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誰がヴァイオリンを殺したか

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誰がヴァイオリンを殺したかの商品レビュー

2.0 誰がヴァイオリンを殺したか?
タイトルに興味をそそられて拝見しましたが、
作者が絶対的に、自分の価値観が正しいとペンでイライラをぶつけている印象をうけました。
ヴァイオリンを殺したのはこの作者かもしれませんね(自分の中だけで)
作者は悪い意味で懐古的な方という印象です。
真剣に嘘を書いている文章がちらほら有りますね、単に知識不足か本にメリハリを付けるたか?
この本の一番優れているところは本のタイトルでしょうね。
3.0 これでパガニーニが好きになれます
 パガニーニに対して大変好意的な評価がなされており、とても興味深く読めました。パガニーニに限らず、著者が好意的に記した対象については参考になることが多く、初めてまた改めて曲を聴いてみる気をそそる文章になっています。
 一方、著者が否定的な評価を下している部分については、主観的な所があり、ところによっては不正確とすら感じられます。純正律と平均律についての記述、ガット弦を張った古楽器の音色に関する評価は、現実に即していないと思います。
 好意的に書かれた部分には有益な情報が多くありますが、題名の「誰がヴァイオリンを殺したか」に対する音楽史的な答えについては期待はずれでした。
4.0 古典美の再現は可能か
著者は音楽の美が歴史的に19世紀を転機として破壊されてきたとの認識に立ち、このプロセスをヴァイオリン音楽の展開に即して確認しようとする。
 本書は、ヴァイオリンの「悪魔」的な魅力がタルティーニ、ベルリオーズ、リスト、ストラビンスキーらの作曲のモティーフとなった事(第1章、第2章)、さらに演奏者が悪魔にたとえられたパガニーニが当時以下に聴衆に熱狂的に受容された事実(第3章)を検証し、こうしたヴァイオリン(=音楽)が19世紀に大きな変化にさらされて20世紀に「殺されて」しまうという。
 18世紀には音楽は聞き手のためのものであったが、19世紀にベートーヴェンに見られる芸術至上主義の中で音楽は書き手のためのものへと変質する。さらに大劇場で巨大な作品を演奏するために楽器が大きな音量を出せるものへと「改良」され、ヴァイオリンも別物となってしまう。20世紀にはこの趨勢が加速され、人間の知覚がにぶくなり、時間感覚が機械的となり、意図的に修正を加えられたCDの享受によって「古典的な美の世界」が失われた。さらに、作曲者の側にたつ厳格な音楽批評、技術のみを競うコンクールがヴァイオリン(=音楽)の魅力を完全に殺してしまうのである。
 著者によれば、19世紀にドイツで厳格な音楽観が成立し、これが音楽の官能的魅力を否定してしまう。さらに、作曲者のみが音楽の創造者であるとの見方が成立し、これが演奏者の自由の否定につながる。この主題は、後の『反音楽史』(2004年)で展開されることになる。
 「古典的な美の世界」が消滅したとする著者は、現代の音楽状況に批判的である。しかし、この事態はもはや修復不能なのであろうか。著者はアンドルー・マンゼという演奏者にふれ、彼の演奏に「直観」と「頭」をつかって音楽を創造する自由を見いだす。演奏者の創造的自由が今もなお可能であるとすれば、古典的美の可能性はかろうじて存在しているのであろう。
4.0 読み手を挑発する
 ヴァイオリンの銘器はなぜああも高いのか。クラシック音楽を聴くものなら誰でも一度くらいは考えたことがあると思うけれど、著者の石井宏は第一章でこう断言する。『その値段は楽器としての値段ではなく、骨董品としての値段なのである』そして、今では通説となった感のあるニスの変化の話も眉唾物として退け、ヴァイオリンの音とはその弾き手の音であり、現代のヴァイオリニストの音が貧しいのは、楽器ではなく、彼らの感性が乏しいせいだと斬って捨てる。非常に刺激的な論だ。
 楽器としてのヴァイオリンの変遷や、歴史のなかで音楽がどう変化してきたか、さらには、とかく派手で、なるほど名人ではあったろうが、音楽的内容にはまるで乏しいと考えられているパガニーニの名誉回復まで、実に興味深い。最後の章では文明論にまで話が及び、それらからいかにヴァイオリンの演奏が死んでしまったかを説くわけだが、しかし、ここまでくると私は多少首を捻らざるをえなかった。著者の見解に反対というわけではない。環境と音楽の関係など、私もそう感じているところがある。しかし、全体的にみるとその主張はあまりに一面的であり、偏った考えに思えてしまうのである。
要するにここで述べられているのは、著者の嗜好なのである。モーツァルトの著作で有名な著者からみると、ヴァイオリンだけでなく、おそらくベートーヴェン以降の音楽自体に馴染みがたいものがあるのだろう。その点では一貫性があるといえる。
 そうしたことを前提として踏まえるならば、この著作は確かに面白い。間違いなく一読の価値はある。

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