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暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

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暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)の商品レビュー

5.0 その場に居合わせたかのような臨場感で読ませる暗号の歴史
歴史のさまざまな場面で決定的な役割を果たし、現代情報化社会の根幹を支えている暗号技術とその解読について、詳細かつ非常に分かりやすく書かれています。
内容の詳しい紹介は他のレビューに譲りますが、今まで関心のなかった事柄が一冊の本をきっかけに、二度と無関心ではいられなくなるそんな体験ができる一冊です。
現時点で無敵の公開鍵暗号を葬り去り情報化社会の根底を破壊しうる量子コンピュータと、原理的に解読不可能な量子暗号は、
私たちが生きている間に実用化されるのでしょうか、そしてその後の世界はどんな姿になるのでしょうか。
暗号の歴史はまさに現在進行形なのです。
5.0 暗号の善と悪
 暗号解読(下)の白眉は 現代社会における暗号の善悪のせめぎあいを描いた部分だ。

 ネットは完全に社会のインフラとなった。情報流通の「早さ」と「量」と「質」が飛躍的に進歩した現代において もはやネットが無いことは考えられない。もちろん 将来的にはネットが 発展解消的に新しいものに生れ変わるとは思うが 情報社会の高度化という 大きな流れにはなんら変わりはないはずだ。

 その時代に「暗号」がいかに重要なものになったかを本書は描く。

 暗号は戦争から始まった。戦争に不可欠な暗号が 僕らの日常のネット生活に不可欠になったということは とりもなおさず 僕らの日常が「戦場化」したことを意味している。
 僕らが何気なく行っているネット上での「買い物」や「やりとり」が「戦場」で行われていることは 最近の各種の詐欺を見ていればわかる。
 更に言うなら 各種テロもネット抜きには語れない時代だ。今目の前に見ている このPCこそが 戦場への「入口」といっても良いのかもしれない。

 その時代に僕らは「暗号」で自分をプロテクトする。自分をプロテクト出来る点で暗号は「善」だ。但し 犯罪者が自分をプロテクトしつつ 犯罪を犯すとしたら 暗号は「悪」なのかもしれない。そうして この「善悪」に関しては 余りに色々な判断が可能なだけに 現段階では結論が出ていないということなのだと思う。

 暗号はずいぶん遠いところまで来てしまったということだと思う。暗号の持つ人間臭さは 誰もがなんらかの形で「暗号」を使っているからだ。「交換日記」で符号を作った甘酸っぱい記憶がある方も多いのだと思う。
 暗号という一つの「人間の所作」から見えてくるものの 驚くべき「深い淵」ということが本書の読み応えだ。
 はっきりしていることは 僕らは既に恐ろしいくらいに「暗号」に依存しているということだ。
5.0 平易に歴史的流れに沿って、その上遙かにドラマテックに教えてくれる
邦訳リリースは2001年7月、文庫版は2007年7月。オリジナルは1999年である。非常に難解な暗号の歴史と技術をこれだけ噛み砕いて時系列的に配置した本はこれ以上にない、と言いきれるくらい傑作だ。そしてこの本を翻訳するというのは生半可な作業ではなかったろうな、と思った。

この本を読む前にまず、ブルース・シュナイアーの名著、『暗号の秘密とウソ』・『暗号技術大全』・『セキュリティはなぜやぶられたのか』の3冊を読み、ロス・アンダーソンの『情報セキュリティ技術大全』を読んでから取りかかった。しかしながらこの本はそういった専門書を遙かに平易に遙かに歴史的流れに沿って、その上遙かにドラマテックに読者に教えてくれた。たとえば良い例が、RSA暗号で使われている非対称暗号における公開鍵と秘密鍵の説明だった。シンはこう平易に説明している。

公開鍵→二つの素数aとbの積
秘密鍵→その積の元となった二つの素数
そしてその積の長さが充分に長ければ暗号強度は強い。

実に解りやすい説明だ。僕はこれ以上に解りやすい非対称暗号における公開鍵と秘密鍵の説明を見たことがない。

この例のような極めて冴えた説明が最後まで衰えない。有名なアリスとボブとイブも後半に登場するのだが(物理学においてアリスとボブの例えというのは通例になっているようだ)、この有名なキャラクタもシンの手にかかるとより一層見事な例示をしてくれる。超難解な量子力学においてですらだ。翻訳共々すばらしい作品で読み逃せない傑作だ。
5.0 暗号は歴史を読み解く鍵になる
歴史のあらゆる局面で、まさに鍵の役割を果たしてきた暗号。その基礎技術と、暗号を中心に繰り広げられてきたストーリーが一気に読める「暗号解読(上)」のつづき。

「失われた言葉」古代文字の解読から、現代の高速・大量データ通信に欠かせない現代の最新暗号技術(DES,AES,RSA)、そして、その安全性の根拠になっている基礎理論。さらに、現代暗号を打ち破る量子コンピュータの可能性と、その先を行く量子暗号の現状までが綴られる。

暗号をかける側は何としても読まれたくない。暗号を解く側はあらゆる手を駆使する。長い歴史の中で繰り広げられてきた高度な「知」のパズルは、それに関わった人たちを中心に、壮大なストーリーを残してきた。
「暗号解読(上/下)」を通して、暗号の歴史はもちろん、基本的な技術解説も非常にわかりやすくまとめられている。翻訳本とは思えない読みやすさもあり、すばらしい本でした。

4.0 ロゼッタストーンから量子暗号まで・・面白くてワクワク
 「フェルマーの最終定理」のサイモン・シンさん、
暗号解読の歴史というドキュメンタリーのこの素材を、
ストーリーテラーとして本当に上手く料理されてます。

 冒頭に、暗号の重要さを説明する例として、
 16世紀後半のスコットランド女王メアリーの悲劇を紹介・・・
暗号が破らなければ助かるが、暗号が破られると死刑・・・という究極の状況。


 副題通り、ロゼッタストーンのヒエログリフの解読から、
 量子暗号の原理まで、読みごたえありました。

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