広告を
すべて引き上げ(ま、、当然なんだけど、)新潮社は莫大な広告料
を失い打撃を受け、山田氏への非難が集中してしまったのです。
しかし連載は人気を呼び、週間新潮の売り上げは倍増し損失分を
十分にカバーすることができた、そしてさらに単行本にしようとした時に
心労・過労のため山田氏は入院してしまう。
その単行本がベストセラーとなり社員が入院中の山田氏に報告しにいくと
「200万部を突破するまでは見舞いに来るな!」と一喝。
そして200万部を突破し、その報告をしにいくと、彼はすでに亡くなっていた…
※沈まぬ太陽の主人公のモデルが講演会ではなした内容です。

本を読んでいて誰が悪いとかではなくて、
人間の本質や根本的なものから見直していきたいと思いました。
4.0 考えさせられる事の多い作品
この作品は、取材した事実に基づき、小説的に再構築した作品である。
主人公の恩地元は、組合の委員長としてストライキを決行した事により
会社に睨まれ、中近東からアフリカへと内規を無視した十年近くの海外
赴任を強いられる。アフリカ篇(上)(下)は恩地の回想により、その間の
事情が語られる。

うざい妻子を日本に残し、アフリカで狩猟ざんまいの日々。
何人もの召使いを雇い、日本の住宅事情では考えられない広い屋敷
に住む。天国じゃないか。この男は何が不満なんだ?

長期の海外赴任を拒否する姿勢には、世界に航路を延ばそうとしている
ナショナル・フラッグの社員として、国際感覚が欠如していると思った。
航空会社に限らず、商社やメーカーなどでも、ニューヨークやロンドン等、
先進国の主要都市に配属されるのは極一部のエリートだけで、大部分の
海外赴任者は僻地に赴任しているのではないだろうか。海外赴任が嫌
ならば、そもそも何故航空会社を就職先として選んだのだろう。転職とか
は考えなかったのだろうか。

日本に戻すという話も何度かあったが、恩地は頑なに拒否している。
会社にも問題があるが、恩地自身にも問題があったのではないかと
思えてしまう。

日本を代表する航空会社の複雑な労使問題、経済性や効率を追求する
あまり、安全性を疎かにする経営陣の体質など、考えさせられる事の
多い作品である。

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