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悪女について (新潮文庫 (あ-5-19))

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悪女について (新潮文庫 (あ-5-19))の商品レビュー

5.0 主人公の心理描写なくして、立体的な人物像が浮かび上がる
有吉佐和子って・・・すごすぎる・・・。と思った本です。彼女の作品で初めて読んだのが、「悪女について」です。

27人の関係者が、主人公の女性について語ります。関係者27人のセリフだけで、物語が作られていきます。当然、27人がそれぞれ個性的です。それぞれの証言により、主人公の人物像が浮かび上がってきます。

けれど、注目すべきは、各々によって主人公の人物像は違うこと。関係者の口から主人公の言葉は出てきますが、主人公が何を考え、何を思っていたのかは分かりません。

一人の人間は、ウラもオモテもあり、人の評価もあてにならないことを感じます。

主人公が「悪女」かといわれれば、そうでもないと思うのです。浮かび上がる人物像は、全て他人の印象ですから。

それを小説として昇華しきっているところに、有吉佐和子のチカラが出ていると感じました。
5.0 綾小路きみまろじゃないよ、富小路公子だよ!
松井今朝子の「吉原手引草」を読んだら本書を思い出しました。松井氏も本当に良く勉強しているなぁと感服しますが、作品自体の厚み、面白さは「悪女」の方が一枚上手だと思います。証言者によって主人公富小路公子の人物像は非情な悪女であったり天使のような善人であったりと豹変し、その死は謎のまま解き明かされません。何というストーリーの巧みさ! ・・・ところで私にとって「悪女」は小説とTVシリーズが切っても切り離せない作品であります。私の中ではまさに、その顔、その喋り声、独特の笑い方といい、主演の影万里江は主人公の富小路公子とイコールなのです。若かりし私は毎週TVに齧りつき、釘付けになったものでした。個人的には、現在に至るまで最高のTV作品だと思っています。何でこんな傑作がDVD化されないのか不思議でなりません。どなたか是非とも実現して下さりませ(多少高価でも必ず購入します)!・・・さてここから脱線しますが、新しく番組を製作してみるのも一興かもしれません。時代背景に少々無理がありそうなので現代に置き換えても仕方ありません。主演の富小路公子役は、(私のお気に入りの)沢口靖子以外には考えられません。彼女なら天使のような悪女あるいは悪女のような天使役もこなせるでしょう(原作とは離れ邪道かもしれませんが、彼女得意のコミカルな味付けをしても面白いかも・・・)。証言者等その他の出演者にも芸達者を配して下さい。どーでもいいようなチャラチャラしたくだらぬバラエティ番組があまりに多すぎる昨今、きっと識者の好評を得ることでありましょう。「悪女について」ファンの皆さん請御意見!
5.0 「男性中心の社会を、いわば逆手に取った女の話」
taiyaki#023

小説の構成が面白いと感じました。
小説を読み始めると、主人公の富小路公子は既に亡くなっていることを知らされます。
著者の有吉佐和子さんはこの本を「男性中心の社会を、いわば逆手に取った女の話」と評しているようですが
この本を通じて男性の心を手玉に取ったのは、有吉さん自身なのかもしれません。
それにしても何度でも繰り返して読むたびに味わいが出てくるの不思議な小説でした。
5.0 〜神秘のヴェールに包まれて〜
 27人の生前の「女」を知る人々の回想録から浮き上がってきた「女」の真の姿は,生まれながらの悪魔か,それとも計算高い天使か・・・。

 水晶のように透き通った瞳に,甘く男心をくすぐる声。

 前世からの気高さが体に染み付いているような高貴な輝きを放つ美しさ。

 女は美しさが持つ身のすくむような力が自分を取り巻くすべてに勝ることを熟知していました。

 まるでアクセサリーをつけかえるように男達をとっかえひっかえ利用し,狂わせ,妖しく美しく舞う女の一生の物語です。
5.0 きもちわるいおんな
この公子のすさまじいしたたかさと、バイタリティあふれる嘘のつきっぷり。たくさんの人間を騙しまくって、それでもなお聖女のような一面を決して自ら剥ぐことがないまま変死を遂げたこの女性の人間に反吐のでるよな気持ち悪さを感じた。
モラルだとか倫理だとかそいういうものから全く解放された異様な精神を持った人間を27人の語り手をつかって浮き彫りにするこの作家の力に脱帽。
最近はやりのサイコパス犯罪小説など吹っ飛ばしてしまうような有吉の創造者としての豊かな書き手力にもうことばもない・・・。
最後の語り手である軽薄そうな次男が語るこの女の異様な精神の果てはやはり、異様な死だったのか?ミステリアスで胸糞わるくそして人間のおかしさを目いっぱい書ききったすごい作品だとおもう。連続ドラマにどうですか??

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