現場が見えない
この本は内容が豊富でありこの価格からするとお買い得と感じた。
こういった自動車産業の強さを概観するには読む価値を感じる。
だが一方で、内容に新鮮味があるわけでなく、著者の視点のみからによる解説/評論に終わってしまっているのが惜しい。例えば、競争を表層と深層に分類するのはひとつの着眼点と言えるが、それぞれの強さ弱さについての論は、事実の記述は納得できても、著者の論となると説得力に強さがあると言えない。また、内容の記述は既に世間に流布されているものがほとんどであることも新鮮味を損なっている原因の一つと思われる。
結局、現場経験の無い評論家の論の感が否めず、実際に現場にいるものからすれば「常に不断の努力が必要である」以上の内容を感じ取る事はできなかった。
新書にしては異様に分厚く読み応え十分,日本の全産業の道しるべたる優書.エセ経営幹部に
日本の自動車産業はなぜ世界的に強いのか,という素朴な問いに引きつけられてこの本を読み始めたのだが,著者30年の研究成果の含蓄はずしりと応える.アメリカのコンサルタントがモノにするようなスマートな概念構築と変わり身の早い目先の追求とは全く異なり,まさに日本的な愚直で地道な探求が生んだ「能力構築競争」.これこそ,コンサルタントの受け売りで社内に害毒を流すエセ経営幹部に読ませたい本である. 競争は表層だけではなく深層でも行われている.それがこの能力構築競争である.経営基盤競争と言い換えても良い.目先の表層の競争力ばかりに目が向いていた昨今のコンサルタントや経営者に言って聞かせたい内容である.この競争は長期にわたり戦われる.自動車産業の場合,その期間はすでに30年をゆうに超えた.これからが正念場だ.