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竹光始末 (新潮文庫)

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竹光始末 (新潮文庫)の商品レビュー

4.0 昭和50年代の藤沢作品代表作
初出は昭和51年7月立風書房。藤沢ファンはご存じのように表題作『竹光始末』はあの山田洋次監督の『たそがれ清兵衛』の一部として使われていて、この映画をご覧になった方はなるほどあの部分に使われているのか、と読んでいて思われることだろう。

私見では昭和50年代の藤沢作品と昭和60年代から平成初めの藤沢作品ではカラーがかなり違うと思う。昭和50年代の作品は暗いままずっと続くが、昭和60年代から平成初めのものは暗い中に一筋の光が見え、そして明るさを随所に感じるものも多い。真の藤沢作品と言えるのは昭和60年代から平成初めの独特の明るさを持った頃だと僕は思う。

同じく私見では昭和50年代頃は長いサラリーマン生活から作家として独り立ちした頃で、何となくその頃の苦労を作風に引き摺っている気がする。『恐妻の剣』など読むと強くそう思う。共感はできるが昭和60年代から平成初めの頃の作品のような読後感がない。大作家にもそういう過程はあるということなのだろう。
4.0 変らぬ人情
人生の機微とほのぼのとした人情を描いて、相変わらず読む者の心を温かくしてくれる好短編集。

タイトル作「竹光始末」は糊口を凌ぐため、大切な剣を売ってしまい、竹光を差している浪人が仕官のため、戦いに挑むというもの。切羽詰まった状況の筈なのに、読む者に不思議なユーモアとペーソス感を与える筆運びが素晴らしい。また、浪人夫婦が子沢山なのが微笑ましい。主題は夫婦の愛情物語だったのですね。「恐妻の剣」は家庭持ちの男なら微苦笑せずにはおられない。私も秘めた(?)能力を、ここぞと言う場面で発揮したい。

いずれもハデな物語ではないものの、各々人間の心、男女の機微をしっかりと捉まえて、読む者に勇気と感動と微笑を与えてくれる秀作。
5.0 浸りました! この侍 みんな人が良過ぎ!!
この本の奥付を見ただけで凄さが解かる。

■ 竹光始末:
「たそがれ清兵衛」のあの場面は、ここを使っていたのですね?はじめて知りました。
言わなくてもいい事を、人がいいからつい喋っちゃって、何とも人情味があるというか、でもやられないでよかった。武士の魂(刀)を質に出し、代わりに“竹光”を刺して。いざっ!危ない・・・!

■ 恐妻の剣:
どんな「秘剣」と思えば・・。命を賭けて戦って帰って来たのも知らず、この妻と子供ときたら・・。なんともしがない「婿殿」だ。しかし、いい人だなー

■ 石を抱く:
これは究極の愛か?今なら「愛の流刑地」だ!
読みながら、ハラハラしました。

■ 冬の終わりに:
これも、いい話だなー。いい人過ぎちゃって、何とも言葉が無い。しかし、隣は何をする人ぞ? 怖し!!

■ 乱心:
これは深いなー。
私てっきり、最後は「藤沢 桃太郎侍」が登場して、成敗するのかと思ってました。
最後は、どう理解すればいいのか?

■ 遠方より来る:
あれ?これどこかで読んだことあるなー?何かの短編に入っていたでしょう?
読んだことあるもの。
しかし、この足軽、いい人過ぎるなー



*所感*
やはり、藤沢作品は安心する。読んでいて安心。
また、みんないい人で。
今の世でいうなら、人間が良すぎて「万年平社員」ってな感じでしょうか?
しかし、藤沢作品のこの「人間味」がなんともいいなー。
今の世でも、この“わびさび”は十分通じる。

私も、一生“長屋の下級武士”で居よう。
5.0 討つ
 

どうして面白いんでしょう。
筋立てはどこかパターン化しているようにも思えます。
でも新鮮で、織り成す物語に惹き込まれていくのです。
貧しさと、刃を合わせる緊張。そこに浮き彫りにされる、
なにか美しげなもの。
ここには様式がありますね。見上げれば感嘆の声を
上げざるをえないような、そびえる塔のような。

「時代小説を書くということは、私の存在そのものに理由がある」
著者あとがきの言葉です。
ますます読みたくなる藤沢周平でした。
 

4.0 あるある・・・
とても読みやすい時代小説だと思う。
短編集なので、通勤電車で読んでしまったが、余韻にひたれる状況で読みたい本だ。
上からの沙汰で、心情的には助けたい相手を切らなくてはいけない。
極秘のうちに・・・
仕事を終え、帰宅すると、朝帰りにたいそう立腹している妻が・・・

「恐妻の剣」は、サラリーマンなら誰しも、無意識に苦笑いをしてしまいそうである。

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