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箱男 (新潮文庫)

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箱男 (新潮文庫)の商品レビュー

5.0 次世代が見えていた安部公房。
この作品の評価は大きく二分されている。
否定と肯定に大きな振れ幅を描くのだ。
それはストーリーの迷走と、箱男と言う存在のディティールの完成。
箱男と言う現代の世相を反映した存在。
箱男の生態について深く洞察し、ある意味での社会へのアンチテーゼとして確立させ読者を作品中に引きずり込んでいく手法は安部氏の真骨頂だ。
まさかこれほどの小説家を知らなかったとは…。
砂の女は正真正銘の名作だが、これはまた違った形で小説のあり方を早期に提示した現代の若者と過去である安部氏を結ぶ橋頭堡的作品であろう。
少なくとも私は彼の作品を高く評価したい。
5.0 結局一番伝えたいのは・・・・・
人間を描写する上で最高の部類じゃないかな、この小説はさ。
箱男という見られることを拒否した人間を軸に、見ることと見られることとの関係性を
安部公房一流の観察力と内面から滲み出す知性の輝きをもって表現してるのが、この作品。
確かに、この作品を傑作とみなせいという意見もあると思う。ラストが、あまりにも迷路に
なっているからだ。だが考え抜いて突き詰めれば人間の思考は迷路みたいなものなんだから
結局、当然の帰結というわけだ。
そして不思議な事に、なぜか時代が経つにつれて、この作品の伝えたいことが明確になって
くるような気がしてるのは僕だけじゃないと思うんだがなー。時代が追いついて来たというか
なんとゆうかさー。
いろんな解釈ができる話だが、僕が思うに一番は「開き直り」だよな。良くも悪くも。
四角四面の箱ってものを伸縮自在なものに変えてるわけよ。つまる所、何男でもいいわけさ。
箱じゃなくてもね。開き直りならさ。
そして開き直って初めて認識する事っては多々あるもんでさ。つまり認識者にはなれる。
ただ認識することと達観することはまた違って、開き直れば、それまで繋いでものを切る
わけだから達観には永遠に届かない。人間って皮肉な動物だと、これを読むたび思うよ。
3.0 罪作りな作品
本作の最大の美点であり欠点は、このタイトルだろう。一体何人の中高生が、この素晴らしいタイトルに惹かれてこの本を手にしたのだろうか。そして何人が、この訳の分からなさに跳ね返されて、その他の傑作に出会う機会を逃したのだろうか。想像するだけで残念な気分になる。
もしこれを読んでいるあなたが、安部公房に興味があるけど何から読んだらいいか分からなくて困っているなら、悪い事は言わない、本作はおよしなさい。まずは「鉛の卵」辺りの中期の短編か、「砂の女」にすべし。その次に戦慄の傑作「第四間氷期」。
その後は、全作読みたくてたまらなくなるだろう。そうなってから手に取るべき、中級者向けの作品。
2.0 今だに評価の確定していない作品です。
皆さんの評価が意外にも高いのが驚きです。しかし、専門の立場から申し上げると、内容があまりに倒錯していて、文学者の間では評価の低い作品です。参考文献もほとんど無く、あまりお勧めできません。あえて、個人的意見で解説すれば、「見たいけれど見られたくない」という比喩を用いて「現代社会における人間関係の歪み」「正常な人間関係を保てない疎外状況」を描いているというところでしょうか?「箱男」はホームレスの意味ではありません。
5.0 現代的
「甲殻類のヤドカリだっていちど貝殻生活をはじめると、
胴から後ろが殻に合わせて軟化してしまうので、無理に引き出されると千切れて死んでしまうということだ。(中略)箱を脱げるのは昆虫が変態するように、それで別の世界に脱皮できる時なのだ。」

箱は「悪夢のような都市」に生きる現代人の避けられない運命―――
昭和48年3月、実に前衛的な小説がうまれたのだ。
そして30年後、現代。
今も町の片隅に転がる無数のダンボールハウス。
他者の視線を遮断した箱男たちは箱という別の世界で
彼の日常を生きる。そして、「別世界」を覗き続ける。


時系列が、登場人物が、そして箱男自身までもがめまぐるく変転し交換し混乱する。
振り乱されるわたしたちは、なんだか箱がほしくなる。
現代にふさわしい作品のひとつではないだろうか。

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