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ビッグバン宇宙論 (下)

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ビッグバン宇宙論 (下)の商品レビュー

5.0 下巻の主役はアンチヒーローのフレッド・ホイル
さて、下巻。下巻の主役はフレッド・ホイルだ。彼は、アンチビッグバンすなわち定常宇宙論の旗頭だから、変な話だが、ヒールとして最高のパーソナリティーなのだろう。まあ、定常宇宙論は彼で持ってたわけだし、一方、ビッグバン宇宙論はたくさんの役者が出て来て、決定的なヒーローがいない。これからの正しい理論はどんどんそう言う傾向が強くなるのだろう。量子論でもそうだしね。

フレッド・ホイルの定常宇宙論は何となく嫌いで、しかも、彼の書いた SF に良い印象を持っていなかったりして、科学の発展の足を引っ張った変なイギリス人という印象しか無かった。しかし、元素合成の理論で極めて重要な貢献をしていることを本書で知った。その他にも、ホイルの宇宙論は、当時としてはビッグバンより「とんでも」では決してなかったことを説得されたのは収穫だった。それに、フレッド・ホイルに焦点を当てることで、ビッグバン宇宙論の特徴にスポットライトを当てることが出来ている。まあ、彼は、ビッグバンの名付け親でもあることだし。

そこから、宇宙背景輻射の発見、COBE による背景輻射の揺らぎの発見で、ビッグバン宇宙論は確固たる地位を確立する。本書はそこまでで筆を置いている。インフレーション宇宙など、その後の発展については本文では触れていない。現在の科学の到達点として確として書けるのがこれまでとサイモン・シンは思ったのである。本書を読んでいて、それも説得的だった。

一つ、前から感じている疑問が本書を読んでも残ったままだったのが残念。それは、背景輻射が地球の運動でドップラーシフトする話だ。直接的は当然すぎるほど当然の話なのだが、これって、絶対運動を規定するのではないだろうか。相対性信奉者としては、なんとなく引っかかる。どなたか、納得させてくれませんか?
5.0 全ては前から全天に見えていた
 まず。”ビッグバン”という言葉を軽蔑の意味で使ったフレッドホイルの、報われないが価値のある人生は、映画のように印象的でした。
 宇宙論を支える観測事実の全ては、人類が誕生した当初から、様々な波長と強度の電磁波(電波、光)で地上に降り注いでいたわけです。人間の肉体的な眼が望遠鏡で拡大されて微弱な光をとらえられるようになり、電波の理解によって機械をつかって関知できる波長の幅を広げて、既に全天に提示されていたものを認知し分析し解釈してきたのです。
 理論と観測と実験が絡み合い、複数の仮説が競争し、137億年前を見通す眼が階段状に進化していく様子は、そのままエンターテイメントにも思える面白さでした。
 以前見学した施設では暗黒物質の感知をターゲットにした次世代の眼(観測機)の製作が進んでいました。この問題の決着を生きている間に聞けるかどうかは微妙ですが、いずれ次のステップは必ず訪れるという確信は強まりました。
4.0 宇宙に関する科学史とその人間ドラマ
ビッグバン理論だけを扱っているのではないかと思って手を出さなかったのだが、人類の宇宙に対する認識から物語が始まっているので興味を惹かれた。まずは、ギリシャ時代の太陽中心説対地球中心説のエピソードが丁寧に書かれている。また、コペルニクスによるパラダイムシフト、それを根拠づけたガリレオの観測とケプラーとニュートンの理論もわかりやすく紹介されている。ビッグバン理論が宇宙背景輻射によって決定的になるまでの人間ドラマも面白い。科学とは、理論が提出されて、実験や観測によって根拠づけられるという、その過程を実に丁寧に書いている。本書は科学書でもあると同時に、いやそれ以上に人間ドラマを描写しているのだ。

ビッグバン理論やガリレオの成果、ニュートンの功績については、それらを個々に取り上げてる書籍の方が分かりやすいかもしれない。『ビッグバン宇宙論ん』においては、個別の事項については物足りなく感じることもあるだろう。けれども、本書はあくまで宇宙に関する科学史の本であり、また科学者たちの人間ドラマの本なのだと思う。そのことに留意すれば間違いなく楽しめるだろう。
5.0 夜空を眺めたくなります。
この頃の急激な望遠鏡の値段の低下で、もしかしたら、60回ローンを組んだら、世界でも有数の望遠鏡を作ることが出来るのではないかと夢見ているあなた。そんなあなたに絶好の1冊です。人間が持ちあげられる最高の大きさは、どうやら口径60センチの反射鏡が最大のようですので、すぐさま買って、高い山に登って一晩中夜空を眺めていたら、きっと宇宙の最初も分かるはず。そんな気にさせてくれる1冊です。上巻も読みましょう。
5.0 ビックバンの歴史書
前2作が超絶に面白かったので、こちらも期待して購入した。700ページ近くある大作であるが、あっという間に読んでしまった。
確かに宇宙論の解説本としては物足りないという意見もあるだろう。ビックバンの解説はほかにもいい本がある。だが、この本は、ビックバン理論が歴史上どうやって浮かび上がって、どうやって対立する理論を蹴散らし、最終的に確立されたかという筋を追ったもので、たいへん説得力がありドラマがある。
昔はトンデモ理論だったビックバン論が正しいと認知されるまでの過程を知るのと、
すでに認知されたビックバン論を解説したものを読むのでは、理解の深さでいうと前者の方に軍配が上がるだろう。
たとえば、現在の民主主義、たとえばアメリカの3権制度の仕組みを解説した本があったとしよう。それは確かに詳しく現状を分析しているが、面白くはないだろう。それより、古代からどうやって民主主義が成り立ってきて、なぜヨーロッパのピューリタンが新大陸にわたって国家をつくったのか、といった根本に流れる思想について解説した本の方が、はるかに示唆に富むからである。
本書もそのようなものである。

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