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男の作法 (新潮文庫)

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男の作法 (新潮文庫)の商品レビュー

4.0 緒形拳さんが手桶贈ってくれると書いてあったのはこれでした
いま読みかえとと、かなり古くさい印象なんですが「確か、緒形拳さんが毎年、桶を贈ってくれたというような話があったよな…」と思って読み返していたら、ありました。

《緒形拳が風呂の手桶を贈ってくれるんだよね、毎年、ぼくのところに。あれも考えているんだね(笑い)思いつかないよね。暮れに毎年贈ってくれる。風呂の手桶って年中使っているものだから、一年ぐらいたちつタガがはずれたり、くさってきたり、辺になってくるわけだ。それで緒形も風呂桶がいいと思うんでしょう。これなんか変わった贈り物の一例だろうね》

 というのが89頁の一節。緒形拳さんは新国劇のスターでしたが、辰巳柳太郎と島田正吾の二人の元スターとの確執の末に退団してしまいましたがその新国劇の脚本を多く書いて師匠でもあった長谷川伸さんに体操を教えてもらったとか、「そんなエピソードもあったな」と思い出しました。

 《コップに三分の一くらい注いで、飲んじゃ入れ、飲んじゃ入れして飲むのが、ビールの本当にうまい飲み方なんですよ》(p.175)

 なんてあたりも懐かしかったですね。
5.0 文教堂カリスマ書店員とやらに鉄随を!
この本の素晴らしさについては、他のレビュアーの方々のおっしゃるとおりで、私からとくに付け加えることはない。
学生時代(もう30年も前の話だ)からの、「座右の書」でもある。

ではなぜ今回わざわざレビューを書くかというと、雑誌「一個人」の「人生、最高に面白い本」特集号で、文教堂書店のカリスマ書店員とやらが「池波先生の本は「男の作法」など発掘してきましたが云々」などと、恥知らずにも自慢げに話していたからだ。

おいおい、名著「男の作法」は、別にあんたらが発掘したわけでも、ベストセラーにしたわけでもない。
多くの池波ファンをはじめとするまっとうな男達が、この本の真価を認め、数多く購入したんだよ。
勘違いもいい加減にしてほしい。

おれは金輪際、文教堂では本は購入せんぞ。
5.0 昭和の匂い
最近は、如何に金を貯めるか、老後資金をどうするか、仕事のマニュアル本、等々の本がいろいろ出ているが、それらの本とは全く考え方が違う。
何と言うか、抽象的な言い方をすれば昭和の匂いがすると言ったら良いのか。
人間というものは画一的ではないし、数式で割り切れるものでもなし、だからと言って、放っておいて良いわけでもなし、愛というそんな簡単な表現で接するものでもなし、そんなものひっくるめてそれが人間なのだ、という懐の広さがある。
そんな著者が様々な場面での著者の感じていることを書くエッセーで、全てをまねしようとは思わないし無理だろうが、考え方を学ぶには非常に良いと思う。
4.0 多くの点で、なぜ、このようにすべきなのかを理詰めで説明しており、有益。
・ 私に真偽の確認が出来ないところは一部あるが、かなり多くの点は理詰めで説明されており、有益。例えば、(1)東京で蕎麦は先だけしかつゆに付けないことが多いが、それはそばつゆが濃いため。(2)トロばかりを鮨屋で食べるものではない。それはトロでの利益は薄く、他の鮨と組み合わせて採算をとっている鮨屋の立場を考えるべきであるため(現在でもそうであるかどうか私は知らないが、店の立場を考える点が必要なのは今でも同じだろう)。
・ 仕事の段取りについて詳しく説明している。鍼の治療を受ける間に小説の構想を整える、取材旅行の前に、体調不良になるのを見越して多めに原稿を書いておく、など。
・ 他にも含蓄のある説明がある。人のいやがる仕事をもっと進んでやる、身銭を切ることの有用性など、人間性に関わるところが参考になった。

・某料亭の件の後に読んで興味深いのは、食べきれないと思った場合は料理に手を付けずに下げてもらう、誰が食べたっていいわけだから、との趣旨の意見(P.83)。昔はこういうことは容認されていたのかもしれない。まあ、刺身まで別の客に出すとは池波は想定していないだろうが。
5.0 時代を超越した男の作法を味あわせてくれる、人生の教科書。この値段で買えるなんて、安い。
タイトルにいつわりの無い素晴らしい内容のエッセイ集。
僕にとっては座右の書として、常に身近においておきたい本だ。
若い編集者に向けて、毎回ねたを決めて(例えば、寿司の食べ方とか、酒の飲み方とか、家の建て方とか)語りかけていくのだが、その内容がとてもすかっとしていて、参考になる。
著者も言っているのだが、時代が変わってきているために、今では機能しないような部分もあるのかもしれない。
しかし、自分が読み進む限りは、まったくそういったところは感じなかったし、いつまで経っても変わることの無い、日本の男の作法を包括して世界観を味あわせてくれる、こうなりたいと思わせてくれる素晴らしい人生の教科書だと思う。

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