洞窟から誰も出てこない
小説でもエッセーでも、いつも町田康の文章を読んで思うことが、「テースト・オブ・苦虫」には顕著に出ていると思います。それは何かというと、こういうことです。
人間はいつも、心の中で思ったことを、いったん脳で「話し言葉」に翻訳作業をしてから、口に出していると思うのです。
その過程でいわないほうがいいことを省いたり、いったほうがかっこよくなることを付け足したりなんかして。
でも町田康の文章には、その推敲の課程というか、脳の中でザルにかけたりする作業の跡が、見つからないのです。
だから、通常の「脳内翻訳作業」中に出るもろもろ個性がそがれて、逆に、深いところで共通している、人間のアラワな姿が書かれている気がします。そういう意味では、ちょっとフランスのロートレアモンっていう詩人に通じるものがあったり。
だから、「テースト・オブ・苦虫」では、裸の人間の心って大よそこんなもんだよね、という深い共感と、どうでもいいことを論理的に突き詰める作者の性格が引き起こす、笑いの大渦巻きがいっしょくたで、もうわけがわかりません。
ぜひぜひ読んでみてください。そしてホントに共感するかどうか確かめてみてください。
いかにも身体に悪そうな
ああ、世の中は甘くない。甘い考えではなかなかうまいこといかん。
自分の甘さで苦虫の味。他人の不可解さでも苦虫の味。
意識的ダメダメ生活者にとって、世の中とはこんなにも苦い場所なのである。エッセイとも小説とも判別し難い(著者HPでは小説にジャンル分けされている)短い文章の寄せ集め。社会に対する不満の吐露。暇なときに一節、がお勧めの読み方。
とても、いいっス!
マチダさんのは全部読みましたが、いちばん、いいっす。ほんとに、いいっす。個人的に、彼の作品は小説よりもエッセイのほうが(『爆発道祖神』とか、『つるつるの壺』とか?)味がうえだとおもうんだけれど。今回それを再確認したかんじ。す。 以前に出たエッセイ集よりも、断然筆力がついてきたな、てかんじで、しつこいようだけど、とってもいいっス!!!
もちろん爆笑。「たかがエッセー」じゃあぜんぜんなくって、「これでもかこれでもかーとギュウギュウ詰めにマチダエキスが詰まりに詰まった」ゲップが出そうな一冊です。最高です。(1)て書いてあるから、また今度(2)(3)も出るんだろーか。た、た、たのしみ~イ!
買いなさい。読むのです。