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トゥルー・ストーリーズ

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トゥルー・ストーリーズの解説

   対応する原書が存在しない、貴重なポール・オースター・エッセイ集。 日本で出版される本書のために、オースター自らが目次を組んだという。邦訳はもちろん、「翻訳の神様」柴田元幸。まさに著者と訳者の信頼関係が実現せしめた、無二の特別編集。

   世界の悲惨に対する悲しみやニューヨークへの愛をバックグラウンドにつづった「あの事件」以降の作品から、長編エッセイ「その日暮らし」まで。幾度も幾度も読み返したい魅力的な作品の数々を、オースターの声をそのまま響かせ得た「原文と等価」のすばらしい訳文で、ゆっくりと堪能したい。

トゥルー・ストーリーズの商品レビュー

5.0 偶然を愛する
「これは実際にあった出来事である。
 この赤いノートブックに書きつけたほかのすべての物語と同じく、本当の話である」(本文より)

まるで冗談のような本当のことに、しょっちゅう著者は出会うらしい。
日々の生活から「事実は小説より奇なり」を肌で感じ取っていたのだろう。

そうした偶然を、ミステリのように科学的に説明しようとするでもなく、超常現象として語るでもない。
「こんなおもしろいこともあるんですよ、不思議ですよね人生って」というように、そうした偶然を楽しんで愛するその姿勢が好ましい。

日々の生活も、物語の中。
なるほど、作家はこういう風に世界を見ることができる人種のことをさすのかもしれない。
5.0 事実は確かに小説より奇なり
本書を紹介する際に「事実は小説よりも奇なり」と言う言葉は鬱陶しいくらい使われているため、本書を読む以前はその、使い古された、普通はほとんど通用しない言い回しに多少の嫌悪感を覚えていた。しかし、読んでみるとこの言葉は明らかにポール・オースターの人生の中枢をなしていることがわかる。誇張では決してない。ドキッとする話、ハッとする話、ホワンとする話、ゾクッとする話。何でもありだ。それらの話がポール・オースターの、シンプルだが気の利いた繊細な言い回しで彩られる。

ポール・オースター自身が体験した話、友人から聞いた話、ファンから聞いた話からなるショートストーリーズの章も読んでいて勿論楽しいが、彼が作家として売れるようになるまでのエッセイ的な「その日暮らし」(原題「Hand to Mouth」)も作家ポール・オースターを知る上で非常に興味深い。彼が奇妙な、凄まじい人生を生きてきたことが分かる。





4.0 地下鉄とニューヨーク
最後の短編、9.11の1ヵ月後に書かれた「地下鉄」という短編を推したい。不意に車内の明かりが消え、それが戻るまで黙って待つ客の描写がすばらしい。同じ頃来日したデヴィッド・ボウイがニューヨークの様子を聞かれ、「誰もが息を止めて何かを待ってるみたいな感じだ」と答えた街の雰囲気がよく出てる。

貿易センタービルへの旅客機の激突はさぞかし大きな音だったろう。しかも2回も。びっくりして何事かと身をすくめるのはしょうがないよね。でも沈黙の後に聴こえてきて欲しいのは、何事もなかったような、いつもどおりの生活音、たとえば地下鉄のファンのうなりや単調なアナウンス。決して、3回目の爆破音--あぁやっぱり世界が破滅していく音だったんだ--ではないだろう。

そういうメッセージとして、この短編を読んだ。
5.0 おもしろい。
買うつもりがなかったのですが
チラ見して、立ち読みして、気がついたらレジでお金払ってました。
面白いです。
オースター好きなら、間違いなくはまります。
なぜなら、このエッセイ集は彼の小説みたいだから。
エッセイと小説のギャップのある作家さんて
とてもたくさんいらっしゃいますが、
読者はそういうのを求めているのではないことって多々あります。
イメージが崩れるというのもありますしね。
オースターのイメージを損なうことなく、さらに倍加させています。
お金を払って所有するのに値する本です。
星五つ。
4.0 神がかりの偶然…奇跡
発売されてすぐに買っていたのだけれど、やっと、今になって読み終えた。ポール・オースターという人の作品が、彼自身の実生活にかなり密接した作品であることがよくわかる。
読んでいて、実生活に起きる様々な偶然が、次から次から起こっていく姿は、まさに神がかりの偶然とでも言いたくなるものであるが、これは、太古の昔から、人々が奇跡と呼んできたものと一致する気がする。
非科学的なものを信じない時代に、さらには、テロという歴史上類例のない卑劣な悪が実現されている時代に、彼は、今も変わらずに人間の人生の中に存在する神がかりなもの、科学的に割り切れないものという実話を語ってみせる。それは、彼自身の小説という人の想像力と空想力の産物をいまだに人間が求め続けている姿とも一致する。
天才的な人々に、奇跡的な事件が次から次から起こるということは、歴史的にも数多くあった。オースターは、そういう運命にある、昔流に言うならば、神の子とでも言うべき存在者なのかもしれない。
彼の小説のように、グイグイ惹きこまれるほどの魅力はないけれど、ヘェ~、とかホ~、とか終始驚きとため息ばかりの出てくる話ばかりで、とてもおもしろかったし、こうした実経験から、彼のおもしろい小説は生まれているのだ、と実感した。

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