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メキシコの青い空―実況席のサッカー20年

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メキシコの青い空―実況席のサッカー20年の商品レビュー

4.0 サッカー中継はNHKがするべきだ!
「ブラジルに終りの鐘を告げる3点目です。」この言葉で毎日夜中まで見続けたワールドカップフランス大会の決勝を思い出しました。この言葉を聞いて、ワールドカップが終わってしまうという虚脱感に襲われたものです。非常に印象に残っている言葉です。
その時の解説が山本さんでしたが、彼は試合が主役で実況は黒子に徹するというスタンスの実況で、私にとって最も聞きやすい実況の一人です。その山本さんの名ゼリフをマッチレポートの一部にまとめた形にしている本です。メキシコ大会からドイツ大会までの重要な試合をアナウンサーだけあって上手に文章にしており、テレビを見ているような臨場感溢れる形で振り返ることができました。読みやすくておすすめです。
民放のアナウンサーも喋りすぎるのではなく、山本さんのように落ち着いて実況してくれればな・・・。
4.0 スポーツライターの視点とは一味違ったマッチレポートは新鮮
「東京・千駄ヶ谷の国立競技場の曇り空の向こうに、メキシコの青い空が近づいているような気がします。」
この名文句で始まる本書は、著者が実況を担当した数々の試合のレポートであり、エッセイである。
日本代表が繰り広げた名勝負の大半を含み、Jリーグ開幕戦や4年毎のW杯決勝など、時代を画するエポックな試合も含まれている。
それぞれの試合において、山本氏の実況振りが大きなフォントで再現され、TV実況の裏話てきなエピソードも含め、試合内容も詳細に、立体的に記されている。
スポーツライターの視点とは一味違ったマッチレポートは新鮮だ。
何よりも、前述の「山本氏の実況」を読むと、その試合の有り様が生き々々と脳裏によみがえってきて、僕のアドレナリン分泌が促される。
また、木村和司、松木安太郎、加茂周など解説陣が、挟んでくる「合いの手」が、それぞれの個性を表していて泣かせる。
独自の視点から編まれた、日本サッカークロニクルといって良い。
3.0 次回作に期待したい
放送席からの俯瞰した目線による戦記である。「サッカー中継」や「スポーツ中継」など、実況放送についての難しさを克明に綴った文章は、やはりアナウンサー山本浩氏ならではの独自のものと感心させられる。しかし、わたしのような、いちサッカーファンとしては放送席からではなく、目線をピッチのレベルまで落とした、選手個々人や代表チームに対しての深い回想なども聞いてみたかったと思う。もし次回作を書くかれるのであれば、アナウンサー山本浩ではなく、日本サッカーの生き証人、山本浩としての回想を期待したい。たとえば、中田英寿は日本代表サッカー史において、どのような選手と山本浩氏の目には映っているのか。それだけでも聞く価値があると思えてならない。
5.0 語り口と編集が秀逸な一冊
NHKのアナウンサー(現在はNHK解説主幹)で主にスポーツを担当し,サッカー中継の第一人者としてサッカーファンならお馴染みの山本浩アナが,自身が中継をした試合の実況席の現場から振り返った手記で,この20年(メキシコW杯の予選からドイツW杯)の日本並びに世界のサッカーを間近で見てこられた想いが詰まった一冊。

この本は,山本アナが実況を担当した日本代表の試合を中心に,その試合をどのような想いや考えで実況を行ったかを綴っているのだが,その行間に実際中継で発した山本アナの実況を再現していて(太字で印刷されている),臨場感たっぷりの構成になっている。この本に載っているほとんどの試合をリアルタイムで観ている自分にとっては興奮がよみがえるし,ついついその実況部分を声を出して真似ている自分がいた。(真似をしても山本アナの再現は難しいのに気付き,やはりプロの技なんだと改めて感じた)

サッカーファンなら誰でも一度は耳にしたことのある山本浩アナの独特の抑揚ある語り口,静と動の使い分け,ある種詩的な表現,サッカーへの愛情などがこの本に語り口として素直に表現されていて人柄が伝わってくる。まだ日本がW杯に出られるのが夢の時代から異国の地での苦労話や日本のサッカーなどの想いを時にはユーモアを交え,時にはシリアスに語り,読み終えるのが惜しいような読後感の爽やかな秀逸な一冊であった。
5.0 山本浩の「ことば」とともに20年を過ごせた幸運
『メキシコの青い空』というタイトルは、ピンとくる人とこない人の差が大きいだろうが、あなたが「ピンとくる」派であれば、ぜったいに読んで損はない。1985年のワールドカップ・アジア最終予選の韓国戦から2006年のドイツ大会決勝までを、NHKの山本浩アナが実際に放送で発した「ことば」を織りまぜながら振り返った本だ。

 山本さんの実況といえば、「東京・千駄ヶ谷の国立競技場の曇り空の向こうに、メキシコの青い空が近づいているような気がします」といった、ちょっと詩的なオープニングのセリフが注目されがちだが、すばらしいのはそれだけではない。この本を読むと、プレーのなかでとっさに口にしていることばがじつに適確で、完璧なリズムをもっていることががわかる。実況のことばを読むだけで、プレーの場面を頭に描くことができるのだ。たとえば、日本がワールドカップ初出場を決めたジョホールバルで発した次のようなことば。

〈中田。名波、中田が出る。中田が出る。中田が出る。中田の。角度がないが。シュートチャンス。最後は、岡野。あっ、ふかした。頭抱えました、岡田監督!〉

 ことばが動いている。〈中田が出る〉を3度続けたあとで、〈中田の〉と止める。のみこんだことばは何だったか。〈角度がないが〉で再び止める。その瞬間のプレーにかぶせるには、これで十分だったにちがいない。
 
 この本のあちこちで山本さんは、経験から獲得した実況の極意に触れている。〈プレーの最中には、コントロールしながら息を使う。ちょうどスイカの種をはき出すような要領だ。「ぷっ。ぷっ。ぷっ、ぷっ。ぷっ、ぷっ、ぷっ、ぷーうっ、ぷっ」〉。そのうえで〈試合は盛り上げるものではない。それなりの試合はひとりでに盛り上がる〉ともいう。若いスポーツアナは、このことばを大きな紙に書いて机の前に貼っておいてほしい。
 
 試合を終えた日本代表がホテルの部屋で車座になって宴会をやっていた80年代。「オフサイドラインの白い線が私には見えないが」と視聴者が放送中に電話をしてきた90年代。そんな時代を経て、日本サッカーは〈世界〉の舞台へのぼることができた。本書はその20年間をつづったユニークな日本サッカー史であり、その年月を山本浩の「ことば」とともに過ごせたことがどれだけ幸運だったかを教えてくれる。

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