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王の挽歌〈上巻〉 (新潮文庫)の商品レビュー 「武将」でも「英雄」でもなく「人間」
「信長の野望」では戦国大名は「天下統一」という目標が最初から設定されている。当たり前だが実際の人間の人生に目的はそもそも明示などされていない。「出世」という、現代人にもわかりやすい人生の目的を設定し、ただ戦国時代だからそれは他者の殺戮が必然的に伴うので、言い訳に「民のため、世のため」と主人公に唱えさせ、同時に頑張るおとっつあんを支え、癒す、現代でも以外と(この時代ならなおさら)ありそうもない家庭の絆を絡め、茶の間で安心してみれる大河ドラマ的歴史絵巻もそれはそれで悪くはない。しかし本書の帯にあるとおり大名といえど戦と領国経営だけが人生なのか?先ず己を救うというエゴを無視して人間は他を救おうとするのか?戦国乱世に「武将」で「大名」で、しかし「人間」である大友宗麟。生まれながらに「王」族として生まれた彼は、なるほど秀吉から見れば彼が血反吐を吐きながら掴み取った位置に与えられて座ることができた御曹司に過ぎない。しかし己の意志と無関係に王族の嫡子として、生まれた彼は、秀吉と異なり幼少から宿命的に「暖かさ」のある(殊に家族との)人間関係を悉く奪われ、長じて後は王として生きる為に自らもそれを手放した。それが故に突き落とされる地獄、積み重ねる業と欲、有るべき生き様を求める苦悩、見出した救いとそれに情け容赦もなく突き付けられる運命。描ききった本作は単なる「英雄」伝でも「武将」伝でもなく屈指の「人間」小説。求む大河ドラマ化。但し原作そのままで。 本の最新売り上げランキング - トップ10
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