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侍 (新潮文庫)

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侍 (新潮文庫)の商品レビュー

5.0 忠実な信仰心
この本は本当の宗教とはどういうものかを考えさせられる本です。遠藤周作はキリスト教ですが、本当の宗教というのは見かけがキリスト教だとか、仏教だとかが分かるものではなく、人間の心からの信仰だと感じました。日本人という容易に他宗教に関心を持たない民族でさえ、心から認識したキリストの言葉には、かなわないのだと気付かされました。本の中の時代のからすでに、キリスト教を所属しているものの中には、忠実に世界にキリストの信仰を広めようとするのではなく、富や名声などの元にキリスト教がある時代だったことも垣間見える小説だど感じます。
5.0 信仰と忠義故に人は苦しむ
連れて行った宣教師には強烈な野望が
そして連れて行かれた侍には望郷の念が
そして侍は南米の惨劇とスペイン・ローマでの政治的な暗闘を目撃し
故郷に帰ってきても憂鬱な日々を過ごすことになる
日本にはキリスト教が行き渡らない風土があるっていうのが
主人公の宣教師とそれに反対する宣教師から語られる
そういう日本の風土へのとまどいと疎外感みたいなのが
著者の日本社会とキリスト教へのとまどいなのかなあ、と
とりあえずノーベル文学賞をもらわなかった、という事実は逆に言えば
遠藤周作への最大の賛辞と評価なんじゃないのかなあ
4.0 キリシタンを思う
「反逆」同様”人間”を温かく見守る遠藤さんならではの心に響く時代小説だが、この作品でのキリスト教ほど私の心の中に深く染み入ったものはかつてなかった。宗教の事にはうとい私にもその必然性の程がよく分かり、キリスト教みのならず「宗教」というものの重要性を再認識できる大変勉強になる作品だった。
この小説を読んでいくうちに、第二次世界大戦中、上司の命令でアメリカ兵の捕虜を殺害しようとした徴兵が、後日東京裁判で死刑となった「私は貝になりたい」という物語を思い出した。
4.0 そんな時代
日本侍のかつての姿・・きっと名も知れずにたくさん
存在したであろう、この長谷倉のような侍の生き様に
この小説を通じて触れることができたのは、とても
貴重な体験のように思われた。

狭い日本の、さらに狭い狭い土地で、
つつましく従順に生きてきた長谷倉に課せられた使命・・。
海を渡り、ローマ法王にお目通りをするという、
大きく苦難を伴う旅・・。

そして、共に旅し、案内役となる「ベラスコ」という
野心あふれる宣教師。
手柄を上げ、日本の司教となれるのか?
生々しいベラスコの心の内、感情がリアルだった。

宗教の意味とは・・??

仏教とキリスト教・・相反する思想。
キリスト教へ帰依しなければお役目は果たせない・・
しかしそれは、祖先や残してきた家族や仲間を裏切る
行為となってしまわないか?

長い旅路の末に待ち構える運命は、
「そんな時代なのだ」と割り切れるものなのか?

とても重みのある作品だと思う。
4.0 侍の生き方に憧憬を持つ  
この感覚を持つ時点で私は日本人なんだと思う。支倉の最後はあえて描かない遠藤の書き方に物足りなさを覚えるのも、そういう感情がわいた故なのだ。処刑が決まり、与蔵と最後の別れをする場面。『侍はたちどまり、ふりかえって大きくうなずいた』支倉。ここに日本人としての生き方が凝縮されている。『生きた・・・私は・・・』とつぶやいて火あぶりにされてベラスコの最後とは、情熱と黙従というキリスト教と日本人の生きるスタイルが反映されている。侍は全ての運命を受け入れ、ベラスコはキリストにどう使えるかという観点から死ぬ間際の振る舞いをした。侍の徹底的な生き様にしびれた私は、やはり日本人なのだろう。
 侍のたどった航海は、人生の終着点へと向かう旅路だった。政局の波に飲み込まれ、最初から決まった轍の上を走った。それに気づかされた時には既に遅し。それから侍はそれを自らの運命として受け入れた。抗いもせず、自らの祖先と、その土地、一族を背負う男の姿だ。このような男が昔は大勢いた。それを振り返る歴史書でもある。
 著者がこの書籍で訴えたかったことは、日本への畏敬なのではないかと思う。11歳で洗礼を受けて、キリスト教徒として生きた遠藤は、少なからず日本に対して尊敬の念は持っていたはずである。解説でゲッセルが語っている通り、侍と同じくキリスト教に改宗せねばならない理由も、著者にはあった。そうした環境にあったため、キリスト教の利点と同時に、日本が本来持つ、宗教的な独特さも体感していたはずだ。遠藤の心の奥底にあるキリスト教と日本人の心の葛藤を物語っている小説だとも解せる。
 ふと、行き詰まり、自分の人生に悩み、無意味としか感じられなくなった時に再び読みたい。無常な世ではあるが、それを受け入れる心の『豊かさ』を持ち合わせている人種なのだと再認識させられる書籍である。

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