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英語を子どもに教えるな (中公新書ラクレ)

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英語を子どもに教えるな (中公新書ラクレ)の商品レビュー

5.0 早期英語教育の是非を真摯に考えるのなら,手始めとして本書は有益です
第1章 在米日本人子女と過ごした一三年
第2章 セミリンガル化する子どもたち―母語喪失の危機
第3章 バイリンガル幻想を検証する
第4章 日本で進む早期英語教育の実態
第5章 外国人との「対決」が育む国際感覚
終章 親が留意すべき10のポイント


著者は1963年(東京都)生まれ。あんま僕と変わんないんだね。学部卒業大学不明。学習院大学修士課程修了(心理学,88年)。売り手市場のバブル前期にもかかわらず,学習塾に就職。何故? コネチカット州に在米邦人子女のための学習塾を設立(96年)。Hamilton UniversityでPh.D(?年)。2003年春に帰国。著書刊行時は41歳。職業は何なんだろう。定収はあるのかなぁ。結婚してるのかなぁ。他人ながら心配です。


趣旨は本書題名に尽きている。大津由紀夫や鳥飼久美子,藤原正彦ら小学校英語導入反対派の一角を占める。しかし,著作としては同派の茂木『文科省が英語を壊す』よりは断然よい。なぜなら,市川の場合,その論証がとても手堅いから。本書題名が与える扇情的なイメージは本書を読むべき適切な読者を減らしてはいないかと危惧さえされるくらいだ。それは章別構成を見てもよくわかる。「バイリンガル幻想」の「検証」を中核に置き,前半に現状把握があり,5章と終章がその対策となっている。


はっきり言うが,文科省は日本人に英語力を本気でつけさせようなどとは思っていない。頼むから,一般人の親は早く目を覚ませ。小学校で英語を教えてくれるなら,英会話学校の月謝がうくなんて発想はよしてくれ。そもそも予算配分を見てみろ。何がシンガポールだ。こんな緩々の教育強度でシンガポールなんかに追いつけるか! 通常の頭脳を持っているのなら,かなり低レベルの私でも,意思疎通能力増強においては外国人との「対決」がいかに大事なのか,よくわかっている。


早期英語教育の是非を真摯に考えるのなら,手始めとして本書は有益です。(812字)
5.0 とても、的をついた視点です。
私自身、10年ほどアメリカで生活していて、言葉については色々な面で自分なりに苦労をしてきました。私の場合は29歳で渡米しましたので、もうすべての思考回路は日本語で出来上がっています。英語の上達のためには、この日本語での思考回路をすべて英語にする必要があります。要は、英語を話すときは英語でものを考える必要があります。この違いは、日常会話ではそれほどの違いを感じません。単に、考え方や文化的な違いに戸惑うことはあっても、要は話している内容自体がそれ程、高度な内容でない場合はすぐに対応できます。ただ、論理的にものを考える場合、この日本語で考えることと、英語で考えることの差がはっきり出ます。たとえば、英語で数学をすることを想定します。簡単な掛け算や足し算などは英語のまま出来ますが、複雑な微分解析などを英語のまま行うのは非常に大変です。これは、私がアメリカの大学院の修士課程にいた際に実感したことですが、英語でものを考えることによる思考力の低下、というのが出てきます。これは、アメリカで学術研究などに携わっている多くの日本人の方が、経験なさっているようです。もちろん、そういったことの無い、非常に頭のいい方も中にはいるようですが。別に高度な分析を行わなくても、単に英語で掛け算をする時に、9x9(くくはちじゅういち)と計算するのと Multiply Nine by Nineと計算するときのスピードの違いを見ても分かると思います。
私の周りの長くアメリカに住んでいる知り合いも、子供がアメリカで生まれ大きくなっていく過程で、言語障害から来る思考力の低下を指摘する親たちもいらっしゃいます。子供によっては、親と日本語で話すことに拒絶反応を起こすことも思春期には多いそうです。
大切なことは、言葉というのは単に、自分の感情や意見を交換するために使うコミュニケーションの道具ではなく、私たち自身の思考回路や、思想、哲学、または性格、人間性などもコントロールしうる、人間にとって非常に影響力の大きなものであるということです。もし、子供にアメリカ人みたいにかっこよく英語を話して、国際人として活躍してもらいたいと、浅はかに考えている方がいればこういった本を読まれるのは非常に大切なことだと思います。
5.0 子供を英会話教室に通わせるかどうか迷った時に読みました
当時近所に英会話教室が出来、1才になった息子を通わせるか迷い、本書を読みました。
本書を読んで内容に共感し、通わせるのはやめました。
著者の書いていた「日本語も英語も中途半端になる」「英語が達者なことよりも、伝えたい事があることの方が大切」といったことが、
研究の結果得られたことではなく、実際に著者が見聞きして来た経験だったので説得力があったのです。

