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女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN (新潮文庫)

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女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN (新潮文庫)の商品レビュー

2.0 中途半端
まず感じるのは,この作者にはSFは書けないのだなということ.

独創性があるのは死生観に基づく殺人の犯罪性の考察くらいで
作者のイメージする未来像らしきものもなければセンスオブワンダーもない.
この問題点はスカイ・クロラと同じである.
社会背景やテクノロジーの水準も説明されないから
つまるところ何でもありであって,これではミステリーが成立しない.

最後のオチに持っていくために未来を舞台のSF仕立ての設定にしたのだろうが
それもなんとなく透けて見えてしまう.

結局,SFとしてもミステリーとしても中途半端.
ここまで読ませてこの程度のオチか・・・とがっかりするような作品.
4.0 人生は最悪でなければ、特に素敵じゃなくても良い
生への執着に欠け、人生あそこで道を間違えたという心当たりが三つ程ある主人公サエバミチル。
ミチルと従者のロイディ(ウォーカロン)が不時着した城岩都市。
そこは女王デボウ・スホによって統治された楽園のような小世界だった。
完璧なはずの都市で起きる殺人。それはやがてミチルの過去と絡み合い………。


舞台となるルナティックシティーは造られて百年、
死者はただの一人もなく、貧富の差も無く、皆自身の役目に満足しており、
他人を羨む事も不満も反発も起きず、犯罪も殺人も死者も出ない。
罪が無いから罰する仕組みも無いまさに絵に描いたような楽園。
統治するは、見た夢を神からのお告げとして語る見た目25歳実年齢52歳の女王。

そんな楽園のような世界に突如起きる殺人事件。
しかし事件を前にして人々は「眠りについた」とだけ言い、
冷凍処理を行い、遠い未来の医療技術に賭け保存する。
また、事件の連鎖が起きるといった危機意識の欠如からか、
犯人の捜索も事の解明も行おうとはしない。

不思議に思い問いただすミチルを女王は優しく諭す。
狼に殺された羊は復讐しない。嵐に襲われても人は自然に復讐しない、と。
放っておけば、また誰かを殺すかもしれない。しかし何のために、そんなことを?
一度人を殺した人間は、また人を殺す可能性がある。それが何故だと問われても、答えられない。
結局はミチルが人を信用出来ていないだけなのでは?と。

ミチルが嫌いな鏡、ミチルを含めただ二人しかいない楽園への訪問者。
そのもう一人の訪問者は同じ日本人の見知った顔だった。
この偶然さえも神の予言を受け語っていた女王。果たして神はいるのか?
一度は説得され、自分自身を納得させようとしたミチルだったが、
思い出された約束、大切なその約束を果たすため楽園のタブーへ挑む。



「すべてがFになる」の森博嗣氏が描くSFミステリー小説。
その中身はミステリーである以上にSF然としており、
その魅力的な世界設定は一つの理想の世界、社会の作り方を提示してくれています。
また、生への執着に欠けるミチルの生死感、女王にやり込められた犯罪に対する意識、
どれもが非常に興味深くミステリーである事を忘れ考えさせられる作品です。
5.0 なぜ人を殺してはいけないのか
ミチルとロイディの2人が迷い込んだ、百年間も孤立していた小さな街のお話。そこで起きた殺人事件の真相を探ろうとミチルは躍起になるが、この街の人は見て見ぬふりをしようとする。そして、この事件はミチルの過去ともリンクしてくる。
トリックやその真相は、特別驚くほどのものではない。でも、展開が速くてぐんぐんと引き込まれていく。しかし、ふと立ち止まらされる箇所がある。それは、なぜ人を殺してはいけないのか、そして人が人を罰することは出来るのか、という疑問だ。善良な人々だけで構成されている法律の無い街で、どのように秩序が成り立っていくのか。そこで殺人事件がおきたときに、それをどう処理すればよいのか。なぜいけないのか、どう罰すればよいのか。著者の思いは一応本文中に書かれているが、この問いに対する答えは千差万別だろう。
この本は、SF・ミステリィ・サイエンス・哲学、この全てであり、またちがうかもしれない。
5.0 極上のイマジネーションの産物
2000年7月10日リリース。ダ・ヴインチの主催するBook Of The Year 2000ミステリー・ホラー・SF部門第4位。まさに、ミステリー・ホラー・SFが合体したような作品である。クラリス・ワークスの400字詰め原稿用紙換算で911枚、500ページの大作。(●^o^●)

所謂、WEB日記シリーズの5冊の頃の森博嗣は爆発的に作品を発表したが、驚異的に冴えていた。この頃の作品はいずれもレベルが高い。その中でも本作と『スカイ・クロラ』は一段とレベルが高い大傑作だ。森作品の場合、最終形の構築物からリバース・エンジニアリングで最初に戻し、エピローグが始まるような感覚を覚える。リバース・エンジニアリングされた映像を逆様に映写したものを文字に綴っている感覚をこの作品で特に感じた。一言で言って極上のイマジネーションの産物である。誰もまねができない。そして言葉は言霊のように弾む。森博嗣の作品で外せない一冊である。
4.0 いままでとは違う・・・・
私は、泣きました。とても寂しくなりました。
百年もの密室です、百年ですよ・・・・。

シリーズものとはまた違う意味で、森博嗣さんらしいのだと思わせる、
SF的ミステリー小説でした。、

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