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カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (新潮文庫)

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カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (新潮文庫)の商品レビュー

5.0 戦争、闇市、日米関係と経営者、、流通変革、高度経済成長、同族経営、…そして中内功評伝
 通史としての戦後史では絶対に描き切ることのできない細部の記述の鮮やかさと、人物を捉え切る筆致の奥行きの深さで、流通業を不可逆的に変革した人間・中内功氏の足跡を浮き彫りにした一冊。自分の住んでいる地域にも去年まで「主婦の店」を屋号に冠するスーパーがあったり、何十年もイトーヨーカドーが駅前に立地しているのに十五年ほど前にダイエーの不可解な出店があったり、同族経営で地域の経済を牛耳っている一家がいたり、本書で描写されている内容は決して自分のいる場所にとって無縁ではないと思い知らされることが多い。

 中内功氏本人の来歴や気性、振る舞い、経営手法は今これを読んでいる自分にとっては猛烈に印象が強く、アクの強さには圧倒されてしまう。しかし、その姿は、何度も辟易させられながらも、猛烈に魅力的だ。何よりも本人の圧倒的な渇き、人に斬りつけるかのように安売りを仕掛け、自らの身を白刃の前に投げ出すように事業を拡大していく姿には、いいようのない感銘を覚える。「想定の範囲内」と利口ぶったり、「金儲けのどこが悪いんですか? 」と世間の歓心や同情を買おうとするのではなく、「俺の商売が憎ければ潰してみろや」といわんばかりに矢面に立ち、叩かれることでさらに力を得るその姿は、いまや洗練されたビジネスモデル・事業スキームからすれば明らかに無効ではあるのだろうが何か愛おしさも感じる。スポーツがもたらす例外的な感動は別として、今やみんな小利口になりおおせ、許された枠の中、計算された大胆さを演出してニヤけるのが関の山の状況で、自分にとっては中内氏のエネルギーが羨ましいし、その複雑で力強い生き様を描き出している佐野眞一氏の筆力にも圧倒される。

 レヴュータイトルのように多くの論点のある上巻ですが、何しろ中内功氏の生きていた様に圧倒される一冊。
5.0 戦後史を体現した 一人の男性
 本書を再読した。読後感は三点だ。

 一点目。佐野は多作である。実際 彼の著作一覧を見ていると呆れるくらいの数をこなしている。多作ゆえ 凡作もかなりある。その中で本作は 佐野の最高傑作の一つと断言出来る。テーマのブレがなく 取材も圧倒的である。これだけの取材が出来た佐野と させた中内功の共著とすら言いたい。

 二点目。佐野の著作は文学に近い。これは佐野固有の 若干情緒的でしつこい文体に起因していると僕は考えている。簡単にいうと「癖」がある文章であり それが文学性を醸し出している。
 僕自身は 正直 佐野の「癖のある文章」に違和感を覚えることも多い。もう少し淡々と書けばよいのではと思うこともある。但し「癖」は時として美味なのは 納豆、チーズだけではない。この文章が好きでたまらない人もいるだろう。

 三点目。本書を佐野の最高傑作の一つと考える理由は そのテーマ設定にある。ダイエーの中内という方の個人史から 日本の戦後史を浮かび上がらせるというテーマは明快である。佐野は元々 一人の傑出した人間をなめるように描く作品が多いが その中でも 中内という方への思い入れの深さをまじまじと感じる。
本作を読んでいる限り 佐野は中内への思い入れと反発という微妙なバランスに立って書いていることが良く分かる。そうして これは 想像だが 中内自身が 佐野の著作に対して 同様の気持ちを持ったのではないか?後に 中内が佐野を告発したという事実も描かれているが最終的には和解で終わったとさらりと書いている。どのような告発で そのような和解であったのかは知る由もないが 本作を読んでいる限り 佐野の中内へのアンビバレントな気持ちが伝わってくる。

本作は2001年で終わっている。それからのダイエーの歴史を知っている僕らにしても 再読して実に面白い
5.0 元・インサイドの視点から
元・ダイエーグループの社員だった私としては、どれも納得できる内容ばかりでした。
そして、著者である佐野氏については、よく調べよく取材されたと感心する。
佐野氏は昔、ダイエーによって実家の小売店をなきものにされたそうだが、決して
私怨に走らず中立的かつ客観的にまとめているあたりは流石一流のジャーナリストと言える。

プロローグは店舗のバックヤードに”従業員の生活を助ける為にもどうか当社の商品を
買ってください”と懇願する張り紙が貼られたところから始まる。
現在も続くダイエーの惨状を物語る張り紙である。

中内氏の名前(功いさお)からとった会員制スーパー「Kou'S」について触れられているが、
この本にもあるように従業員は否応無く3000円の会費を払わされ、強制的に会員にさせられる。
私もそうだったが、会員にならない従業員には会員になるまで勤務中でもお構いなしに
入会を促す内線電話がひっきりなしにかかる。
季節毎に変わるスポット商品の強制購入は当たり前。
業績が悪くなり始めた1995年あたりから、社員をグループ会社へ強制出向。
ようするに今までの仕事とは全く畑違いなグループ会社に出向させるのだ。
これで大抵の社員は挫折して退職してしまう。
体のいいリストラである。

中内功・潤親子のワンマンで傍若無人な経営スタイルは今の惨状のフォーマットではないだ
ろうか?
それを思うと今のダイエーの惨状はある意味、天罰といえる。

では何故、中内氏はこうまでして傍若無人な経営スタイルだったのか?
その秘密はこの本に書かれている。
5.0 壮絶すぎた人生
人肉をあい喰らうような地獄のフィリピン戦線からの奇跡的生還。
肉親も戦友も国家もだれも信用できない男の、闇市からの徒手空拳での出発。
あまりに壮絶すぎる人生。凄すぎです。
「いくらで売ろうが人の勝手」メーカーからの仕入れ妨害との対決、新規出店への妨害、地元商店街との対決、兄弟との確執。公取、大店法。気がつけば日本最大の流通帝国の総帥となっていた男の火のような人生を描いた巨編。
こんな男にバブル崩壊後の守りに入った時代に適合しろというほうが無理だ。結局ダイエーはワンマン経営のあげくに強烈な組織崩壊・機能不全となり致命的な経営危機に陥ってゆく。
執筆時期がダイエー再建迷走期であったため、産業再生機構入りして実質上の破綻状態となった後のダイエーと中内氏の顛末が物足りないのがなんとも惜しい。(文庫版は若干加筆されている。また若干毛色の違う作品として「戦後戦記」がある)
おまけに本作では中内氏は著者(佐野氏)がカッコイイ伝記を書いてくれると期待していたらしく、最初は全面協力を約束しておきながら、途中で佐野氏を名誉毀損で告訴するというオマケまでついています。(本当のことを書いただけだと思うが)
中内氏の伝記としてはもっとも濃いものなので中内氏がモデルとされる故・城山三郎氏の古典的名作「価格破壊」ともどもおすすめです。
5.0 ダーエーの成長と衰退史を 佐野氏が鋭く分析
 大手スーパー「ダイエー」を一代で築いた 中内氏の幼少期からバブル崩壊後の不況また社長交代時の株主総会まで、色々な取材をもとにまとめたノンフィクション。

 ダイエー成長していく中で、中内氏のまわりには非常に力のある人物がいたことが分かる。。また、ダイエーが落ちていった背景を佐野氏が鋭く考察している。考えさせるられることの多かった1冊です。

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