それでも生きている
著者は1961年生まれ、ぼくと同じだ。無限カノン3部作の完結篇。図書館で借りて読んだので、3冊読むのに時間はかかった。それでもすべて読んだということは、この3部作に著者の力の入れようを感じたからだと思う。
同じ年代を生きて来たぼくにとって、それだけで興味があったということもある。 主人公カヲルは、その受け継いだ血から恋に左右されながら、様々な境遇を受け入れ、エトロフの地にいても恋に生きている。どん底に等しい状況にありながら、様々な人の助けを借りながら生きている。
人は一人では生きて行けない。それでも仲間の力を借りれば生きることができると感じると同時に、ぼくも恋に左右されながら生きて来たと、そしてこれからも左右されるのだろうか(大した恋じゃないだろうけれど)と感じている。
3部作どこから読んでもおもしろい。
眠れぬ夜にも慣れて
前二作と比べてこの本は薄い!これが最初の印象である。
それはともかく、これほどの長編作(しかも恋愛)は近年の日本文学には見当たらないだろう。
「複製技術の誕生で恋愛は終わった」、その中で恋愛を書くという行為に島田氏は成功したように思える。この物語が持つドライブ感はかなりのものだ。この『エトロフの恋』でもそれは続いている。前二作を読んだ方は、この作品も読まずにはいられないだろう。それほど読者を引き込む強度を持った小説に仕上がっている。