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ミーナの行進

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ミーナの行進の商品レビュー

5.0 こころの奥底に響く
ノスタルジックな内容に、
なぜかじんじん来ます。
そんなに凄いことが起きるわけではないのに。
寺田さんの絵が、またいいんです。
4.0 温かい終わり方に、ほっとしました。
芦屋、西宮、苦楽園…私が長く親近感を抱く地名が次々出てきましたし、ミュンヘンオリンピックの
時が中2だったので、猫田、森田、横田、大古、南…懐かしい名前にジワーンとなりました。
余談ですが、女子バレーでは生沼さんが美形でしたよね。

小説も現実も、死や別れを避けて通ることはできず、もちろん川端康成さんの死もはっきり覚えて
いますが、ポチ子を始め別れの場面もあり、悲しかったです。
入院を繰り返していたミーナまで逝ってしまうのではないかとドキドキしました。
けれども、なんだ、彼女ヨーロッパで颯爽と活躍中なんですね。
朋子も元気だし、ほっとする終わり方で、楽な気持ちで本を閉じることができました。
3.0 『博士の愛した数式』が好きな人にお勧め
岡山から芦屋のいとこの家に預けられることになった朋子。いとこは1つ年下の美しくて読書が好きなミーナ。伯父さんはハンサムでフレッシーという清涼飲料を作っている会社の社長。おばあちゃんはローザと云いドイツ人。そこに伯母さん、お手伝いの米田さん、庭師の小林さん、コビトカバのポチ子が加わり楽しく暮らしていた。
ミーナの喘息、帰ってこない伯父さん、伯父さんとあまり仲が良くない留学中の龍一さんの帰国などさまざまな出来事があるが朋子の毎日は平穏に過ぎていく。そんな幼い頃の一ページを描いた作品。

作品の系統で云えば、博士の愛した数式の系統であると思う。しかしなにかとてつもなく悲しい出来事があるというわけでもなく、ただ幼い頃の、たった一年だけのきらめくような日々がつづられている、とでも云えば良いだろうか。
本作の中で私が一番印象に残っているのはミーナの書いたマッチ箱の物語だ。悲しかったり、おかしかったり、マッチ箱一つ一つに物語をかくミーナは、まるで綺麗な石を一つ一つ拾っていくような作業だと思った。
5.0 こころにやさしい灯をともす、遠い日の物語。
毎日これでもかと伝えられる陰惨な事件や
街なかで出くわす胸の悪くなるようなシーンばかりに囲まれていると、
この国はいったいどこへ行こうとしているのかと暗たんたる気分になる。
個人的にはめざしている国が悪いのだろうと考えているが、
ここはそれを述べる場所ではない。

だからこそ、
作者は1972年にまでさかのぼらなければならなかったのかもしれない。
この年、私は主人公の朋子と同じ中学1年生、
バレー部には入部希望者が殺到していた。
そう、札幌五輪での日の丸飛行隊の歓喜のあと、
夏のミュンヘンは間違いなく男子バレーの大会だった。
日本代表の森田淳悟さんのお宅が同じ市内だったので、
厚かましくも友人たちとサインをもらいに押しかけた記憶がある。

(いま思えば、幸運にもご不在だった。)

で、『ミーナの行進』だ。
この小説ではご近所での火事騒動をのぞけば、ほとんど何も起こらない。
登場人物も皆いい人ばかり。
それでも人の死をもてあそんで涙を誘う最近はやりの作品群のように、
病弱な従妹のミーナが象徴するガラス細工のような幸福な時間が
いつ壊されてしまうのかという不安が背後にずっと流れていて、
最後までハラハラもさせられる。

いずれにしても、この時代にこそふさわしい、
胸の奥がほんのりと暖かくなる素敵な作品である。
女性なら感激しそうなアイテムが随所にちりばめられているし、
最近ストレスがたまってるなぁという方はぜひ一読を──。
私は真っ先に、妻に勧めた(笑)。
5.0 時代・地域の空気の描き方が秀逸!
本書の舞台となった街は、私の生まれ育った街であり、
本書の舞台となった時代に、私はちょうどミーナの年の頃だった。
つまり、あの時代のあの場所の空気を全身全霊で知る私にとって、
本書は思いっきりノスタルジィに浸れる素敵な1冊だった。

今は無きあの時代の芦屋の風景を幾度も私の内面に展開させてくれた筆者の見事な筆致に、
終始、読みながら賞賛の拍手を送りつづけたことをまずは述べたい。
そう、あの時代の開森橋から高座の滝へ続く、芦屋川沿いは小説の通りだった。
重い扉を開くとどこからともなくひんやりとした空気が漂った打出の図書館も、小説のままだった。
山の手の洋館の暮らしぶりも相当に上手く描ききれている。
小川洋子が描く小説が、ファンタジーでありながら現実から逸脱せず、多くの読者の心を掴むのは、
こうした小説の舞台を厳密に設定し、一糸たがうことなく再現してみせようとするその姿勢によるものだと気付かされ、その手腕に頭を垂れるしかなかった。

そして、あの優美な場所に「カバ」を登場させるという大胆な発想に、小川ファンタジーの真髄を見た気がした。
Y小学校につづくあの坂道を、少女を背中に乗せた小さなカバに登らせるなんて、一体誰が思いつくと言うのか。
奇想天外ともいえるその大胆さが彼女の小説に躍動感を与え、読者に迫る印象を残すことに成功していると言えるだろう。
この1冊によって、私の胸に大切にしまわれていた「聖地」が懐かしい場所としてだけではなく、小川の手によって一気に新しい世界の舞台として登場した。
読後、怖ろしい小説家だと驚嘆しきりだった。

回想から現実にフェードアウトしてゆく終わり方もかなり心憎い。
おかげでいつまでも心に残る1冊になってしまったではないか。
私的に思い出すだけでワクワクする最高のファンタジーであることは間違いない。
ぜひ、あの「時」を共有する人々に読んでもらい、この感動を分かち合いたいものである。

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