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沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫

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沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫の商品レビュー

1.0 本書以外の部分での推測と
瀬島龍三についてさまざまな面から考察した書物です。ただ
あまりに多くの面から考察しており途中段々とよくわからなく
なってきます。既に述べられているレビュアーの方もいらっ
しゃいますが突然731部隊の話が出てきて結局瀬島との
関係はわからないまま終えるという不思議なことになっています。
確かに多くのソビエト関係者に聞き書きしたのは重要なのかも
しれないですが。近年瀬島は漫画などで魔術をつかった悪魔で
あったという描写もされていますし本書の影響をうけたのかも
しれません。結局本書の中身以外のところで推測が重ねられ
これが新しいジャーナリズムなのかとある種感嘆したのも
事実ではあります。
3.0 センスがまったく感じられない適当につけたような著書名はどうにかしてほしいが
取材班が共同通信社のためか幅広く取材ができていた点は良い。
特に旧ソ連と韓国の関係者へのインタビューは貴重なのではないだろうか。
私は他の方のレビューにあるようなイデオロギーの偏りはさほど感じなかったし、わりと客観的に分析されていたのではないかと思った。
それと余計な内容が多いという指摘については、私はこれでありだと思った。
確かに瀬島龍三についてのみピンポイントに知りたいと思う人にとっては余計な内容かもしれないが、先の大戦について幅広く知る助けにもなるだろうから。

難点をいえば、時系列があっちこっちに飛ぶので混乱してしまう。
これは共同執筆のデメリットだろう。もう少し統一感が欲しいところだ。
あと文章が非常に味気なく、読んでいてもどかしくなったり退屈を感じたりすることもあった。いまいち読者を引き込む力に欠けている。

保阪正康の瀬島龍三―参謀の昭和史 (文春文庫)と併読することをお勧めする。
3.0 墓に持っていくもの
 他の方も仰っているが 内容が散漫である点が惜しい。散漫である理由はシンプルだと思う。テーマがきちんと絞られていないからだと思うのだ。

 題名では瀬島龍三という方に絞っているかのようだが 中では 731部隊の石井中将であるとか ある意味で 話が違う方向に向いている部分が多い。それはそれでエピソードとしては良いのだが そもそも731部隊は それだけで一冊をなすべき内容であり ちらりと紹介するには向いていない。
 また これはしょうがないと思うが 戦後の瀬島という方の活躍ぶりも情報が少なすぎる気がする。「しょうがない」と言ったのは そもそも かような国家機密を簡単に書けるわけがないという点に因っている。

 瀬島という方は昨年亡くなった。多くのことを墓に持って行ってしまったわけだが それもしょうがないのだと思う。いろんな人がいろんな事を墓に持っていく。僕自身だって 何かを持っていくわけだ。後は 煙となって立ち昇って 消えていくわけだ。
4.0 戦後日本の背後にあった真実
 瀬島龍三という人物の半生から、戦後日本の裏面史を追う。戦後の経済界で確固とした地位を得ることができたこの人物に、本書では、責任を曖昧にする日本的土壌における典型的なエリートの姿を映し出す。ただし、戦前の官僚・軍の幹部が公職等に復帰したことの背景には、共産主義の台頭という世界情勢を背景としたGHQの方針の転換(「逆コース」路線)があったというのも事実であり、日本的土壌に対してのみ、問題の本質を還元させるというのは一面的過ぎるかも知れない。
 また、本書では、戦後賠償ビジネス、FX商戦について等、現代にも繋がる問題の絡繰りが明らかにされる。最後の崔英沢のインタビューはなかなか興味深い。満州の避難民の話は、何度読んでも胸が痛くなる。
 日本の戦後は、民主化の名の下に、魑魅魍魎が政治や外交の背後で暗躍した時代でもある。1976年のロッキード事件以後は、それらの力は縮小したものの、結果的にその「呪縛」は1990年代にまで続いていた、というのが平成不況の背後の裏面史であった。そうした時代に比べれば、今世紀に入って以降の政治や外交は、かなり「清らか」なものなのではないか。小泉政権の終焉以降、この流れが今後どちらの方向に進んでいくのか、注目される必要がある。
4.0 義父と瀬島龍三
私の義父は、シベリアに7年抑留され戻ってきた。
あの有名な瀬島さんは、私たちと一緒に苦しい生活を送ってきたんだぞ・・と話を聞いた。

「昭和の影のドン」とも言われた瀬島龍三の人生を通して、日本という国の歴史の一頁をみた。
そして思ったこと。
彼は、分析能力・判断力がずば抜けて秀でていたこと。
官僚としての生き方。
その力は、陸軍参謀本部で如何なく発揮され、その後も伊藤忠、そして国家の中枢にいる人たちからも参謀格として重んじられていたこと。
エリート中のエリート。
その生き方は、もし、会社人間として彼を評価するなら本当にすばらしい人間であるのだろうと思った。
多分の今の日本の教育は、彼のような人間を育てるためにあるのであろう。

しかし、読んで感じたことは、多くの人が苦しみ、死んでいった戦争の中心にいたにも関わらず、彼はその苦しみをほとんど感じなかったであろうということ。
彼の配下に多くの部下がいただろうが、ソレはあくまで駒で、駒にもこころがあるということを理解しない。
(理解する意味も持たない)

私の義父は晩年、近所の教会の前を毎日掃除していた。
シベリア抑留がたたって、体をこわし心臓パイパス手術も行った。
彼は、「ロスケにも悪い人もいれば、良い人もいる」といい、
あんなに苦しい思いをしたのに、
生きるために必死でおぼえた片言のロシア語で、ロシアの人を見かけると笑いながら話しかけていた。 近所の教会の神父に「いつも掃除ありがとう」といわれて、「私はお金の献金はできないが、労働でお返ししますよ」と笑っていた。
貧乏ではあった。 余計なお金はもっていなかった。
料亭にもいかなかった。
けれど、彼はいろいろなものをもっていた。

「瀬島龍三ってね」と義父から聞いて、一度彼の本を読んでみたかった。そして、そんな感想を持ちました。

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