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失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

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失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)の商品レビュー

4.0 いい本だなあ
いい本だなあ。

結局、日本の参謀本部はこんな程度だったんだよね。
今も、多くの組織で同じ状態が続いていてびっくりする。

こういう分析以前に、吉村昭の小説や司馬遼太郎の小説で
いかに軍部が愚劣か、というのは明らかだからねえ。
4.0 個人の失敗から見る組織の問題点
 大東亜戦争の戦史から日本軍の組織論を展開している。一章では、ノモンハン、ミッドウェー、ガダルカナル、インパール、レイテ、沖縄と六つの戦闘において日本軍の犯した失敗を紹介し、二章で共通する失敗の要因をまとめるという構成になっている。
 各戦闘のポイントを簡単にまとめ読み易く記述されているので、読み物としては良いと思うのだが、一章の各戦闘の執筆者が異なり基本姿勢にも一部ズレが見受けられるため、二章で展開する論理と一章の論調が矛盾する部分も見受けられる。(主にミッドウェーに関する部分で、確固とした戦略の無さが個別戦闘の不断の努力で補え得るという主張など)
 また、個別戦闘の失敗から組織を論じるというアプローチを取っているので、その性格上、外交政策との連続性の無さや戦争目的の不明確さ、戦略目標の不徹底など、戦闘が始まる以前の段階での組織的問題点を論じることは難しい。しかしながら、大東亜戦争においてはこれらが大きな失敗の要因になっているため、二章ではこれらの点についても指摘されている。このため、一章の結論のウェイトが小さく感じられ、本来の論旨から考えて中途半端な印象を受けてしまった。
 ただ、これらの点については、はしがきや序章でも散々指摘されているので自覚の下に書かれているのだとは思う。

 これを読むと、日清・日露戦争での成功体験の神格化および指揮官・幕僚の馴れ合いによる、合理的組織(=軍隊)からの合理性の排除という、あり得ないことが長い時間をかけて起こり、日本軍は負けるべくして負けたことが分かる。
 しかしこういったことは、本書での指摘の通り、現在の企業内でも良く起きていることであり、「前のプロジェクトではこれで上手くいったから」「彼なら個人的によく知っているから大丈夫」など、前提条件や技術革新などの環境の違いなどを軽視した人繰りは多くの人が経験したことがあるだろう。
 営利組織においては"利益を上げる"という戦略目標が失われることは無いだろうが、作戦・戦術を駆使する以前に、実行しやすい組織体制を築く努力を続けることは必要かも知れない。
5.0 「日本軍=企業、組織」と読み替えるとすんなり入れる。
歴史の本だが、経営の本だと思う。

旧日本軍の性質、傾向は、
日本人本来の性質、傾向が反映したものなのだろうか。

ここに書かれている旧日本軍の作戦のような経営が、
何十年経った今日も、多くの企業で行われている。。。
5.0 戦記もののようで、実は経営者向けの組織論
副題が『日本軍の組織論的研究』。
戦史ものの色彩は薄く、ほぼ感情論抜きで、冷静に第二次大戦での日本軍の主要会戦での失敗が分析される。

第一章各論は:
ノモンハン(満州での対ソ敗戦)
ミッドウェイ、ガダルカナル、レイテ、沖縄(太平洋での対米敗戦)
インパール(ビルまでの対英敗戦)
の個別分析

第二章は、これらの失敗の背景にある組織論的分析
第三章は、失敗の本質の考察と現代の日本の企業・官僚組織の考察(とはいえ、書かれた時代が1984年なので、日本企業が勝ち組になっているところで締めくくられているがちょっと悲しいが。)であり、太宗は日本軍の組織論的な考察であるものの、かなり論理的に俯瞰されているので、本書が『企業経営者向けの本』と言われるゆえんは良くわかった。
・ 基本、高度な官僚制を取りながらも、人事は年功序列だったり、情緒的に作戦判断がなされたり、俗人的なつながりがかなり作用したりと、日本人の特徴が裏目に出て、効率的な官僚制が機能しなかったこと。
・ 日露戦争の乃木、東郷の成功体験を強烈に引きずり、陸戦=白兵戦、海戦=巨艦決戦、でそれぞれ勝れば、国力が上回る敵にも勝てるはずとの考えが『聖典化』し、各将軍の価値観を支配していたこと。
・ 科学の発展(レ−ダ−・航空技術、輸送技術、標準化による兵器の大量生産)を軽視し、『超人的な力』の作用をより重視してきたこと
・ 陸海軍の統合的な意思調整機関をもてず、近代戦に対応できなかったこと。(米軍は、陸海軍の上に統合参謀本部を置き、大統領が直接指揮)
・ 軍が『言葉を奪われた』組織になり、自由闊達な議論、現場ならでは情報・意見の吸い上げが全くなされなかったこと。
確かに企業経営にも通じるヒントが多い。激変の時代だからゆえの環境の変化への対応力とか、言葉を奪わないマネジメント(現場・部下の意見を圧殺しない。)、過去の成功体験を『聖典化させない』柔軟な発想力、超越的な力による利害関係の調整、、等等、今日・明日参考になるような内容であった。
5.0 戦史研究ではなく、論理的思考、組織戦略論を学ぶ参考図書
10数年前、勤めている会社の経営企画部に配属になり、組織担当を拝命して会社の組織改革に携わった時、当時の上司から「組織論の参考書」として手渡された一冊。

多くの方が評されているとおり、戦史研究という視点ではなく、大東亜戦争における日本軍(陸軍・海軍)を組織行動・HRMの切り口で分析している研究論文という評価が正しいと思います。

第1章で6つの事例からインプリケーションを導出し、第2章でそれらの本質を米軍との対比の中で取りまとめ、第3章で、軍隊のみならず、一般の企業の組織戦略に資する提言を与えている。

多少冗長感はあるが、それでも、具体的事例をロジックで分解し、戦略のフレームワークで切っていくプロセスは、当時では画期的なものであり、この後に続く幾多の論文のベースになっているものと、改めて確信しました。

繰り返しになりますが、結論の是非を問うよりも、その分析手法、論理的思考を学ぶ題材として見つめれば、膨大かつ複雑な情報を整理し、経営陣にアウトプットを提出するミッションを帯びておられる戦略スタッフの方にとっては、非常に示唆に富む内容となっている論文だと思います。

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