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ラスト ワン マイル

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ラスト ワン マイルの商品レビュー

2.0 湘南ダディは読みました。
企業人を主人公とした読み応えのある作品は、たとえば城山三郎の「毎日が日曜日」、山崎豊子の「沈まぬ太陽」、直木賞をとった深田祐介の「炎熱商人」など多数ありますが、背景には経済活動や企業内環境があるもののいずれも主人公の内面の葛藤や決断を描くことに焦点が当てられています。それに対してアメリカではA・へイリーの「マネーチェンジャー」や「自動車」、あるいは実際の取引の失敗で銀行を破産させたことがあるP・アードマンにしても、企業間の策略に満ちた買収活動や乗っ取り劇そのものが迫力たっぷり描かれています。

本作品はその点から言うとアメリカ的なイベントフルな展開となっています。民営化で進出してきた郵政により宅配便の大得意を横取りされた大手運輸会社の課長 横澤 哲夫、急拡大した資金調達力により、まるでライブドアがフジテレビに仕掛けたようなテレビ局買収をもくろむネットショッピングのオーナー武村慎一の二人を主人公とし二人のそれぞれ目的に向かってのアクションをおったストーリー展開に仕立て上げられています。
株価という経済環境に敏感な指標に焦点を当てている着目は今日的なセンスですが主人公達の虚虚実実のやり取りやその緊迫感があまり伝わってきません。最近の楽天とTBSの話もありますし、ネットショッピングという新しいITビジネスの内幕も書かれていますので、このあたりに関心がある方には面白いかもしれません。
 
タイトルのラストワンマイルはかってIT業界では電話局からユーザー宅からにいたる接続回線の最後の部分を意味し、基幹が高速化されてもラストワンマイルの混雑がボトルネックになるなどと使われていました。ところが最近ではインターネットの家庭内環境の高速化も進んだためこの意味で利用されることはあまりなくなってしまったのです。本のタイトルとして久しぶりにお目にかかったので読んでみましたが、IT業界とは少し違う意味でした。
4.0 痛快娯楽小説
これまで経済小説と言えば、社内の血みどろ派閥抗争、
やけにおじさん側に都合がいいねっとりとしたオフィスラブ、
またはお手盛りがバレバレのヨイショ立志伝のような
ものが多かったですが(そのノリも嫌いではないのですが)

楡さんの経済シリーズは、熱さとリアルさが程よくミックス
されこれまでの経済小説に無いような痛快さがあります。
デビュー作からの持ち味である、やや大げさなストーリー
展開もテーマにマッチして十分楽しめました。
5.0 物流の仕事への思いが伝わる、熱きビジネス物語・・・
 物流があらゆる産業の足下を支える重要なものであること、またそれが顧客サービスレベルの向上やリードタイム短縮、在庫削減などといったSCMの課題を実現する上で鍵を握っていることは、今日のビジネスにおける常識です。
 しかし、その重要性にもかかわらず、日本では物流業者のことを戦略的なロジスティクス・パートナーとして捉える荷主はまだ少なく、物流業者の方も下請業者の地位に甘んじたまま競合他社との安売り合戦による消耗戦に陥りがちです。
 今日、日本の物流業界を揺るがしているのは、民営化によって物流業に乗り込んできた巨艦・郵政ですが、本書はそんな状況下で日々奮闘している物流マンたちを題材にした熱きビジネス物語です。
 物流の仕事に対する著者の熱い思いが本書から伝わってきて、僕は一気に読み上げました。本書中で引用されている哲学者アランの言葉、「安定は情熱を殺し、緊張、苦悩こそが情熱を産む」・・・いいですね!
4.0 題材が身近でイメージしやすい
運送会社による新規ビジネス立ち上げまでのストーリーを、IT企業とテレビ局の買収劇とうまく絡ませ展開している。
買収側の内幕や精神的プレッシャーもよく描けており、興味深く読んだ。
4.0 時事ニュースを組み合わせ、ひとつのビジネス小説としてカリカチュア化
 ラストワンマイル―ネットで発注、決済は出来ても、最後にモノを届ける物流こそが商流の要(かなめ)。確かにネットで運べるものってデジタル化可能な文字、音楽、画像、映像であって、食料にしても衣料にしても物流のお世話にならざるを得ない。この小説のカタルシスはまず、IT、ITって浮かれてる世相の中で、もっともアナログな物流がなくっちゃ商売は成り立たないって事実を浮き彫りにした点だよね。ってゆーかITでビジネスのマッチング化が進めば進むほど物流の役割はますます大きくなる。
 この小説が面白く読めるのは、ローソンをめぐる郵政VSヤマト戦争、佐川急便のネット通販進出、ライブドアによるニッポン放送株買収、楽天のTBS株大量取得といった、いまどきのITビジネス、物流をめぐる時事ニュースをパッチワークのように組み合わせ、ひとつのビジネス小説としてカリカチュア化している点だ。「通販生活」や「どっちのどっちの料理ショー」といった小ネタまで巧みに交える著者のリミキサー的手腕はなかなかのもの。
 IT起業家誰しもが口にする“ネットとメディアの融合”ってのを具体的なイメージとして描いている点も評価できる。ネットの玉石混交の情報とメディアのスクリーニング化された情報の使い分けについては、受け手側のリテラシーがますます求められるんだろうな。本書に「ニュースの価値をヒット数や受け手の評価で測定する」って発想は、すでにYAHOO!ニュースなんかでも取り入れられてるけど、ジャーナリズムが数値主義、実績主義、マーケティングだけになっちゃうとヤバい気はするね。
 この小説は、ビジネスの表面的な事象だけではなく、新興勢力であるIT起業家と既存勢力である財界の世代間闘争、課長クラス、部長クラス、役員クラスの世代間連携といった「人間ドラマ」の側面も描けていて、とってもエンターテインメントなビジネス小説になっている。

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