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重力ピエロ

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重力ピエロの解説

■原作本持参割引キャンペーン
映画『重力ピエロ』では、原作本を映画館に持参すると、劇場窓口で当日入 場料金が割引になるキャンペーンを実施します。
原作本「重力ピエロ」(新潮社刊)を持参の方に限り、映画館の当日窓口料 金より、一般200円、学生(高校生以上)100円が割引となります(中学生以 下、シニアを除く)。
※単行本、文庫本のどちらも割引対象となります。
※原作本持参の方、1名様1回限り有効。劇場窓口で原作本をご提示ください。
※『重力ピエロ』上映期間中、上映劇場のみ有効(一部劇場を除く)。
※他の割引制度との併用はできません。
※レイトショー、オールナイトおよび特別興行では使用できません。
※こちらのキャンペーンの詳細は、Amazon.co.jpではお答えできませんので、ご了承ください。
※キャンペーンに関するお問い合わせ先:アスミック・エース映画事業本部 TEL:03-5413-4314


   半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。春は、私の母親がレイプされたときに身ごもった子である。ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、何者かに放火される。町のあちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、現場近くに、スプレーによるグラフィティーアートが残されていることに気づく。連続放火事件と謎の落書き、レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、自分が存在しない、という矛盾を抱えた春の危うさは、やがて交錯し…。

   著者は、新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『オーデュボンの祈り』で言葉を話すカカシを登場させ、『陽気なギャングが地球を回す』では、特殊能力を持ったギャング団一味を軽妙なタッチで描いてみせた伊坂幸太郎。奇想天外なキャラクターを、巧みなストーリーテリングで破綻なく引っ張っていく手法は、著者の得意とするところである。本書もまた、春という魅力的な人物を縦横に活躍させながら、既存のミステリーの枠にとらわれない、不思議な余韻を残す作品となっている。

   伊坂流「罪と罰」ともいえる本書は、背後に重いテーマをはらみながらも、一貫して前向きで、明るい。そこには、空中ブランコを飛ぶピエロが、一瞬だけ重力を忘れることができるように、いかに困難なことであっても必ず飛び越えることができる、という著者の信念が感じられる。とくに、癌(がん)に冒されながらも、最後まで春を我が子として支援する父親の存在が、力強い。春が選んだ結末には賛否両論があるに違いないが、「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」と春に語らせた著者のもくろみが成功していることは、すがすがしい読後感が証明している。(中島正敏)

重力ピエロの商品レビュー

5.0 兄の存在


この作品を読んで、遺伝とは何か考えました。

遺伝とは、遺伝子に刻まれていることが全てではありません。
親の知識や経験にはじまり、趣味や趣向、日常の癖やジンクス、こだわりも遺伝です。
そしてそれは、次の世代にも脈々と受け継がれていきます。

だから、癌で病床に伏せている父親が春の本当の父親であることは間違いないのでしょう。
それでも春は、血のつながりのある父親にも、どこかで認められたかったのかもしれません。
もしくはずっと、超えようとしていたのかもしれません。

春は葛城に放火現場の写真を見せることで、罪を問うと同時に、自分の存在を主張していました。

父親にコンプレックスのある息子というものは、日常の些細なことでも自分と父を重ねてしまいます。
その錯覚を振り払うために、いつも必死です。
私もそうでした。

私達は父親だったらどうするかを考え、行動を決めます。
その中には同じ道で超えようとするものいれば、違う道で認められようとするものいます。
春は前者であり、その方法がジョーダンバットでの復讐でした。
その瞬間、たしかに彼は父を超えていました。

ならば春の選択は避けられない運命だったのでしょうか?
もしそうだとしても、彼は不幸ではなかったと思います。
なぜならそこには兄の泉水がいたから。

例えいくつになっても、弟にとって兄の存在は心強いものなのです。
4.0 登場人物が魅力的
ちゃんと繋がっていはいるけど、どこかショートショートちっくな話の繋がりで、
どういう結論に繋がっていくか、最初見えないまま手探りで読んでいたのですが、
泉水と春の最強兄弟コンビの繋がりが素敵でした。

泉水は弟思いの、いいにーちゃんです!
この普通のにーちゃんの目から見ると、弟の春は、ちょっとというか、かなり
エキセントリックなところもあるけど、筋が通っているので許せます。
美形だというのもポイント高いです(笑)。
兄弟のお父さんも素晴らしい人で、こんな人が父親だったらいいなぁ等と思いました。
ストーカーさんも探偵さんもいい味出してます!

最後がどうなるか明確には分からないけど、これをよしとするか否かは、
罪と罰についての個人の考え方によるのではないでしょうか。
私は殺し屋みたいなおじさんのところに行った事でよしとしますね。

キャラクターが重要と考える方には問題なくお勧めします!
曖昧さは絶対駄目という方には余りお勧めできません。
3.0 深み?
ミステリとして楽しめるわけでも、深みを味わわせてくれるわけでもない。
軽快なタッチを意識した文章は読みやすいことは読みやすいけど、『若さ』を強調するにはちょっと臭いというか『違う』感じがした。
(『文章の独創性』という点においては、町田康など芥川賞作家のほうがレベルが高い)
あと、春の人物像がどうも魅力的には思えなかった。
『結構人間らしい面を持ち合わせている天才』、という印象を与えたいようだが私には逆に『天才っぽいふりをしている普通の人間』に思えてならなかった。
それでも不安なく読めることは確かだし、可もなく不可もない感じ。
4.0 深刻なことは陽気に伝えるべきだ
本書に出てくる一文
「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」
まさにそれを描いた作品で、
重いテーマにもかかわらず、
「おもしろく」読むことができた。

復讐をミステリーの謎解きにすりかえた点が
見事という他ない。
文章全体にも奇をてらった感じがなく、
それでいて随所随所に伊坂節ともいうべきユニークさがあり、
明確なテーマに沿ってストレートに描かれているので、
読みやすく、かつ考えさせられる、
実にいい作品だと思います。
5.0 桜の花がたゆたう川みたいに、穏やかだ
初出は2003年4月。伊坂幸太郎が1970年代生まれとして初めて直木賞候補となった作品である。ぼくの読後感ではむしろ芥川賞受賞であるべき作品だと強く思う。これを選考から漏らす選考委員は失格だと断言してしまいたい。

この作品のテーマは『家族』だ。『家族』はなぜ『家族』なのだろう。ローランド・カークの音楽を無意識に聴き、兄弟・父子・母子の間で交わされる会話が、その答えを示すかのように輝き続ける。言葉をキャッチ・ボールする春と泉水、そしてその二人を見守る末期癌の父。登場する人物の誰もがラストに向かって光を強める。

この慈愛に満ちた小説を生み出す暖かみある力に、これから生み出される作品に期待するな、という方が無理だ。伊坂幸太郎の才能は村上春樹以上かもしれない。

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