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ルネサンスとは何であったのか (塩野七生ルネサンス著作集)

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ルネサンスとは何であったのか (塩野七生ルネサンス著作集)の解説

   歴史のおもしろさを味わわせてくれた書物はいくつかあるけれど、遠い異国の、それも古い時代のこととなると、どうしても隔靴掻痒(かっかそうよう)のうらみが残る。特に歴史研究書はなるほど史実に基づいているとはいえ、無味乾燥な年代の頻出と相まって、時代の姿がなかなか浮かんでこない。もちろんすぐれた史書があることは認めるが、本書の著者の若かりしころの言葉「歴史は所詮人間だ」と思わせるものが少ないのである。

   ほかならぬこの言葉をまさに実現してくれる数少ないひとりが塩野七生で、その出世作『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』をそれこそページを繰るのがもったいない思いで読んだのが、つい昨日のように思い出される。そして今彼女は、毎年1冊のペースで『ローマ人の物語』を読者のもとに届けてくれて、我々の睡眠時間をずいぶん削ってくれた。

   本書はこれまで書かれたルネサンスを舞台とする作品の集成にあたり、その序章となるべく新たに書き下ろされた(あるいは語り下ろされた)ものである。ルネサンスとは何かについて、この大いなるうねりを起こした力、その先駆者に始まり、巨大な車輪を動かしたあまたの天才、巨人たちの姿を通じて、ルネサンスの全容と魅力とを伝えようとするもので、そこには確かに個性あふれる人間たちの生きる様子が、実に簡潔に、しかし豊かな色彩をもって描き出されている。「飽くなき探求心がルネサンスの基本」だと著者は言うが、その言葉は彼女の人間に対する姿勢を最も鮮やかに示したものでもあろう。ただしこの人は、あくまでも豊かなスケールをもった人間が大好きであって、仮にその人物が後世から悪人と評されようともいっこうに構わないのである。確かに彼女が描くチェーザレは、実に魅力的な人物だった。(小林章夫)

ルネサンスとは何であったのか (塩野七生ルネサンス著作集)の商品レビュー

1.0 アンチ・ルネサンスとしての塩野
 「きみの考えてるのは、歴史ではない」
 「歴史学でないと言われるのならばわかりますが、歴史ではないと言われるのには
 納得できません」

 冒頭の思い出語りで披瀝されているこのエピソードがすべて。
 歴史学の世界に息苦しさを見出すのは自由。その場所が概して色艶を欠いた文体の宝庫で
退屈を覚えるのも分かる。
 けれども、もし塩野がその風景にちょうどルネサンス前夜のような暗黒をオーバーラップ
させて、自らを同化させているのだとすれば、それは完全な誤りだ。
 彼女が「歴史」という名でやろうとしているのは、他人が調べたステレオタイプな伝記の
羅列とそこから引き出された印象語りだけ。
 なぜその印象を抱くに至ったのか、なぜその歴史認識が正しいといえるのか、という
「なぜ」が完全に欠けているのだ、まさに彼女がルネサンスの特徴として語るところの
「なぜ」が。
 ましてや「歴史的直観」を欠いているのが致命的。
 論証を軽んじて私は正しい、ってそれでは彼女が敵視するカトリック教会の態度と何ら
変わるところがないではないか。
 話にならない。

 結論。塩野が己を重ねるべきは権威を熱愛する教会。
5.0 日本の将来を考えるヒント
彼女の見識の高さには、いつも感服されられっぱなし。学者が拾い集めたゴミ(他の人が書いた文献の拾い集め)をスッパリ切り捨ててるアルテ、物語り風にしたてあげるオペラはなんともいえない格調を保っている。

実はこの本を手にしたのは、混迷を深めている日本を変える唯一の道はルネッサンスがヒントになるのではないか、と思ったからであった。歴史から学ぶべき点は、史実だけではなくて、同じような状況でそこにいた人人が結果的にどのように行動したか、が参考になると思ったからである。しかし、事はさほど簡単ではなかったのだ。日本人のメンタリティーが、あまりに情緒的でありイタリア人と正反対であることに気が付いてしまったのだ。ではどうすればいいのか、われわれ一人一人が変わるしかないようである。自分で答えを見つけよう。
ちなみに、彼女は会田雄次氏(故人)の影響を少なからず受けているようだが、いかがであろうか?

5.0 これを最初に読んではいけない
塩野七生の作品をどれか読んでみようと思って、最初にこの本を読んではいけません(でも多分楽しいはず)。初期のタフな大作を経てから読んだほうが、どうしてそんなこと書いているのかキレイに入ってくるはずです。ここ10年くらいはローマ人のことばかり考えているはずの彼女がルネッサンスのことをどう考えているのか知ることは、本当に興味深い。彼女には、いまもサッソウと馬に乗るチェーザレと彼がイタリアの光に見えたマキアベリが見えているのでしょう。
2.0 担当編集者にメールを送りましたが…
装丁がきれい。テーマはルネサンスという日本人のすきなテーマ,本屋さんでは平積み。売れるでしょう。なにせ,世界史を教えている私でさえ,読むのに結構体力を必要とするローマ人の歴史が,あのように本屋さんでは平積みなのですから。ただ,文章に若干不明瞭な点があったり,イタリア語のちょっとした表記上の疑問があった。また,イタリア史はともかく,大航海時代の記述はあまりにもヨーロッパ中心すぎるように思います。
5.0 目からウロコのルネッサンス
ギリシャ・ローマと続いたあの奔放で自由な芸術や思索に溢れた時期に西欧文明はほとんど完成の域にまで達したのではないかとさえ思える。しかしその西欧文明は、キリスト教の宗教的呪縛により1000年近くの「中世の暗黒時代」を迎える。考えること、疑うことを禁じられた人々は、ギリシャ・ローマの文化的な遺産を省みることなく長い文化的停滞の時期を過ごした。そして13世紀以降、突如としてイタリアを中心としたルネッサンス運動が起こり、文化、芸術、社会思想などの爆発的繚乱期を再び迎える。ルネッサンスはその多くの成果を芸術作品に見ることができるが、それにとどまらず大航海時代といわれる新大陸発見を含む開拓の機運、人々の思索の自由、などをともなった社会的・歴史的な大変革の時期である。一体なぜこの時代にこのような文化的な爆発が起きたのだろうか。そしてこのルネッサンスの熱気をもたらした原動力は何であったのだろうか。そしてルネッサンス運動の中心が、フィレンツェ、ローマ、ベネチアと移るなかでどのように変遷し、又、フランス、イギリス、ドイツというヨーロッパ周辺国にはどのように伝播し、どのような影響を与えていったのだろうか。遠い昔、遠い西洋でのことがらといえども、今現在の我々の文化や生活にさえも大きな影響を与えているルネッサンスへの興味はつきない。イタリアに在住し「ローマ人の物語」を書きつづけている塩野七生ほどこのテーマを語るに相応しい人はいないだろう。ルネッサンスの起源から説き起こし、ルネッサンスを彩った、ダビンチ、ミケランジェロなど多数の芸術家、時の法皇、神聖ローマ帝国皇帝、大航海時代のヒーローたちなどの人物像に迫るなど、塩野調の歴史物語は圧巻である。物語は対談形式で進められ読み易く巻末にはルネッサンスの主要人物のデーターファイルが用意されているなど、この時代を俯瞰することができる。ルネッサンスという大改革、大革命の背景とその進行過程、そしてそれらの改革に対する反動の動きなどは、現在の小泉改革の進行状況と見比べてみるのも中々面白い。

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