遠藤お得意の手法による作品
「地上の王国」と「天の王国」--異なる王国にたどり着くべく奮闘する実在した二人の日本人を描いています。前者・山田長政は日本での天下取りに見切りをつけ、タイに渡り外国人傭兵として活躍、権力をつけます。後者のペドロ岐部は、自分の足で遠くローマを目指し、神父となって帰国することを目指し、二人はタイで再会。山田のタイでの天下取り合戦を軸に、物語は展開します。このようにタイプがまったく違う2人を主人公とし、際立たせる方法は、遠藤お得意のものです(Cf.『王妃マリーアントワネット』のマルグリットとアントワネット)が、対立の図式が明らか過ぎて、人間の感情が単純化されている気がしなくもないです。
遠藤周作の秀作歴史エンタテイメント
タイで豪快に活躍した山田長政を描いています。 知謀・政略・謀反・暗殺・・どろどろしたアユタヤ王朝を舞台に、山田長政が大活躍します。 ゼロから力を求めてのしあがってゆく山田長政の行く末は・・・。遠藤周作の歴史物小説は、視点が独特で楽しめるものが多いのですが、エンタテイメント作品としては、これがイチオシです。めくるめく冒険活劇の中にも、遠藤周作らしい哲学的・宗教的な問題も盛り込まれていて、単に軽いだけの小説で終わっていないところも魅力です。