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わが悲しき娼婦たちの思い出 (Obra de Garc〓a M〓rquez (2004))

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わが悲しき娼婦たちの思い出 (Obra de Garc〓a M〓rquez (2004))の商品レビュー

5.0 老いを感じて何を思うか?
老いへの恐れ、死を意識した時、人は何を思うのか? 本作を書くきっかけとなった川端の『眠れる美女』では、終始老いへの恐怖に苛まれているが、77歳のマルケスが本作で描いた90歳の主人公は、老いの恐怖よりも、長く閉ざしてきた自分を解き放ち、新しい夢を見たいという、何とも若々しくロマンチックな思いに行き当たっている。 厳格な親に育てられ、対面ばかりを気にしてきたこと、衝撃的な初体験で、女性を金で買う性の対象としか扱えなくなったことなどが、90歳を目前にした彼を動かしたのかもしれない。 少女とのプラトニックな夜は、まるで夢の中の出来事のように美しく語られていて胸を打つ。 一方で、マルケスらしいミステリーの場面も少しだが用意されている。 今までの作品の出来からすれば粗削りさは否めないが、それ以上に、マルケスが90歳に抱く夢に魅了されてしまった。 改めて、物語は素敵だと感じさせてくれる作品だった。
2.0 マルケスは好きだけど…
マルケスの最新作、しかも川端作品に想を得ての作品という予告記事をずいぶん前に新聞で読み、それからずいぶん待ち焦がれてやっと読んだせいもあってか、期待はずれの感が強かった。マルケス独特のユーモアや軽妙さは健在だが、やはり過去の名作の数々と比べて質・量ともにどうしても見劣りがしてしまった。

決定的に違和感を覚えたのは、90歳の老人という語り手の設定。誕生日のお祝いに処女とみだらに過ごしたいという願望があってもかまわない。その少女に恋をしてしまうのも別に問題はない。でもその思考回路と行動力があまりに能天気すぎて、どう読んでも90歳のリアリティがない。タイトルの「悲しき」が「娼婦」にかかるのか「思い出」にかかるのかわからないけど、いずれにしても「悲しみ」は伝わってこない。余計な感傷も乾いてしまうという意味でそれが90歳のリアリティなのだろうか…。そんなの文学で読みたいと思わないし。

「百年の孤独」などの名作には、突拍子もないストーリーの数々にも確かなリアリティがあった。それがマジックリアリズムと呼ばれる所以なのだろう。そのリアリティの欠如ゆえに、この作品にはストーリーテリングのわくわくする面白さが感じられない。

文章や構成もやや雑な感じで、たとえば「予告された殺人の記録」などの緊密な構成と濃厚で磨きぬかれた文章には比べるべくもない。さらに比べる必要はないながら、少女と対峙する老人の心理を通して生と死の構図を陰影豊かに描き出した川端の「眠れる美女」には到底及ぶべくもないと感じた。

ファンとしてあえて言わしてもらえば、これはマルケス作品の中でも駄作の部類だと思う。手に取りやすい分量と目を引くタイトルや書き出しにつられてマルケス入門として読もうと思う人がいたら、まったくおすすめできません。

4.0 on ne change pas
90歳の誕生日に処女の14歳の娼婦をかうことを決意する。
その響きから連想される人目をはばかるような暗さはこの小説にはまったく見られない。

90歳になっても現役同様に新聞に記事を書き、独身できままに暮らす主人公。
14歳の彼女と知り合ってから彼の生活が一変する。とは、いっても二人は夜に一緒に(文字どうり)寝るだけでまともに話したこともないという奇妙な関係である。それでも彼は、貧しい彼女のために自転車を買いに行き、自分も自転車に乗ったり、新聞に彼女への愛を綴った文章を載せてみたり、嫉妬のあまり部屋を壊してしまったり恋にどっぷりはまり込んでいる。そのドタバタがおもしろい。

恋は盲目。それには年齢は関係ないのだとあらためて教えられた。人は結局何歳になっても内面は変わらないのであろう。
5.0 90歳すぎてもきっと何度も読み返したくなる作品
ガブリエル・ガルシア=マルケスの10年ぶりの新作。

わずか100数ページの中編小説だが、長編小説『百年の孤独』と
『コレラの時代の恋』と肩を並べる傑作。数時間で読み切ってし
まったが、あまりにも面白く、しばらくその余韻を味わったあと
ーいや、圧倒されて一息をついたと言った方が正しいーまた最初
のページに戻って読み始めた。カラット数は小さいが、色と透明
度とカットが極めて優れた、見る者を捉えて離さない輝きを放つ
宝石のような小説。

主人公の「私」は、90歳の誕生日を祝うため20年ぶりに娼婦と
ともに一夜を過ごしたいという衝動に駆られる。誕生日の前日に、
かつて懇意にしていた売春宿の女将に、人の手に触れられたこと
のない若い娘を用意するよう依頼する。その夜、「私」のために
ベッドに横たわっていた14歳の美しい少女は、しかしずっと眠っ
ている。小説の冒頭にある引用から明らかなとおり、川端康成の
『眠れる美女』がモチーフとなっている。

題名にある「思い出」という言葉から、老人が昔一緒 に寝た娼婦
たちを振り返る回想録を連想してしまう。確かに回想は物語の中
で重要な意味を持つが、何しろ主人公がこれまでに一緒に寝た女
性の数は膨大で(尋常でないその数たるや、“民話的”な数が登場
する『百年の孤 独』を彷彿とさせるものがある)一人一人を思い
出していたらキリがない。 回想録どころか、これは“現在”を描い
た小説であり、わくわくするくらい瑞々しい。なにしろこれは初
恋の物語だ。90歳にして初めて恋を知ったとき、人はどう振る舞
うのか。それがガルシア=マルケスの独特のユーモアとア イロニ
ーによって描かれている。

恋愛物語であるだけでなく、現代の価値観を問う寓話としても読
める。若かさと美しさ(これは主人公も虜になるのだが)、金銭
的な裕福さ、実直さよりも要領の良さ、寛容よりも厳格さ、赦し
よりも罰を、教養よりも服の生地のセンスの方が重んじられる現
代は果たして豊かなのか。そうした疑問が静かに提示されている。

1928年生まれのガルシア=マルケスが本作品を完成させたのは
2004年、76歳の時だが、ここで新たな代表作を書き上げてしまっ
た。この奇跡を(本書を読むと飲みたくなる)蜂蜜入りのコーヒ
ーを傍らに何度でも読み返して祝したい。たとえ自分が90歳をす
ぎた時にも。
5.0 貪欲な下半身
 お勧めです。

「毎年十二月になると決ってそうなのだが、空は青く澄み、砂嵐が吹き、
通りを竜巻が吹き抜けて、家の屋根を吹き飛ばし、女学生のスカートを捲り上げていた。」

 こういう凄いことを淡々と述べる文章を書けるのは、マルケスだけだろうな。
ひさびさに小説を読んで笑いました。

 小説として無駄がなく、木村榮一さんの訳なので安心して読めます。
分量的には半日くらいかな。

 読もうかどうか迷ってる人は、ぜひ読んでみてください!

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