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清沢洌―外交評論の運命 (中公新書)の商品レビュー 大局観
ロンドン会議の箇所。 アメリカとの協調を考えた国際均衡派
『暗黒日記』の著者として知られる清沢は、戦前期におけるもっとも自由主義的な言論人として特筆される。僕は、聞いたこともなかったのだが、後藤新平の素晴らしい評伝を書いた北岡伸一氏の著作であるため読む。この本を読んで理解した、僕なりの清沢像は、今でいう米国のパウエル元国務長官や国務省などに代表される国際自由貿易を軸とする国際均衡派だと思う。(ちなみに現ブッシュ大統領のネオコンと真逆の思想ですね)。その本質の構造は、@アメリカ大陸も中国大陸も常にそのマーケットの大きさ(=日本の製品を買ってくれる消費の潜在力)を最重要視する、A日本の生産力の消費地としての両大陸の重要性を維持するために、国際的な均衡主義つまりは多国間安全保障を前提とするフリートレード(とそれを守る最小限の武力の均衡の容認)の確保、B上記のAの理念を維持するために抽象的には、リベラリズム(自由主義)が理論的根拠となる、Cそして、国力の根拠となるのは生産力(=を生み出す労働者の勤勉さ)。この4点で、完璧に言い表せる。そして、これは戦後日本の歩みと吉田茂が描いた日米安全保障条約による国家戦略と全く同等のものだ。そういう意味では、清沢の先見性がいかに優れていたかがわかる。ちなみに、清沢の最高傑作といわれるのは『外政家としての大久保利通』であり、この本は、大久保利通の孫である吉田茂に贈られて、吉田茂がいたく感銘を受けたという逸話が残っている。 鋭い外交評論家。
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