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企業ドメインの戦略論―構想の大きな会社とは (中公新書)

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企業ドメインの戦略論―構想の大きな会社とは (中公新書)の商品レビュー

2.0 ドメインの必要性について?
ドメインの定義の方法や進化過程は様々なものがあり、企業の独自性や社会環境、経済の発展段階、企業とユーザーの関わり、経営者と従業員の関わり、取り巻く企業等々によって、適切なものは変わってくる。従業員の質や社風等を考えただけでも、数限りない設定が必要になり、それらを組み合わせると無限のドメイン定義が存在することになる。
無限だからといって、設定することが無意味なわけではなく、企業としてのベクトルがあわなければ前進する推進力は生まれない。ベクトルを合わせるにも最高の力が発揮されるようにしなければならないし、競合が存在するのであればその相手に勝たなければならない。
経営者としては、社会、自社、競合相手、協力者、従業員、ユーザーを観察して、常に柔軟に対応できる準備をしておかなければならない。柔軟な対応をするといっても、次から次に変化していたのでは、浸透することもないので、中長期的な先見性が必要とされる。
また、自分からの発信だけを信ずるのではなく、周りから生まれてくるものを素直に受け入れるゆとりもなければならない。
自社のドメインをいろいろな角度から確認してみると、十分検討されたものなのか分からないし、そのような目で見たこともなかった。正しい、間違っているかは別にして、点検をしてみる価値があるように感じる。
それから、本書を批判的に見ると、結果をいかにも成功、失敗と論じることは出来るが、答えのない議論は必要なのかともいえるのではないか。
5.0 企業ドメインを考える際の良書
アメリカの鉄道会社が衰退してしまったのは、自らの事業領域を「輸送事業」ではなく「鉄道事業」ととらえてしまったことが原因だ。こういう話が戦略やマーケティング関連の本によく載っています。(これはレビットの論文で初めて言われたことのようです。『T.レビット マーケティング論』にはそのことが載っているみたい)

この話をしなくても、日頃から感覚的に「あの会社はスケールが大きい経営をしている」というようなことを思ったりしています。

この「事業領域」や「経営のスケール」に相当するのが、本書で取り上げられている「ドメイン」になります。

本書では、企業のドメインを「空間の広がり」「時間の広がり」「意味の広がり」の3つの次元からとらえています。さらに、ドメインは静的なものではなく、時間と共に変化していく動的なものとしてとらえ、様々な視点を提供しています。

様々な視点のうち、特にドメインの意味に焦点を当てた議論はとても参考になりました。例えば、ドメインを経営者が定義すれば済むのではなく、その後、環境側(組織の構成員や外部環境)とのコンセンサスが成立しなければ効果がないという「ドメイン・コンセンサス」の議論や、製品が持っている「意味領域」は、企業側が一方的に決められるものではなく、ユーザとの相互作用を通して形成されていく「相互的意味創造」の議論や、それを引き起こすための「意味の余剰」や「引き込み」の議論は勉強になりました。

本書では、そのような議論を数多くの事例(成功したものも、失敗したものも、現在進行形のものも)を取り上げて解説されています。中でも日本企業の事例は、コア・コンピタンス経営をドメインの視点から解説したようなものになっていて参考になります。
4.0 内外の企業の具体例をいくつか挙げながら「企業ドメイン」の実体を浮き彫りにすること試みた本。
15年前の出版物なので、経営学版テレビ探偵団という感じがするのは否めない。

そうは言っても、一冊丸ごと「企業ドメイン」という書籍は、珍しいはず。
多くの実例を通じて、企業ドメインの空間的・時間的・意味的広がりを検証し、その実像の把握と有効性・非有効性を検証している。

完全な学術書。
5.0 ドメインの設定の仕方によって将来の発展が大きく変わる
企業ドメインという聞き慣れない言葉ですが,簡単に言えば企業の事業領域ということになるでしょう.そしてその中に,現実の事業領域と企業の戦略領域といった2つの側面を持つとのことです.

興味深い例として,鉄道会社を物理的な面から鉄道事業ととらえるか,機能的な面から輸送事業ととらえるかで,アメリカの鉄道会社は鉄道事業ととらえたため衰退していったという話があります.ドメインの設定の仕方によって将来の発展が大きく変わるようです.また,国内外のいくつかの企業の成功例が紹介されています.企業ドメインを正しく設定して成功した企業もありますし,レーサーミニ四駆のように企業によるドメインの定義だけでなく,顧客との相互作用によって意外なヒットで成功した例もあるようで,現実はなかなか理論通りにはいかないようです.

ビジネス戦略に携わる方にはいろいろと参考になるのではないでしょうか.
5.0 実務者にとっても必要な視点
実務を行っていく上で、財務状況に応じて様々な仕事をしなければならないことがあるが、それによってしばしば自分たちが何をやっている組織なのか、わからなくなることがある。
それによって戦略上の優先順位がぶれ、知らないうちに思っていた以上のダメージが蓄積していく。
そういった時は、本書を開くべきだ。

実務者にとっても有益な経営学とは、こういうものを言うのだろう。

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