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メリーゴーランド (新潮文庫)

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メリーゴーランド (新潮文庫)の商品レビュー

5.0 「ほろ苦くて、爽やか」そんな感じの本です

それにしてもこの作者はラスト辺りが本当にうまい!
タイトルと、夜風と星が肌に感じられそうなラストシーンです。
胸がほろほろと落ちていくような、「柔らかく、切ない」ですな。

主人公は地方公務員、市役所務め。
市のお荷物レジャー施設、「アテネ村」の促進係りとして、委託会社に出向になったばかりです。
この委託会社は市役所の天下り先、じじいの巣窟なわけです。
ここでの会議は、もはや滑稽と書くのもおこがましいほどの派閥会議。
皆さん地元ネットワークに踊らされている感じです。

さて、そんなステージで主人公は救世主のごとく、「アテネ村GWイベント」を『去年と同じくらい盛り上げる』大役を仰せつかるわけです。
しかし、昨年を踏襲した企画に一味加えるように指示があったところから始まって、さまざまなネットワークを使った主人公は、イベントとしては救世主のような、市役所員としては左遷必至な方になっていきます。
ここで劇団ふたこぶらくだ団長、来宮(らいみや)の話す言葉は、どれも含蓄に満ちています。
『豆男』の話なんかは背筋に衝撃が走るくらいのショートです!

イベントも大成功、順風に見える主人公のサイドにいくつか落ちる不安の影。
妻路子の外出、部下徳永の通院、市長の横暴なまでのエネルギー。。。

市長選挙の結果、結果的に主人公は新たなステージで働き始めることになるのです。
どう考えてもHAPPY ENDになりそうにない流れの中、主人公は家族を連れて、自分が企画した「日本で一番緯度の高いメリーゴーランド」に向かいます。
イベント設営を手伝ってくれた暴走族の激励、部下柳井からそれぞれのエールがあり、物語は小さな、とってもささやかなフィナーレを迎えます。

もう最後の4ページくらいは胸をかきむしりたくなるようなこの話!
おススめです!
4.0 「ジョウシキ」の中で
役所勤めの方は共感することが多いのかなぁ、なんて思いました。

激務を強いられる会社を退職し、今は地方公務員として働く主人公。
「小心者」と(愛情をもって)言われながらも妻と子どもに囲まれ、なんとなくこのままでいいのかなぁとも思いつつ平和に暮らしていた。

そんな折、赤字テーマパークの再建を任されることになり…。

癖のある登場人物がうまくつながり合い、結果を出していく様は「神様からひと言」にも通じるけれど、こちらは舞台がテーマパークという「イベントもの」なのでよりシンプルに感じられる。

そして、決して「大成功だバンザーイ!!」と必要以上の大団円にならないあたりも同じで、このあたりが好感を持てるところ。
ちょっと寂しさを残しつつも、ラストのさわやかさが印象に残った。

見どころは中盤の暴走族や怪しい劇団やプライドの高いデザイナーたちの絡み合いかな。

「千年先まで、そうしてろ」というセリフも良かった。
4.0 お役所仕事に革命を
話の内容はなかなかおもしろかったが、どの問題も案外すんなり片付いてしまい、イマイチ物足りなかった。理事長たちとのやりとりや、子供の徒競走のグループ分け等、リアリティがあってよかったと思うのだが、アテネ村のゴールデンウイークイベントについてはなんとなくご都合主義のような感じがした。結局、新しい市長によってアテネ村は閉鎖されることになるのだが、市長の鶴の一声にももう少し抵抗するなどの展開を見せて欲しかった。
4.0 この作品を読んでいる間は幸せな気分にひたれる
市役所に勤める主人公が赤字続きのテーマパークの再建に取り組む。
読みやすい文章で軽いストーリの中にも、ロッキーのテーマや子供の
作文「お父さんの仕事について」などの小道具によって、気弱な主人公
が奮闘する姿が良く表されている。

主人公が勤める地方都市の公務員や、テーマパーク管理会社の理事達、
オタクのプランナー、アトラクションの手伝いをする劇団の仲間、大工の
シンジと暴走族たち、そして主人公の所属するリニューアル推進室の
メンバーと、かなり個性的なキャラクターが多数登場する。
その姿は漫画的と言っても良いだろう。実際はどうか判らないが、
作者自身楽しんで書いているように思え、その楽しさが読み手まで
伝わって来るようだ。

人生はレースじゃないよ、メリーゴーランドだよ。

なんて言った所で、現実問題として、学校では受験競争、大人に
なれば出世競争や成果主義、格差社会などが厳然として存在する。
そんな中で日々足掻いている人にとっては、この作品が一服の
清涼剤となるのではないだろうか。少なくとも、この作品を読んで
いる間は幸せな気分にひたれるだろう。
4.0 地方都市に未来はないのか
 基本的には、地方公務員の保身と無責任体質を皮肉ったユーモア作品。でも、自分のできるところを精一杯尽くす中年・啓一のストーリーは熱い。極小劇団主宰の来宮が、強引で傍若無人に、それでも一応助っ人する。
 大赤字テーマパークが活性化するところがクライマックス。それなのに結局成功譚にしなかったのは、現実がそんなに都合良く行くはずがないからか。
 タイトルのメリーゴーランドは、美しいけどあまりにも寂しい輝きを見せた。

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