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模倣犯〈4〉 (新潮文庫)

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模倣犯〈4〉 (新潮文庫)の商品レビュー

5.0 作者の代表作
2002年度版このミス10 1位。
2001年文春ミステリーベスト10 1位。
第55回毎日出版文化賞特別賞
第5回司馬遼太郎賞
2001年芸術選奨文部科学大臣賞

「火車」「理由はいらない」とならぶ、宮部氏の代表作。
個人的には、この三作品のなかで、一番好きな作品である。
若い女性を狙った連続バラバラ殺人という猟奇的な事件、マスコミを利用した劇場型犯罪をメインに据え(作者独特の文体ゆえ、怖さはない)、犯人や被害者のみならず、被害者の家族、加害者の家族、事件を報道する側等の視点から作品を展開している。単なる「謎解きの」ミステリーの枠に留まらず、現代社会がかかえる「闇」を描き出すことに成功しているところが、この作品が高く評価される所以だろう。

この事件から10年後の前畑滋子を主人公にしたスピンオフ作品が2005年夏から2006年夏に新聞に連載されており(新聞紙上のタイトルは「楽園」)出版が待たれるところである。
2.0 疑問点沢山あり
 まずピースが由美子と出会うシーン。まずこんなことがあったら普通由美子が疑うだろう。あの「栗橋宏美」とつるんでいた男だ。性格がよくてもあの男とつるんでいて自分の兄が犯人で無い以上、心許せる友人の少ない栗橋の共犯が消去的にピースとならないのか?自分がピンチのときに偶然通りかって助けてくれるなんて出来すぎだ。
 兄を失い、情緒不安定だったから?そんなもの少し落ち着けば年相応の女性なら少しぐらいの疑問は抱いてもいいだろう。そんな点は描かれずピースのいいようにというか「作者のいいように」演じてくれている。
 2点目としては由美子が被害者家族とのやりとりをスクープされた時。
 この家族を何週間もかけて待ち伏せし、スクープとした情報屋がいる確立は恐ろしく低いだろう。誰かが仕掛けたのではないかという結論を出すのが遅すぎる。それによって誰が一番漁夫の利を得るのか。おのずと答えが出てしまうのをわざわざ気づかない振りをしているように描かれている。
 小説というのはもちろん作家のいいように描かれるがそれも読者を納得される範囲内のマナーあってのもの。
 高い評価を得ている本作品だが果たしてこれが前述のようなマナーを守っているか。
 なんだか読んでいてしっくりこない、宮部みゆきという作家はこの程度のものかと首をひねるばかりだ。
 誰が絶賛しようと私の感想だから嘘のつきようが無い。
5.0 事件に巻き込まれた人々の関わりをもとに、人殺しの残酷な本質を見事に描いた1冊
第2、3巻では、いかれた連中の異常心理が延々と描かれました。ですから、本巻から私の好きな登場人物が再度登場してくれたことを有難く思います。一生癒されない傷を負った犯罪被害者の内面は確かに重い描写ですが、連続殺人犯の異常心理の描写に比べると、私のようにサイコ物が嫌いな読者には気分的に大分助かります。
第4巻は、前巻まで接点がなかった事件関係者たちが、互いに関わり始める過程を描いています。塚田真一と有馬義男の出会いのように、登場人物同士が強い絆を育む場面は非常に印象的でしたが、私の心には、むしろ登場人物同士が、対立し、傷つけ合う場面の方が強く焼き付いています。心に残る場面の1つは、被害者の父親が高井由美子を殴り付ける場面。兄の無実を晴らそうとする妹の気持ちも、娘の仇を討とうとする父親の気持ちも、痛いほど理解できます。罪のない人間同士が憎しみをぶつけ、傷つけ合う。人殺しという犯罪がもたらす最も残酷な本質が、この場面では見事に描かれています。もう1つは、前畑滋子が有馬義男に問い詰められる場面。私自身はこの滋子を余り好きにはなれないのですが、ルポを書く彼女の立場は、作家の宮部さんに非常に近いかもしれません。犯罪被害者の気持ちとどう向き合い、どのようにルポを書くべきか。滋子の苦闘振りを通して、宮部さん自身の心の葛藤が読者に伝わるようにも感じられます。
逆に嫌いな場面は、凶悪な主犯であるピースと、事件に巻きこまれた人たちが接触する場面。ここで初めてピースの実名が明かされる訳ですが、彼の陰湿極まりない行動は、彼の内面が本巻で全く描かれない分、非常に気持ち悪い。多くの人が傷つく中で、本当に悪い奴は何の罪悪感も覚えず、逆に皆から慕われ、尊敬すら集める。事件に巻き込まれた人々の心の描写を元に、殺人の不条理な側面が本巻では見事に描かれています。
4.0 だけど、あんたどうしてルポなんか書けるのかね,
 今まで、犯人 被害者の家族 ルポライター 容疑者の家族 第一発見者として別々に登場していた人々が、それぞれ出会い、会話が生まれます。
 被害者の家族である、有馬と、ルポライターの前畑。
 容疑者の家族である高井由美子と真犯人。
 第一発見者の真一と有馬
 真犯人と墨東署の刑事篠崎
などが交差していく巻でした。

 とくにルポについて、有馬義男が前畑滋子に確認をする会話が、興味深かったです。
5.0 いよいよクライマックスへ
ついに、物語は最終段階へ。

浦沢直樹の『MONSTER』に登場する悪の天才ヨハンを
彷彿とさせる真犯人。
彼がとる意外な行動とは?
そして、彼をどうやって追い詰めていくのか?

いわゆる犯人探しみたいな小さなサスペンスではなく、
人間性のぶつかり合いがここにはある。


何かのインタビューで読んだけど、作者は「連続殺人」というテーマゆえに、
かなり悩んで葛藤しながらこの本を書いたらしい。
それだけ真剣に向き合って書いたってことが文章から伝わってくる。
たぶん二度と書けないんじゃないかってほど命を削って書かれた
入魂の一作。

人が殺される陰惨で、重たいテーマの本にもかかわらず、
この作品を読むと、一人ひとりの人間の人生の重さ、尊さみたいなものに
思いが致されるのです。

ちなみに、この本に出てくるジャーナリスト前畑滋子の後日譚
「楽園」という作品がいま、産経新聞で連載されてます。


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