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物語チェコの歴史―森と高原と古城の国 (中公新書)の商品レビュー マイナーながら豊で華麗な歩みを平易に語る
チェコという国、はっきり言って我が国ではちょっとマイナー視されがちです。小生にとっては、「チェコスロヴァキア」という名前が耳に馴染んでおり、「チェコ」だけでは何かどうしても落ち着きの悪さを感じてしまいます。 人物から中欧史を見る
筆者の苦労の跡がうかがわれる本です。 主に人物を通して見たチェコ社会の歴史に関する一試論
1959年生まれのチェコ前近代史研究者が、従来の民族史観に疑問を呈しつつ、2006年に刊行した「いわゆるチェコの通史とは少し違った」「一つの試論」。著者は上記の視点から、「何を軸にしてこの国の歴史を始まりから現代までたどればよいのだろうか」と自問し、制度よりも現実に生きた人々の姿を見るために、「一つの試みとして、時代ごとにその特徴をよく映し出していると思われる人物を中心にとりあげることで」「なるべくこの国の社会全体を視野に収め、その変化を追いながら、一つの流れとして歴史を描」こうとする。そのため、重要な人物や事件であっても、その扱いが小さい場合があるという。かくして、伝道者キュリロスとメトディオスを通してモラヴィア王国の置かれた9世紀頃の国際情勢が、王女(後世に列聖)アネシュカを通じて13世紀チェコ王国の政治・宗教が、皇帝カレル4世を通じて14世紀の帝国・「王冠諸邦」の都プラハが、教会改革者フスを通じて15世紀初頭頃の政治と宗教が、モラヴィア大貴族ペルンシュテイン一族を通じて15〜16世紀頃の貴族のあり方が、プラハの出版業者イジー・メラントリフを通じて16世紀の政治・宗教・市民生活が、17世紀プラハ大学の管轄権争いを通じてカトリック内部の亀裂が、モーツァルトへの熱狂を通じて18世紀の啓蒙主義と市民文化が、1891年のチェコ内国博覧会を通じて19世紀の民族主義化が、そして最後にスロヴァキア人、ドイツ人、ユダヤ人を通じて20世紀チェコの激動と民族構成の変化が論じられる。著者自身によれば、近現代史は断片的にしか扱えず、また話が殆どプラハに集中してしまい、多彩な歴史の入り口程度しか扱い得ていないという評価になる。確かに本書の方法の是非については議論もあるだろうが、この通史問題の難しさを考える上でも、少なくとも一つの自覚的な試論として興味深い。 複雑なチェコ史を面白く
「チェコの通史を追うのは複雑なので、人物・事件を元に歴史をたどっていく」という著者の切り口は十分、成功しているだろう(もちろん、「新書の読者向け」という意味だが)。 本の最新売り上げランキング - トップ10
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