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朗読者 (新潮文庫)

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朗読者 (新潮文庫)の解説

スイスで出版された原書を、キャロル・ブラウン・ジェンウェイが格調高い英語に翻訳。セックス、愛、朗読、戦後ドイツの不名誉についての、短くも豊かな物語。15歳の少年ミヒャエル・バーグは、謎めいた年上の女性ハンナとの激しい恋の虜になる。だが彼女の身の上についてはほとんど知らないうちに、ある日ハンナはミヒャエルの前から姿を消してしまう。…二度と彼女に会うことはないと思っていた彼だったが、戦慄(せんりつ)の再会が実現する。ナチスの過去を裁く法廷の被告席に、ハンナがいたのだ。彼女が筆舌に尽くせぬ重罪を犯していたことが明らかにされていく、その裁判の進行を追いつつ、ミヒャエルはとてつもなく大きな難問に取り組みはじめる。ホロコーストを知った自分たちの世代は、どう対処するべきか?「理解に苦しむものを理解できると思ってはいけないし、比較にならないものを比較してはいけない…。ぼくたちは、嫌悪と恥辱と罪の意識を抱えたまま、ただ黙っているべきなのだろうか?何のために?」
本書はボストン・ブックレビュー誌のフィスク・フィクション賞を獲得した。たぐいまれな明快な文章で、少ないページ数のなかで多くの悪の精神の問題に挑んでいる。世界がかつて知り得たなかで最悪といえる残虐行為に加担したのが親や祖父母、あるいは恋人であった場合、彼らを愛するという行為はどういったことなのか?文学を通しての贖罪(しょくざい)は可能か?シュリンクの文体は簡潔であり、比喩表現、会話といった文章の属性を問わず、余分なものはことごとくそぎ落とされている。その結果生まれたのが、ドイツの戦前と戦後の世代、有罪と無罪、言葉と沈黙の間に横たわる溝を浮き彫りにした、厳粛なまでに美しい本作なのである。

朗読者 (新潮文庫)の商品レビュー

5.0 ハンナはわたしだ、という作者の声が聞こえる
 第二次大戦の傷深いヨーロッパについにこういう作品が出た。終戦後は被害者の立場から書かれた作品が感銘を与えた。時を経て、被害者・加害者、正邪、強弱の尺度では割り切れないものが残った。もやもやと立ち籠めている。イデオロギーの時代が終焉した。
 ハンナの存在に魅了されるひとは多いだろうが、いっぽうでハンナのさまざまな特質ー彼女が清潔好きだという点、所作がぶっきら棒に見えるほど逞しい肉体の持ち主だという点、曖昧さのないきりっとした性格など、このようなあまたの美点こそナチズムに結びつく欠点でもあった、そんなことにも気づかせてもらった。最後の年々日々のハンナはまさに殉教者を彷彿とさせた。彼女の受難に、態度に自分を重ねている作者の声が聞こえてくる。次の声を期待したい。
5.0 映画を見た方へ
先日この小説を映画化した「愛を読む人」を見、映画を見てこの小説を読もうと思った方の参考になればと思っています。 映画では、官能的な場面や裁判の場面など印象的なシーンが多い中、ケイト・ウィンスレット演じるハンナの秘密は何なのか、ということがこの映画の見せ場になっていると感じました。 しかし小説「朗読者」ではその秘密に対するハンナ、そして戦犯者だったハンナを、愛してしまったマイケル、それぞれのコンプレックスに対する姿勢が描かれており、それがこの小説の一つの魅力になっていると感じます。 小説では、映画で少ししか描かれなかった第二次大戦での犯罪を傍観していた親や教師などの大人たちに対する、当時の子供たちの思いなど深く描かれたものが数あり、映画を見た方は是非小説も読んでみて欲しいと思います。 また小説は読んだが映画はまだという方は、映画も見てはいかがでしょうか。 小説とはラストシーンが違い、個人的には映画のラストシーンの方が好みでした。 楽しめると思います。
2.0 あるときは献身的で、あるときは退廃的
15歳の少年が、36歳の女性と恋に落ちる
場所はドイツ、時は1958年ごろ

女性は朗読をねだり、少年はその期待に応える
永遠に続くと思われたその関係は..


徹頭徹尾、少年の「生身の」視点で書かれている
その視点は、あるときは献身的で、あるときは退廃的だ

本全体を覆う、この生臭ささに耐えられるか否かが
評価の分かれ目だと思う
私は、耐えられなかったが..
5.0 純粋な愛
5年くらい前に一度読み、この数日また読み返してみました。

正直に思ったことを言えば
こんなに難しい本だったかしら…と(笑)

約30年という長い年月をかけた、とても純粋で切ないラブストーリーです。

2人の愛の育み方、過去の重罪、それに対するハンナの姿勢、結末。
彼女の全てが正しかったわけではないでしょうが、話を読み進めていけばいくほど、とても素敵な女性だったことが感じられます。

最初に述べた通り、この物語は法が絡んでくるので内容が少し難しく思います。
ですが、2人の純粋な愛は本当によく伝わってきます。

偶然にも映画が公開され始ました。
想像だけでなく、想像できなかった部分も形として見ることで、もっとこのもの語りを理解できることを期待しつつ、映画を観に行きたいと思っています。
5.0 考えさせられます
年齢差の恋愛がセンセーショナルではありますが、この小説の主題は
やはり戦争でしょうか。戦争を知らない主人公は望む望まないにかかわらず
ハンナを通して戦争を考えざるをえないのです。

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