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1988年に出た単行本の文庫化。 もともとは『小説新潮』に1985~87年に連載されたもので、日本各地の鉄道を9回にわたって乗り回している。雑誌連載ということで、新潮社の編集者が同行しているのだが、この編集者と宮脇氏の関係が巧みに描かれており、良作だと思う。 巻末の解説で足立倫行氏が看破しているとおりなのだが、本書は鉄道マニアである宮脇氏が、まったく鉄道に関心のない編集者と汽車の旅をするというところに面白みがある。宮脇氏は鉄道や沿線にまつわる逸話を紹介したりするのだが、のれんに腕押し。編集者は漫然と聞き流し、車窓も見ずに寝てしまう。宮脇氏はやきもきしたり、ちょっと怒ったり、無駄な努力をする。しかし、最後にはあきらめの境地に達する。 世の中の人たちのほとんどは鉄道マニアではない。そうした世間で、鉄道マニアがどのように生きていくのか。面白い話だった。
著者にしては珍しい編集者との2人旅。しかも目的地は決めないで旅の途中で思い立った先に行くという9回の旅行の様子を綴ったもの。著者の軽妙な語り口と博識、若い編集者とのやりとり等、非常に面白い珍道中記になっている。しかし底辺にあるのはいつもの宮脇ワールド。絶対お薦めの心温まる好エッセイ。