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茶の世界史―緑茶の文化と紅茶の社会 (中公新書 (596))

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茶の世界史―緑茶の文化と紅茶の社会 (中公新書 (596))の商品レビュー

5.0 “茶”とは何か
私たちは何のために茶を飲むのか。
喉を潤すため?
味・香りを楽しむため?

16世紀のヨーロッパでは、薬として広まった。
その背景には、中国や日本の精神・文化への憧れもあったという。

茶は万能薬で、何にでも効果があると考えられていた。
また、反対に飲むと調子が悪くなるという人もいたという。

しかし、値段も高く、庶民には広まらなかった。
イギリスは、インドでの茶の栽培に成功し、安価な大量生産が可能になった。
当時の人にとって、茶を飲むことは富の象徴でもあった。
他にも、なぜ、日本茶は世界に広まらなかったのか、紅茶に砂糖や牛乳を入れる訳などが書かれている。
5.0 世界史のダイナミズム
本書を最初に手に取ったのは高校生のときです。
世界史の教師が推薦した一冊でした。
それからずいぶん経ちますが、
今でもたまに手に取ります。
資本主義の発展と近代社会の成立、地域文化の伝播など、
複眼的な視点から、
一つのストーリーとして語りきる本書は、
高校生に世界史のダイナミズムを感じさせてれました。

さて21世紀を迎えた現在本書を再読すると、
経済のグローバリズムが世界を席巻している今日の経済的闘争は、
既に17世紀に萌芽していたのだと改めて感じられた。
新書の名作です。
5.0 日本の「茶道」が世界を変えたのか?
ヨーロッパ人が東アジアに到来したのは、無論中国の富を狙ったからである。だが著者はヨーロッパ人に強烈なインパクトを与えたのは、マルコ・ポーロが紹介した黄金の国ジパングで行われていた「茶の湯」であるという。西欧人にはガラクタや生活用品にしか映らない湯沸かし釜、茶碗を日本人がことのほか珍重し、千利休が大成した茶道の作法が一種の宗教的儀式のように見えたとイエズス会の宣教師が報告しているそうである。そして茶は当時は先進地域であった東洋文化の畏敬すべき象徴として捉えられた。英国は鎖国してしまった日本に代わり中国との貿易を強く望み、一方でインドでアッサム種を発見し、茶の自前栽培を実現させた。ヨーロッパ人でも特に茶を愛好する島国の人々をして「大英帝国」成立の道を歩ませたのは、実は茶への憧憬だったのかもしれない。また日本の開国後、中国茶、インド茶が世界中を席巻して、日本茶が全く貿易品として評価されなくなっていたのは皮肉である。
5.0 茶から見た近代
本書は二部から成ります。第一部は英国での紅茶の普及を欧州人の茶との出会い(16世紀中頃)から、物質的奢侈(砂糖とミルク)として特徴づけられる紅茶文化の成立、そして英国が茶葉をインド植民地で自給するまでを描いています。第二部は日本茶の世界市場への進出と、その挫折を扱っています(開国から第一次世界大戦まで)。

日本もまた一次産品の輸出に甘んじていた時代があったことを確認させてくれる第二部も資料的価値が高いのですが、とくに読み応えがあったのは第一部です。

茶葉も砂糖も生産できない英国で紅茶文化が花開いたのはなぜか。茶葉の供給地だった中国の半植民地化、カリブ海の砂糖植民地でのプランテーション労働など、筆者は「近世ヨーロッパの資本主義の形成とそのグローバルな展開」に紅茶が密接に関わっていたことを、統計資料を示しながら丁寧に論じています。

新書という形式も加味すれば費用対効果がたいへん高い一冊です。

5.0 茶という窓からのぞく鮮明な世界史の姿
最近はこのような生活史・社会史からの著書というのはわりと珍しくもないのだが、1980年初版となるとなかなか先見の明のある著述である。

茶と言えば緑茶であろうと紅茶であろうと身近な存在である。
また欧米で茶と言えば紅茶というイメージである。

しかし欧米でも最初から茶は紅茶というわけではなかったこと、欧米諸国が最初に茶に触れたのは中国からでなく日本からであったことなど茶の歴史は新しい発見に満ちている。
また、第二部の世界市場における商品作物としての茶についての記述、日本と茶の世界市場の記述も新鮮な知的好奇心に満ちたものである。

大航海時代以降、各地で比較的孤立していた文明同士の交流が深まり、世界システムが形成されていったというのは定説となっているが、茶という身近な窓から日本を始めとするアジアと欧米の交流の実態と深まりを記述したこの書は歴史(特に近代史)に興味を持つ人々にとって必読の書といえるだろう。

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