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関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)

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関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)の商品レビュー

5.0 歴史のif
これを読めばいやでも「歴史のif」を考えてしまいます。「もしこのときこうだったら西軍が勝っていたかも」という場面がたくさんあり、悲運の武将石田三成にに心を寄せる人は歯がゆい思いをしながら読むでしょう。私はといえば、三成は非常に魅力的ではありますが、たとえ関ヶ原で西軍が勝ったとしても歴史が彼を新しい時代の創設者に選ぶことはなかっただろうと感じました。一方家康は鼻もちならない人物ではありますが、新時代を切り開くにふさわしい人並み外れた英雄です。理想を掲げる者、権謀術数を操る者、利益で動く者、時代に流される者がさまざまに入り乱れながら、大きなうねりとなって関ヶ原の戦いに収束していく様は、きわめてスケールの大きな歴史ドラマです。純粋な娯楽作品として読んでも大いに楽しめます。
4.0 嫌われ者 光成
歴史物が苦手な自分がこの本を読んだのは三国志を読み 次に項羽と劉邦を読み 日本物も読んでみようとたまたま
アマゾンで推薦された関ヶ原を読みました。項羽と劉邦のレビューにも書きましたが司馬遼太郎の 小説でも単なる解説書でも無い独特の文章に魅せられどんどん読み進みました。今まで石田三成は嫌なイメージだけしかありませんでした。
しかし,光成なるほど今の世の中にいればおそらくヒーローになれるのではと思います。さあ 中巻を読むぞ。
4.0 家康と三成の駆け引きを描く第1巻
全3巻の第1巻では、秀吉亡き後の戦国の世で、石田光成と徳川家康がさまざまな因縁と駆け引きのなかで天下分け目の関ヶ原に突入していく背景を中心に描きます。
秀吉への恩顧と義憤から家康を討とうとする三成。一方で、豊臣家の御為と言いながら明らかに天下を狙う家康。会津の上杉氏と呼応して日本全土を舞台に家康を挟み撃ちにする大戦略をたてる三成と、その戦略を上回りあえて三成の挙兵を誘い叩こうとする家康の虚虚実実の駆け引きが見所です。それにつけても、家康とその謀臣本多正信の巧妙な謀略に三成は次々とはめられていくさまは、物語とはいえ、家康が「狸」になぞらえられるのがよく分かります。
ところで、本作は司馬作品のなかでも佳作というか中くらいのボリュームなので、表現は比較的簡潔で、各武将の人となりなどの描写も少し軽めですが、逆にそのことによって、娯楽作品として気軽に楽しめる内容になっていると思います。
5.0 これ一冊で戦国武将に詳しく
とまではいきませんが、 この小説の時代背景は、正に戦国動乱期とも言え、 出てくる武将の数も多いです
そしてさすがは司馬作品と思わせる、文章 詳細で、語尾まで極めて丁寧な装飾ながら、それでいて簡潔な文章です
テンポもとても良いです

途中出てくる余談は賛否あるようですが、単純に歴史の裏的な史実にも詳しくなれると思うので、自分は好きです

また、司馬作品はとても話の節目がよく、目次ごとの区切りがよいです
『そろそろ集中が切れるな』と思うところで、次の節がくるので、ゆっくり読むときも、非常に読みやすくて良いです
しばらく読んでなくて、途中から読んでも節のはじめから、話の流れがよくわかります

いざ合戦の時もとても歯切れよく、壮大な合戦の構図がありありと臨場感と興奮を伴って 脳内を刺激するかのように 駆け巡ります 人間、三成の不完全さ 徳川家康の不気味さ 慎重さが、対比的にもよく表れています

そして なんといっても小説オリジナルの人物、

初芽がとても自然な感じで 三成との運命を供にするかのように物語の中核を成しながらも静かに寄り添っています
5.0 三成、必勝の布陣をしくも負けるべくして負ける
関ヶ原における布陣、大谷吉継や島左近の奮闘と戦術レベルで圧倒。
上杉征伐で家康を東北に引き付け関西で挙兵した三成が背後から討つと戦略レベルでも圧倒。
まさに負けるわけがない西軍。

しかし、現実には、10数万の会戦は1日で決着、東軍の勝利に終わり、
1603年には家康の手で江戸幕府が開かれるわけで。

なぜ西軍は負けたのか。
関ヶ原当日に至る過程を、家康・三成のパーソナリティを基点に分析し、
見事に解き明かしたのが本書。

司馬が描く三成は「観念の人」。
自分が立てた豊臣への忠誠という規範に縛られ、
当然他人もそれにしたがって動くと信じてしまう。

かたや家康は、人間の表も裏も知り尽くした古だぬき。
武将たちが何を欲しているのか、どう突けば動くのか、
福島正則も加藤清正も、彼の手の上で踊る哀れな人形にすぎません。
最終的には、敵の大将である三成すら・・・

必勝の布陣をしきながら、負けるべくして負けた西軍。
人間の機微が詰まりに詰まった作品。
やはり司馬遼太郎は何度読んでも勉強になります。

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