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ローマ人の物語〈11〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(上) (新潮文庫)

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ローマ人の物語〈11〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(上) (新潮文庫)の商品レビュー

4.0 ハリウッドの娯楽映画のような。
ユリウス・カエサルの壮年後期(ルビコン以後)を描いた上巻。
(50〜55歳まで。)
紀元前49年〜紀元前44年までの出来事。

--

ルビコンという分水嶺を渡った英雄、
ユリウス・カエサルの話。

西はスペイン、東はエジプトまで。
縦横無尽に駆け回り。
国賊からローマの実質上の元首になるまでの
戦役の話。

寡頭制を重んじる元老院に対抗するために。
ユリウス・カエサルがクーデターを起こして、
ローマの元首になるまでのお話。

--

これまでの巻の中で一番スラスラ読めた。
というのも。
カエサルが勝つことは結果として、
知っているので。
どのようにして勝つか。
というところに興味がそそられるのだけれど。

一筋縄にはいかない。
楽あれば苦あり。

そいでもって最後には少数で勝つ。
なんだかそれこそハリウッドの娯楽映画を
見ているような。

『わが将軍よ、
 今日のわたしの働きぶりは、
 わたしが生きようが死のうが、
 あなたが感謝しなければすまないような
 ものにしてみせましょう』

というカエサルの部下の台詞にしたって。
アツイ。
どこかの戦争映画に出てくる台詞みたい。

兵士が給料の値上げを求めてストを
起こした際のカエサルの台詞。

『戦友諸君、わたしは諸君から、
 愛される司令官でありたいと願っている。
 わたしほど諸君の安全を気にかける者も
 いないし、経済的に豊かになれるよう配慮を
 忘れないし、戦士としての名誉を望んでいる
 者もいない。
 しかし、だからといって兵士たちに、
 何でも勝手を許すということにはならない。』

云々と云った後。
ぴしゃりと。

『要求の受け入れは拒否する。』

のような。
カエサルとカエサルの兵士との
やりとりも楽しい。

素直におもしろい巻でした。
5.0 薄っぺらいビジネス書を読むのなら、これを読め!!
カエサルの『ルビコン渡河』が、なぜ世界史を変えた第一歩だったのかが手にとるように分かる。

著者の言葉を私流に置きかえるならば、
『人間には3種類のタイプがいる。
一つは、考えてから行動する人。
二つ目は、行動してから考える人。
最後は、それを同時に出来る人。』
本書を読むと、カエサルのタイプは最後の種類なのだとよく分かる。
 
2,000年後の現代にもいない不世出の創造的天才。
ギリシアのペリクレス、
マケドニアのアレクサンダーよりもはるかに上を行く天才の能力がいよいよ発揮される。

そして本書ではそれを抑揚感タップリに描いている。
3.0 良い「物語」
確かにローマやカエサルについて知るには程よい事実の羅列だと思う。
だが読めば読むほど参考文献になりえないものだと思えてくる。
また本人も言っている通り、塩野七生はあくまで作家、小説家であって、文献一覧、もしくは脚注にこの作品を並べてしまうといやな顔をされるほどであって、あくまで基礎事実の理解のためだけに読むことをお勧めする。ていうか事実の羅列であって解釈というものがないために史学的な論文でなく単なる小説ととらえている人が多いので、史学で専攻しようというなら気を付けて欲しい。ただ物語・歴史小説としては秀逸だと思う。趣味で読むならいい作品。
4.0 ポンペイウスとの内乱を描く
カエサルがルビコンを渡り、ローマは内乱状態に入ります。
主な原典も「ガリア戦記」から「内乱記」へ変わり、塩野氏の文章も微妙に雰囲気が変わります。その理由は塩野氏がいうとおり、カエサルがそれらを発行した目的が異なるためであり、「内戦」という性格の戦争を描く以上、読者(国民)への配慮がなされているもの、ということ。硬貨発行をプロパガンダに活用したくだりといい、カエサルは国民の心をつかむセンスが豊富にあったということなのでしょう。
それにしても印象的なのは、カエサルの戦上手なところ。ファルサルス会戦で戦力的には劣る自軍を圧倒的な勝利に導く手腕は見事です。本書の見所のひとつです。
5.0 激動の歴史
 カエサルがルビコン川を渡ったのは紀元前49年1月。アレクサンドリア戦役が終わったのは紀元前48年の秋。この、わずか2年弱の期間を扱っただけで1冊の文庫本になってしまうことが軽い驚きだが、その短い間の激動の歴史は驚きの連続だった。この間、カエサルはイタリア半島を北から南へに縦断し、マルセーユ、スペインで戦い、ギリシアでポンペイウスを破り、エジプトへ向かう。単なる比喩としてではなく、文字通り「縦横無尽」に動き回った。

 カエサルは常に戦力で相手に下回り、ひどい苦戦を強いられ、ときには兵士からストライキを食らうなどの困難にぶつかるにも関わらず、最後には勝ってしまう。決して憤怒や憎悪の感情を表さず、逆境にあっても明るさを失わず、一敗地にまみれても威厳を失うことはなかった。勝利や敗北、敵と味方、政治と宗教、多勢に無勢。人はこれらのことに執着して心を奪われたり乱したりするが、カエサルにはそういうところがなかった。現実を直視し、勇気と理性とユーモアを愛し、どんなときでも自分のスタイルを貫いた。

 書物を通じてであれ、こうした巨人を知ることができてよかった。

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