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彼岸先生 (新潮文庫)

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彼岸先生 (新潮文庫)の商品レビュー

4.0 何が本当で何が嘘か
なぞの多い小説である。
1) 先生の日記の冒頭に「日記には嘘しか書かない」とかかれている。この言葉を言葉どおりに受け取れば、アグネスもパットも架空の人物だということになってしまう。しかし、そういうわけでもなさそうである。では、どこまで本当なのか。
2)ラストの手紙は誰が書いたのか。響子さんの署名になっているが、蓮見重彦氏の解説によると作者は菊人らしく、証拠は彼岸先生という彼独自の呼び名が使われているからとの事。
3)そうだとすれば、なぜ、菊人は響子さんの名で書いたのか。先生と「魂の交流」をするためか。それとも、響子さんと先生の魂をつなごうとしたのか。
4)響子さんは本当に亡くなってしまったのか。菊人は彼女に対し先生の発狂は演技に過ぎない。と言って安心させようとし、彼女もそれに反対しない。だとしたら、なぜ、砂漠に行く必要があるのか。それも「魂の交流」か。
5)先生が日記を菊人にたくしたところを見ると発狂は予定されていたらしいが、予定通りに発狂などできるのだろうか。発狂は完全に演技でもなさそうであり、入院前、日記に支離滅裂なことがかかれている。どこまで演技でどこまで本当なのか。
6)先生は、本当に女好きなのか。では、なぜ愛してくれる女性(アグネス、妻、響子さん)からいつも逃げ出すのか。あまり熱心に愛されると窮屈だからか。なら、ほどほどに愛されれば満足するのか。むしろさびしがるのではないか。響子さんが自分を理解しすぎていて怖いというのはわからなくもないが。一人の人間が他の人間を完全に理解できるはずないし、妄想もある。
7)アグネスに対しても、情熱恋愛というよりも美人に好かれたから付き合わなければ損、みたいな気持ちで始まっているようだ。どの程度好きかもはっきりしない。セックスに関してもサービス精神を発揮しているが、無理をしすぎて疲れてしまったようだ。今日は疲れているといえず、常に相手を喜ばせ、相手の期待にこたえようとしている。これでは、長続きしないはず。また、長く付き合う気もなかったのかもしれない。
欧米文化圏には騎士道のながれを汲む恋愛至上主義みたいなのがあり、それは先生のように
恋愛は始まるともなく始まり終わるともなく終わっているといった考え方とは異質である。最も個人差もあり、最近の若者はあまりべたべたした関係を好まないらしいが。アグネスは愛するときは徹底的に愛する性格のようであり、先生は彼女に対して自分がいい加減な人間であることをはじめに言っておくべきだったと思う。マア言いにくいのはわかるが。パットに対しても同じ。ゲイではないとあらかじめ言っておくことができなかったためややこしいことになっている。もっとも、おかげで貴重な体験をしたといえなくもないが。
8)先生は菊人に何を伝えようとしたのか。
おそらく、作者は、そして先生もこんな理屈っぽい疑問はわらいとばすでしょう。適当に汲み取ってくださいといいそう。
3.0 人生になにを学ぶか
この本の面白さは最後まで読まないとわからないかもしれない。
最後といってもあとがきの最後の最後だ笑
いろいろと仕掛けのある本だったなぁと今になって思う。そしてそれがこの作品の魅力なんだろう。
内容は8割が彼岸先生による恋愛論や、人生哲学が書かれていて読む人によっては退屈なものになっただろう。かくゆう私も何度も投げ出そうとしてしまった・・・・。

この作品は現代版の『こころ』として紹介されているけれど、『こころ』と似ているのは「先生」がいて「先生」から人生を学ぼうとする「僕」がいるところ。
そして「僕」に「先生」からの懺悔のような手紙が届く。以上の点ぐらい名ものだと思う。
私としては、『こころ』とはまったく別のものとしてこの作品を紹介したい。
2.0 なんだかなあ・・・
島田作品をはじめて読んだ。何かで紹介されていて表紙に惹かれて購入し1年位寝かせておいて今月やっと読み始めた。はじめは弟子である菊人の一人称で語られる彼や先生の日常。菊人は大学生だが裕福らしく、生活感のない生活を送っている。先生も同様でふわふわと現実味のない日常が綴られる。食事のシーンもあるが、まるで霞を食べて生きてるようで二人の風貌は作者のそれとシンクロしてしまう。作品内に連綿と綴られる沢山の女性とのセックスシーンも全くもって霞のようだ。食事をするように行われるそれは普段の挨拶と変わらない。ただの女好きの話かと思いきや、読んでいくうちにその印象が変わって行く。最終的には現実世界から離れていく先生だが、意外と面白かった。結構過激な性描写もあるが、軽快の文体で何となくおしゃれで肉感的じゃない。ポルノ?文学?恋愛小説ではないと思うが、やっぱり平成版「こころ」なの
かも。一体何なんでしょうかねえ。
2.0 いやぁ
 いかんかった。
 きみが壊れてしまうまえに、とかは本当に面白かったんだけど、これはちょっと。退屈すぎ。
 読み通すのがちょっとつらかったかな。
2.0 とってつけたような収束もマイナス
ドンファンに憧れる作家の、苦行のような色恋。

嘘に嘘を重ね、修辞に修辞を重ねることによって「意味の異化」を狙っているのだろうが、「意味の無化」に陥っているように思える。

高尚な言葉で言い訳しながら性欲に浮かされた恋を重ね、周囲を傷つけ自らも苦悩する。

こんな先生に私淑する生徒は悲惨だ。

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