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津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫)

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津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫)の商品レビュー

5.0 衝撃の一冊
津山事件については様々なメディアで採り上げられてきたので多少知ってはいたが、その知識が実に断片的にすぎなかったことを教えてくれた。横溝正史によって後代まで広く知られつつも、そのフィクションの多大すぎる影響が故に、事件の真の態様が葬られつつある現在において、事件の全容を余す所なく伝え続ける意義深い1冊。第1部は冒頭から検事調書、被害者証言、果ては座談会の記録といった、客観的な公的資料がただ並べられているだけなので、何のことだか今ひとつ把握できず、随分読みにくいと感じる方も多いだろう。が、第2部に入り、睦雄の生い立ちを1歳ずつ陽気な時分から数えてゆき、陰鬱で凄惨な事件という形での悲劇的な破局まで付き合わされた時、客観的資料類を前置した構成が真に効果的だったのだと知る。漆黒の荒坂峠の急坂を、都井が猟銃担いで駆け上がって来る、その足音、息づかいまで感じられそうな錯覚に是非陥って欲しい。
5.0 事実は小説より奇なり
あまりにも有名な昭和の大事件「津山三十人殺し」。犯人の都井睦雄は阿部定事件に深い関心を持っていて、「阿部定事件の上を行くすごいことをやっちゃる」と事件前親しい友人に語っていた。その結果、まさしくその通りのことをしでかしてしまった。私は岡山県の県北部の出身で、実家もこの事件の舞台である津山市加茂町行重貝尾部落とそう遠くない。読み終えた今、ものすごく後味の悪さを感じている。自分の生まれ故郷にもあったかもしれない古い因習…。吐きそうなほど気持ち悪い。この本から後世の人間は何を学ぶのか?しかし都井睦雄という特殊な人格がそこに存在したことが、この事件の主な原因だと思う。事件の動機に普遍性はなく、一人の人間がどんな理由があっても、三十人もの隣人を虐殺することなどありえない話しだ。

…いや、ありえない話しではない。まさしく「カレー事件」が現代の「三十人殺し」か…。
4.0 都井睦雄
津山三十人殺しの犯人の名である。たったの一夜の内に、しかも数時間で部落の村人三十人を
惨殺するという、ちょっと想像できる範囲を逸した凄まじい犯行(だが世の中は広いもので、
韓国でウ・ポムゴンが起こした57人殺しなどという更に恐ろしいモノもあるが、、)。
日本史、いや世界史にも残るこの残虐非道な殺戮に迫る背筋が凍るようなルポです。

僕もそうだが、大抵の人はこの事件を知るきっかけとして横溝正史の「八つ墓村」を読んだ
人が多いんじゃないだろうか?あるいは映画版の方でも物凄くインパクトに残るシーンだけに
一度観たら忘れられないだろう。。他にも松本清張や岩井志麻子をはじめとして数多くの
作家やルポライターがこの事件について迫っている。
筑波昭著の本作は取材した事柄や捜査資料などを淡々と書き連ねているので、物語を期待して
いる人は多少物足りなさを感じると思う。ただ事件の概要を知らない人は淡々と進む筆致に
余計恐さを感じるでしょう。

第一部と第二部にわかれており、第一部は惨劇、事後、論評にわかれていて、まさに事件その
もののについての視点で描かれて、第二部は犯人の都井睦雄(といむつお)の生い立ちから
犯行時の22歳までをほぼ一年ごとに分けて描いてます。微弱ながら犯行が行われた部落の写真
や都井の自宅の写真、都井自身の顔写真に凶行時の格好を再現した写真なども載ってます。
あとは殺害現場の家の見取り図などもいちいち載ってますが、まあこれは舞台が田舎なだけに
どれも同じ絵みたいなもんですね。

それにしても最後何十頁かは、あまりの衝撃に読むコチラの感覚も麻痺してきますね。
彼の生い立ちを読んでいけば確かに偏執狂になる要素は多々あるが、それでもたぶん普通
の人間なら計画を立ていざ実行してみるものの2-3人も殺せば力が抜けてしまうじゃないかと
思う。だが、彼は最後の最後まで筋を通すがごとくに何の躊躇もみせず貪欲なまでに自らの
意志に従った・・・・・・。心の準備をしてからどうぞ。
4.0 秋葉原事件
将来を嘱望された地方の秀才が転落して社会の冷たさを逆恨みし自己顕示欲を爆発させ、理不尽な大量殺人に走るという構図は、秋葉原の通り魔事件や池袋の通り魔の容疑者(いずれも20代前半)に意外なほど似ている(ちなみに大阪・池田の児童殺傷はかなり異質だ)。当時は戦時体制の暗い世相の中、容疑者の男は、肺病やら夜這いでの愛憎やら狭い村の共同体意識・世間体やらに追い詰められ、結局は村の隣人たちに凶刃・凶弾の矛先が向かった。それに比べ、後者の最近の事件は、都市やインターネット社会での孤独やワーキングプアの問題が影を落とし、結局大都市の通行人を狙うという風に、構図や精神構造は似ていても時代とともに犯罪の形が変わっているところもまた興味深い。一見キワモノ的になりかねない題材だが、抑えた筆致で通し、資料が潤沢で綿密な取材力に脱帽。
5.0 日本犯罪史上最悪
岡山の30人殺しの犯罪を追った本です。横溝正史の八つ墓村のモデルにもなった事件です。結核の罹患、優秀なのに、進学の断念、軍国主義の足音、夜這いなどの村の習俗、阿部定事件など、当時の世相、風俗などのついて、記録や証言にもとづいて、細かく検証しています。事件について、知るためにはとても良い本だと思います。しかし、現象の記述にとどめているので、いま一つ、動機について、すっきり迫れていないところがあります。著者は、予断なく、読書に事実を示したかったようですが、著者として、推論だけでも欲しいところです。いづれにしても、この日本犯罪史上空前の事件について、その前後の事情について、詳しく予断なく書かれている本だと思います。犯罪学に興味のある人は必読だと思います。猟銃の所持の許可の問題など、当時と今とあまり変わっていないのがわかります。

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