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「法令遵守」が日本を滅ぼす (新潮新書)

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「法令遵守」が日本を滅ぼす (新潮新書)の商品レビュー

4.0 本質を捉える
法令遵守のみが大切なのではなく、
法令の背後にある社会の要請を
考えることが大切だと説いています。

意見はもっともですが、
タイトルほどのインパクトは
感じませんでした。
4.0 「法令を守ればいい」という思考停止状態に気づくために
先日、ある居酒屋で面白い体験をした。そのお店のHPによるとそこにはマニュアルはないのだそうだ。スタッフは常にお客様(「お客様」と杓子定規に言わなくてもいいと思う。客でもいいのだ。敬意を払っているからといって「様」までつける必要はないと思う。様をつけたから敬意を払っていると考えるのが思考停止状態そのものだ。これは僕の考え。)のことを考えその場で様々なことを判断しなければならない。このお店の接客はとても良かった。

巷ではなにかあると法令遵守とかまびすしい状況が続いたが、この風潮の背後には一種の思考停止がある。日本もまともな法治国家になりつつあるのかというとちょっと違う。今まで当事者の倫理観や信用を守るためにされてきたことが、単に法令や制度をクリアすればいいという思考停止状態に取って代わられつつあるという危険な風潮がある。この風潮の下で、当事者は自分の頭を使って考えることをしなくなる。

法令順守をめぐって大きな弊害が指摘されている。仕事の中で基本的なことと具体的な細かいことがあるとすると、通常仕事をするときの人は基本的なことに意識が集中していたが、法令遵守が叫ばれてから具体的な細かいことばかりに意識が集中するようになってきたというのだ。それは枝葉末節であり、小手先の技術である。

現在、社会では法令遵守という言葉をたてにして思考停止状態に陥っている面が多くあると思う。多くの人がその状態に気づくことが出来れば、社会ももっと過ごしやすく良いものになっていくと思う。そのことを本書は気づかせてくれる。
4.0 法令遵守に潜むリスク
 官僚統制的な経済は、「市民社会・経済社会と法令の乖離」、「法令と実態の乖離」という副産物を生じさせたという。

 社会の要請を見極めずに、単にその法律を強化するだけでは問題の解決に繋がらないとの指摘は正論であろう。
 また、ライブドア事件、村上ファンド事件を例に取り、法律に包括的な規定がないため、「適法だが問題なので法改正」といった対応の繰り返しであるという。
 市場の実態に応じた柔軟な法適用ができないことが問題としている。

 また、規制緩和が進み、企業が自己責任原則で行動することを求められている中で、企業も社会的要請に直接向き合う必要が出てきている。
 単に法律を遵守するのでは足りず、組織文化と社会の要請の齟齬にも目を向ける必要がある。
 内部監査も、「法令や規則に違反する行為だけではなく、組織の方針に実質的に反する行為がなされていないかも対象」にすべきとしている。

 「談合」については、高度経済発展段階においては、談合システムといえども、「地方への所得再配分機能」、「建設業界の技術の高度化」、「政治コストの負担」という機能を果たしてきており、「半ば公的な性格」を持っていたが、米国の後押しによる独占禁止法の強化が談合システムを破壊したというが、そういうものなのだろうか。

 「経済法令と検察の関係」であるが、検察の立場から見ると、経済法令の適用は困難だとのこと。検察の機能は、「犯罪者」を「社会から隔離」することであるが、経済法令の場合は、価値判断をしないで適用するのは困難だというのは、検事の人の感覚がうかがい知れておおもしろい。
5.0 法令遵守に疑問を感じたら読む本
最近の世間の会社の対応をみると法令遵守のみが目的になっていると感じたり、常識とかけはなれた法令を遵守しろといったり、何かおかしいと感じていたが、本書を読んで、やはりおかしかったということに納得した。

「コンプライアンス=社会的要請への適応」と定義し、コンプライアンス対応をビジネスチャンスとする考え方は、気づきのあった点であった。

法令遵守、コンプライアンスの対応に疑問をもったら、読むとよい本だと思う。
4.0 「法令遵守」は日本に馴染まない?
「『法令遵守』が日本を滅ぼす」と言っても、脱法・違法行為を推奨しているわけではない。「法令遵守」にこだわるあまり、達成すべき本来の目的を見失ってしまうような本末転倒を批判しているのである。

結局のところ、「臨機応変に対応しろ」と言うことになると思うのだが、これはこれで結構難しいことである。当然ながら臨機応変に対応出来るようになるマニュアルなど存在しないだろうし、本書でもその方法が明らかにされているわけではない。

もともと日本は、法律を厳格に守ることよりも、臨機応変な対応でうまくやってきた国なのだが、そこにアメリカ的な「法令遵守」ルールを徹底させようとすることで様々な弊害が生み出されていると言うことを、著者は一番訴えたかったのだと思われる。

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