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インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)

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インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)の商品レビュー

3.0 買い、かな・・・。
渋谷系とかJ文学とかかまびすしく騒がれていましたし、このあとにこの人が書いたものと関連させて考えなければいけないかとも思いますが、「こういった世界もあるんだなぁ、ないかもしれないけど、小説だから」といった醒めた気持ちにさせられました。個人的に苦手な話題で、体質的な問題だとは思いますが、あまり楽しめませんでした。誤解を恐れずに言えば、映画のよい原作になるような(あるいはそれを見越して書かれているような)小説は、ひとつの作品としては本質的によい作品にはなりえないと考えているので。
4.0 インディヴィジュアル・インプレッション
著者の魅力が出ている。
J文学と呼ばれてはいるが、そういったことばでカテゴライズしたくない作品でもある。

手紙形式という、割と古い手法をちょっとひねって、最後の最後に実はそれが、スパイ養成塾のレポートであるというのは、なかなかよいと思った。
大小の伏線もあり、不可解な部分、倒錯する部分ありで、楽しめる。

この作品は、たぶん読む人によって受け取り方に非常に巾が出る作品。
4.0 阿部和重全開
日記形式で書かれた小説に限らず、誰かの視点でその小説が書かれている場合その視点や思考は主観に過ぎず、そこにおける客観性というものを読者は「他者の言動」のみからしか判断することができない。では、その他者が真実を述べていなかったらどうなるのか。自分を騙そうとしているとしたらどうなのか。あるいは。……。
膨大な伏線とほとんど解決されないまま終わるそれら(かなり集中して読んでいたせいで少し泣けた)、もしくは無数の解釈が可能なそれら。そしてラスト。
読み終わった瞬間は消化不良な想いがじわじわと湧くけれど、東浩紀の解説によってその想い以上に驚嘆が広がる。阿部和重が好きならオススメ。自分が理解できていないのに言うのはなんだけど、芥川賞受賞作の「グランド・フィナーレ」よりはこちらの方を強く勧めます。
4.0 巡る阿部ワールド
 ただ、この作品が 面白いのか、面白くないのか、それだけを気にしているあなたに僕が言うとするならば、この作品は 面白い。がしかし、阿部和重の本をまだ読んだことがない人にとっては、内容はともかくとして、書き方がハードな文体である為に、読みにくいかもしれない、ということは頭に入れておいてほしい。

 もう少し、この作品の詳細を言うあなたに。この作品は旧友との間での心理戦が繰り広げられ、スリルのある作品だと僕は思っている。だが阿部和重は、書き方が固く厳しく、その分、読むスピードが落ちる。そう言った意味で、展開が遅い(逆に阿部ワールドを体感できる)。その中で、こういったスリルのある作品を書ける阿部にはかなり感動させられてしまった。シメも阿部らしい終わりで、この作品を読めば、阿部和重を知ることが出来ると僕は思う。

 かなり詳細を知りたいあなたに僕がレビューを書くとするなら、少し話の内容を説明することになる。それに加え、阿部和重の他の作品を読まないと僕が記述する内容が分からなくなってしまいかねない。

 文体はあくまでも"阿部和重"なわけだが、このインディヴィジュアル・プロジェクションの以後に発刊された、『シンセミア』、『グランド・フィナーレ』、『プラスティック・ソウル』と比較すると、ストーリーのプロットの組み方がかなり異なってくる。
 インディビジュアル・プロジェクションやニッポンニアニッポンといった作品は『一つの目的』を通してストーリーが発展していくのだ。それに比べると、グランド・フィナーレ等はコレといった目的もなく、ストーリーの展開も地味で(しかし面白い)、リアリティが追及されている様に見える。
 そこが、阿部和重の前後の作品の違いだと思われる。
 この作品の素晴らしいところは、一つの目的(心理戦をこなしていく)へ向かう過程での面白みが存分に書かれていて、ストーリーが巡るに巡る。グランド・フィナーレ等を先に読んだ方々には、こういう"阿部和重"があることを是非とも知ってほしい。
4.0 多角的に読めます。
はじめて読んだのは大学3回生。
「スリラーとノワールが融合した扇情的な語り口調だな」と思っていた。
社会人になって再読してみると、ポストモダンをモデル化するために「小説」というツールを用いたのではないか、
と疑いたくなる表現が散見されて面白かった。
阿部和重作品はフレームワークを理解できないひと(あるいは現代思想に興味のないひと?)を拒絶する傾向が強い気がする。『IP』はそのなかでも「ヘンテコなハードボイルド小説」として異彩を放っている。

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