実際、友人に英語が下手だったけれど外国人とコミュニケーションが上手な人がいました。
要は英語が出来るかよりも、相手に話したい要素があるかどうか。人間の魅力があるかどうかですよね。
やろうと思えば大人になってからも語学習得はできるし、英語の発音がアメリカ人やイギリス人並に出来なくても、
身振りやイラストを加えても通じさえすれば会話は楽しめると思うので、無理に幼少時から教える必要もないと思います。

本書にもあったように、普段の生活で英語を使う時間、機会が少なければ、その能力を維持するのも大変です。
周りの大人が英語で話しかけ続ければ保てるでしょうが、
ここは日本で、日常の学校生活や買い物でも日本語の環境の中では、1,2歳児で週1回1時間の英語の授業を受けてどの位ものになるかは疑問です。
潜在能力にはなるのかもしれないけれど、多くの大人が、中学校・高校、人によっては大学まで週2〜3時間英語を習ったのに、ものにならないと思っている人もいるわけですから、
1,2歳児で英語を週に1,2時間習っても大人が期待するほどには、子供は英語で話せないのではないかと思いました。
子供の柔らかい脳が受ける言語現場の見聞と大人の関わり方を教えてくれます。
5.0 早期英語教育への警鐘
著者は、10年以上にわたりアメリカで塾講師として1000人以上の日本人の子どもと接した経験から、「海外に住んで小さいときから英語に接すれば簡単にバイリンガルになれる」という主張が幻想であることを検証し、「なぜ子どもに英語を教える必要があるか?」という問題を探求する。

著者は、重要なことは「英語の能力」ではなく、論理的思考力、説明能力、伝えたい内容を持つこと、人間的魅力、専門知識などであり、英語の学習にとわられる余り、これらの重要な能力を訓練する機会を逃してしまう可能性があり、さらには後に英語の学習にも支障をきたすと警告している。海外に来たが英語も日本語も中途半端になり、まとまった会話ができなかったり作文が苦手になったりする子どもたちの例が著者の主張をよく裏付けている。

本書のタイトルは「子どもに英語を教えるな」となっているが、著者は完全に子どもに英語を教えることを否定しているわけではない。バイリンガルにするために子どもに英語を教えるのは並大抵の努力ではなく、また、リスクも大きいということである。

英語の早期教育を考えている親や海外で子育てをしている親は、安易に英語教育に走ったり、「バイリンガル幻想」に踊らされたりすることなく、本書のような実体験に基づいた主張を注意して研究する必要があると感じる。著者の「子どものためという理由を隠れ蓑にして、実は親は自分のわがままな願望を子どもに託しているに過ぎない。」というコメントがあてはまる親は少ないないのではないだろうか。

一つ気になったことは、日本の学校では、まとまりのある議論をしていないだの、論理的思考の訓練が足りないだの批判的なコメントが目立つが、一般化する根拠がやや乏しいように見える。

本書では、バイリンガル教育に関する多くの文献を参照していて、巻末にブックガイドも付いているので、ここから他のバイリンガル教育の文献を調べるのにも役に立つ。

5.0 教育全般にわたって大きな示唆を与えてくれる
正直、はじめは、そんなに期待しないで、買って読んでいたのですが、これは、ひさびさにヒットしました。

英語教育についての本ですが、私には、むしろ、早期教育、教育(特に国語)について、大きな示唆を与えてくれると思います。

最近は、大脳の話で、とにかく脳が、発達する段階にどんどん教育を、ということで、早期教育が盛んになるわけですが、そうではないし、また、言語とはどういうものなのか、ということを考えないで、やたら英語を詰め込んだら、どんなことになるのか、ということで、今まであまり明らかにされていなかった帰国子女の苦悩がよくわかりました。

また、英語の前に、国語教育についても、考えさせられました。とかく、日本では、国語というと、作文や感想文ばかりで、論理的な文章を書くことは、少ないと思います。反対に、英語では、論理的な文章を書く訓練をする、ということを読み、お互いの欠点を補えば、本当の言語教育になるのでは、と思いました。

難しい文章でもありませんし、いろいろな示唆を与えてくれるので、買って読んで損はないと思います。

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