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フラニーとゾーイー (新潮文庫)

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フラニーとゾーイー (新潮文庫)の解説

 『Franny and Zooey』(邦題『フラニーとゾーイー』)は、それぞれ別に発表された「Franny」(1955年)と「Zooey」(1957年)を1つにまとめた作品である。名門女子大で演劇や詩を学ぶグラース家の末娘フラニーは、過剰な自意識にさいなまれ、エゴの蔓延する世の中に吐き気をもよおし、デートの最中に失神する。心身のバランスをくずした彼女は、「ひたすら祈れば悟りが開ける」と説く「巡礼の道」という本に救いを見出そうと、自宅のソファーの上で子どものように丸くなって祈りの生活に入る。当然、家族にしてみれば、睡眠も食事もろくにとらない彼女が心配でたまらない。兄ゾーイーの懸命の説得もむなしく、フラニーの心はかたく閉ざされたまま。あげくの果てには、亡くなった長兄シーモアと話がしたいと言いだす始末。

   そんな妹のために、兄の啓示を受けるべく、ゾーイーは久しぶりに兄の部屋に足を運ぶ。戻ってきた彼は理路整然とフラニーの過ちを指摘していく。「目の前で行われている宗教的な行為(母親はなんとかチキンスープを食べさせようとしている)に気づきもしない人間が、信仰の旅に出て何の意味があるのか」など、ゾーイーの口を借りて伝えられるシーモアの言葉にフラニーは…。

   服装や言動の緻密な描写が暗示する登場人物たちの内面、すれ違っていく男女の心、フラニーが神経衰弱に陥っていくまでの心の動き、妹を救うためのゾーイーの奮闘、そして、死してなお絶大な影響力を持つシーモアの思想など、読みどころの多い作品。(小川朋子)

フラニーとゾーイー (新潮文庫)の商品レビュー

5.0 最後の1ページがものすごくいいです。
とっても感動的なお話です。あまりにも理性的にインテリに育てられてしまって頭でっかちで繊細なフラニーとゾーイーのお話。
兄弟間の愛情、家族愛、
最後の二人の電話での会話に涙がでてきます。。
最後読み終わってなんとなく、幸せに生きていく道がある っていう気持ちになれます。
私は信者でないのにカトリックの女子中・高校だったので、宗教にたいする疑問なるものに12歳の頃がら悩まされたり、感動したり困惑したりしていたので(週1回の宗教の時間や、朝夕のお祈りの時など)その点も、なんだか読んでいて共感できた。
5.0 幸せになれる
グラース家のフラニー(末っ子)とゾーイ(下から2番目)の話。

例えばAさんがいて、Aさんは読者モデルでたまに雑誌に出たりするのを、自慢に思ってます。そのまま自慢するんならかわいいもんだけど、ぜんぜん自慢に思ってない振りをしてるのね。「こんなこと別に普通のこと」って装うことで、二重にかっこつけるわけ。
Aさんが、近くにいたときどう反応します?
1.Aさんの策略にまんまとはまり、「Aさんかっこいいわぁ」と素直に感心する。
2.Aさんの偽装を敏感に嗅ぎ取り、「あほか、こいつ」と軽蔑し不快感を感じる。
3.Aさんに不快感を感じる自分に対し、不快感を感じるという、無限地獄に陥る。

Aさんはいっぱいいて、下手すると周囲の人みんなにそれを感じちゃうかもしれない。
全員をそんな風に思うとき、止められない不快感がやってきて、
でもそんな風に思う自分も、何かしらの自負心があって、
結局自分も一緒じゃん、っていうドロドロ感が襲ってきて、
同時に、周りを軽蔑してる自分の心の狭さに、自分て人間失格だと涙するかもしれない。

そんな状態のさらにひどいバージョンになったのが、フラニー。
そんなフラニーの気持ちは痛いほどわかってて、それでも、どうにかして慰めようとするのがゾーイ。

フラニーもゾーイも好き。二人とも「あと一押しで崩れちゃいます」っていうギリギリのとこにいるのに、一生懸命。すごく必死にしがみついてる。優しさを持とうとしてる。そんな風に思えた。特にゾーイは、自分がだめな人間だとヒシヒシと感じながら、もがいても無理だと感じながら、それでも もがいて もがいて もがいてる。
読後になんとなく救いが感じられ、幸せになれるような気がする本でした。
3.0 一寸古いような気がします
フラニーはフランシス・グラース、ゾーイはザカリ・グラース。兄弟姉妹は7人で皆子供の頃クイズ番組の「これは神童」に出演し、その早熟さ、知識、聡明さをしらしめた。その7人で最も若い二人がゾーイとフラニーでゾーイは華奢だけど美貌の俳優で25歳、フラニーは名門女子大の学生で20歳、これまた美貌の持ち主。大学では演劇をやっていたが、他人のエゴが目に付きだし、自分の自意識過剰や思春期の潔癖性もあって、嫌なものへの反感が強まり、心が不安定になっている。そして、長兄次兄の与えた子供の頃の教育の影響もあって、心の安楽を得るためキリスト教を求めつつある。そんななかボーイフレンドとのデートでフラストレーションが溜まり失神し親の元に返る・・・これが「フラニー」。
「ゾーイ」のほうは傷心で神経を病んで横たわっているフラニーを兄のゾーイが、理詰めで、フラニーの考えの過ちを指摘する。ゾーイは5歳年上でフラニーが今感じていることをかって克服した経験も持つ。

文章が長くて宗教の話が出てきますのでスーッと頭の中に入ってきません、でも、グラース家が家族愛で結ばれているのはよく分かります。

ゾーイのフラニーへの対応は、現在のメンタルのカウンセリング方とは随分違うし、
フラニーの様な子は今は少なくなっていると思います。

1955年ころはタバコや葉巻をたしなむことは悪いことではなかったのでしょうが、タバコの煙と臭いと埃にまみれたグラース家はゾッとします。
5.0 十代、独身、孤独、ニートetc・・・ひとつでも当てはまるなら読んで損はない(かも)
P34、38、39のフラニーの台詞を読むだけでもかなり共感し、救われるものがあると思う。人との接し方、愛し方、人生に対する態度といった将来への抽象的な問題に対して、謙虚と誠実さを守りたいという気持ちが、いかにも若く考えに余裕のない感情に支配されているはずの少女の口からガンガン出てくる。「なんでこんなに周りの連中は羞恥心がないのかしら!?」とまくし立てるサリンジャー節が読んでいて爽快です。海外小説みたいな距離感をまったく感じさせませんね。
5.0 いまでも一番大切な本
学生時代に読んでから、39才の今日まで変わらぬマイベストbookです。
「ライ麦畑」と比べても問題にならぬくらいいいです。
最後にゾーイーが言う「神の女優になれよ」の言葉は、
全ての職業人が目指すべきひとつの真理でしょう。

したたかに見える社会人の中にも、実はフラニーやゾーイーのような
心を抱きしめつつ生きているひとはたくさんいるのでは。
でもこの本を好きだと発言すること自体、繊細な自分をアピールする
ようで「ちょっとねえ」という感覚があったりして、
いつまでたってもお互いに気づきあうことはないんでしょう。

野崎孝さんの訳は、言い回しが独特で心温まる名文。
一方で村上春樹さん版の訳も心待ちにしてしまいます。

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